月ノ美兎ら、にじさんじの仲間たちの言葉もサロメ嬢に届かない
「台無しになってしまったのなら、いっそすべてなくなってしまえばいい」
そう呟くダークサロメに、「そうだろう、この世のすべてが醜くて憎たらしいだろう」「あたしも通った道さ」と呼びかける魔女。どうやら彼女もかつて絶望した経験から、現在のようになってしまったことが示唆される。
ここで一時退場していたゲストたちが舞台袖から姿を現す。最初は卯月コウさん、ジョー・力一さん、アンジュ・カトリーナさん。続いて月ノ美兎さん、樋口楓さん、周央サンゴさん。
「MAGIC」(sumika)、「LOVEマシーン」(モーニング娘。)と明るげな選曲で歌い踊り、闇に呑まれた壱百満天原サロメさんの心を開こうと尽力する。
「こんなことで私たちが離れていくわけない」「舞踏会なんて何回でもつくり直せばいい」と励ましの言葉を送るゲストたち。
しかしダークサロメの心は頑なだ。「これ以上優しくしないで」「わかってほしい、愛してほしいと思った分だけ、孤独になるのなら、いっそ最初から何もなければいい」「傷つくぐらいなら、私はもう何もいらないのよ!」と、絞り出すように心情を吐露する。
そして、ダークサロメは再び絶唱する。「×旋律-Schlehit Melodie-」(BUD VIRGIN LOGIC)は、差し伸べられた手を振り払うかのように奏でられる、高速のゴシックメタル。
間奏では「みんなを愛したい、世界を呪いたくなんかない」「でも、どうしようもなく怖いんですの」「わたくしの苦しみは、あなたたちにはわからない」「優しい言葉をかけたって、優しい顔したって、どうせ失望する」と二律背反する感情を吐露し、葛藤が伝わってくる。
壱百満天原サロメ帰還、ゲストと観客の想いが“ダークサロメ”を救う
ゲストたちは諦めない。
「もう一度私たちの想いを届けましょう!」
「会場のみんなも声を届けてあげてほしいんだ!」
これが事前にほのめかされていた、会場とのインタラクティブな演出だった。観客たちはゲストの呼びかけに応える形で、「大好き〜!」と声を振り絞る。
ゲストと観客一同の想いが宝石となり、ダークサロメの中に吸い込まれていく。
そして……正気を取り戻す壱百満天原サロメさん。ゲストを含めた全員で、大団円となる「世界を照らすテトラッド」(ワンダーランズ×ショウタイム)のカバーを披露する。
「おとぎ話みたいな都合の良い魔法なんて、現実にはね、存在しないんだよ!」となおも追いすがる魔女に対し、壱百満天原サロメさんは力強く語る。
「そうかもしれませんわね、けれどだからこそ信じたいのです」
「おとぎ話の魔法は存在しなくとも、素敵な音楽、楽しいお友達、そして支えてくださる皆様方の愛がある!」
「何より、私自身の決意と努力で、壱百満点のお嬢様になってみせる!」
「それが私の魔法ですわ」
その輝きに当てられて、魔女は消滅する。「でも、そうさ……私も本当は、あんたみたいに……」と言葉を残して。
手づくりで建て直したツギハギの会場で、楽しげに卓を囲むゲストたち。
「きらびやかな魔法の舞踏会はなくなってしまったけれど、皆様の愛で溢れたこの場所こそが、私にとって夢の舞踏会なのですわ」
そんな台詞で締め括り、本編は終了となる。
壱百満天原サロメ「今日はお嬢様になれていましたか?」
アンコールでは、ここまで披露していなかったオリジナル曲「壱百満点☆パクスサロメーナ」を披露した。
MCでは冒頭で触れた通り、1stライブの開催にあたって「いろいろあったじゃないですか」と改めて振り返る。
そして(おそらくは仲間やファンの力を借りて危機を乗り越えるという展開に)「今回の公演の脚本とも被るところもあって、本当に皆様方の愛をすごくいただいてるなって改めて思いました」と、率直な感想を述べた。
「この景色を私に見せようって、頑張ってくれて本当にありがとう」──そう涙ぐむ壱百満天原サロメさん。
「私はまだお嬢様じゃないんだけど、今日はお嬢様になれていましたか?」
そう言い残し、最後にオリジナル曲「ふぁむ・ふぁた~る」を歌唱。会場にはテープも舞い、温かさに包まれて大団円を迎えた。

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