「名探偵コナン」は今や国民的作品である。アイデアの質と量を問われる推理ものでありながら、多彩なキャラクターの魅力も加わり、高い人気を保ち続け、令和6年には連載30周年を迎えた。青山剛昌氏は平成8年からスタートしたアニメ、特に平成9年から公開が始まった劇場版にも深くコミット。劇場版も令和5年、令和6年には連続して興行収入100億円を超える大ヒットを記録した。長期にわたって良質のエンターテインメントを創出したその業績を讃(たた)えたい。
これまで桜井政博氏が培ってきたゲーム制作の知見を広く共有し、ゲーム業界の発展に大きく寄与したことが理由である。YouTubeを通じて、分かりやすく、一貫したストーリー性を持った親しみやすい形で公開したことで、ゲーム制作に関心のある若者だけでなく、幅広い層へと伝わっていった。また、英語版も公開されており、国内にとどまらず、海外でもその影響が波及しており、今回、芸術選奨を受賞するに当たって十分な功績を残したと考える。
「鋼の錬金術師 嘆きの丘の聖なる星」でアニメーションディレクターとして大きな 働きを見せた押山清高氏は、その後、演出にも仕事を広げ、「ルックバック」は監 督第2作に当たる。原作を丁寧に読解(どっかい)した演出に加え、本作の原画の 大半を一人で描くことで、「描く人」を主題とする原作の精神を見事に画面に定着さ せた。中でも主人公・藤野が雨中をスキップするシーンは、アニメ史上に残る名 シーンである。今後の躍進を期待したい。
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