STARTO ENTERTAINMENT(STARTO社)とヤング・コミュニケーション(YC社※)は12月9日、同社所属タレントのコンサートチケットを転売するWebサイトに対して、裁判を行う方針であると明らかにした。
対象となったサイトは「チケットジャム」。運営会社であるエンターテイメント社に対して、発信者(出品者)情報開示請求を行ったところ、任意の開示を拒否されたという。
STARTO社は発表で、前述した運営会社の対応を受けて「現在、裁判手続に向けて準備を進めているところです」と報告した。
※STARTO社契約タレントが出演するコンサートを主催している会社。
Snow Manのチケット転売者の開示請求が拒否される
発表によるとSTARTO社は、「チケットジャム」運営会社に対して10月28日付で、転売出品されたSnow Manのコンサートチケット全1224件の出品者について、情報開示請求を行なった。
請求の中で、「不正転売への対応業務の発生や、本来入場できない人物を入場させようとする行為がYC社への業務妨害・権利侵害にあたる旨を説明」したという。
しかし、「チケットジャム(チケジャム)」を運営するエンターテイメント社は、「不正転売への対応業務を行うのは当然必要な行為であり、一般的な不正転売への対応業務の発生により直ちに営業権の侵害があるとはいえない」として、開示を拒否。
その結果STARTO社は、エンターテイメント社に対する裁判手続きに至った形だ。
「チケット流通センター」出品者には不正転売の責任追求へ
また、STARTO社は同じ発表の中で、別のチケット転売サイト「チケット流通センター」の運営会社であるウェイブダッシュ社に対する発信者(出品者)情報開示請求の経過も報告。
9月5日の発表時点で、STARTO社のタレントが出演するイベントチケットに関して、転売目的の出品総数が約数千件確認されていたという「チケット流通センター」だが、こちらも情報開示請求はウェイブダッシュ社から拒否された。
そのため、YC社を申立人として、10月18日付で東京地方裁判所に発信者情報開示命令を求める申立を実施。その結果、「11月12日付で出品者の情報が開示された」と報告した。
STARTO社は発表で「今後、当該出品者に対して、不正転売行為に対する責任追及を行う方針で検討を進めております」と説明している。
STARTO社「不正転売チケットは無効、所持者の入場も拒否」
チケットの高額転売を巡っては、2019年にチケット不正転売禁止法が施行。違反した場合は、一年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またその両方が科せられる(外部リンク)。
しかし、取り締まりが強化されている状況にもかかわらず、アーティストやタレント、スポーツのイベントなどでチケットの高額転売は止まず、社会問題となっている。
STARTO社も9月5日、「チケット流通センター」への開示請求を報告した発表の中で、「『なにわ男子』のイベントだけでも3000件以上の転売があり、うち100件以上が10万円を超える価格で出品されていました」と、その膨大さを訴えている。
なお、今回STARTO社が法的措置を講じることになった「チケット流通センター」では、STARTO社所属タレントの販売ページにのみ、注意書きが行われている。
【STARTO社所属タレントの販売ページに記載された文言】
チケット流通センターでは出品者へチケット不正転売禁止法に関する注意喚起を継続していますが、出品者によりチケット価格が高額に設定されている場合もあります。チケットをご購入の際には冷静なご判断をお願いいたします。
一方、「チケジャム」には、個別の注意書きはないものの、サイトのトップページに「STOP不正転売」と題したバナーを掲載。リンク先のページでは、チケット不正転売禁止法の施行に伴う注意喚起が掲載されている。
STARTO社においては、不正に転売されたチケットは、規約により無効とされ、所持者の入場も拒否される。
発表でSTARTO社は、「当社はYC社と協力のうえ、1人でも多くのファンの皆様に適正な方法でチケットが行き渡るようにするため、今後もチケットの不正転売に対して徹底的に対策を講じていく所存です」とコメントしている。
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