後の格闘ゲームに大きな影響を与えたタイトルとして語り継がれる『ストリートファイターII』。
本作に登場するリュウをドットのまま立体作品として表現した、自主制作のフィギュアがXで話題になっています。
顎を引き、両腕をコンパクトに折りたたんだファイティングポーズはまさにリュウ!
Xには様々な角度から作品を眺められる動画が投稿されており、どこから見ても彼そのもの。特徴的なファイティングポーズでリュウを認識させる再現度の高さが素晴らしい……!
そんな作品を手がけたのはhirofus(ヒロフス)さん。制作の動機は「自分が欲しかったから」だそう。
世の中に欲しいフィギュアがなければ自分でつくってしまおうという気概あふれるhirofusさんに、詳しい制作方法やこだわ1り、気になる次回作について聞きました。
【画像】波動拳を繰り出しそう! どこから見てもリュウな立体作品好きなゲームキャラを現実に呼び出せる楽しさに気づき、制作をスタート
──ドット絵の立体化作品を制作しようとしたのは、もともとそうしたフィギュアが欲しかったからなんですよね。
hirofus はい。好きなゲームキャラのドット絵を立体化したフィギュアが欲しかったのですが、売ってないので自分でつくろうと思ったのがはじまりでした。
ゲームキャラのフィギュアはたくさん世の中にあるのですが、ドット絵をそのまま現実世界に呼び出したような表現のフィギュアはあまり見かけないので、自分でなんとかしようと思ったんです。
もともと造形や模型の趣味があって、昨年の秋に光造形の3Dプリンターを導入しました。そして今年の年始にスーパーファミコンのゲーム『フロントミッション』のジオラマをつくったんですが、その時に登場キャラクターを3Dモデリングし光造形でプリントしてみたら、けっこううまく出来たんです。
これで、好きなゲームキャラを現実に呼び出せる楽しさに気づきました。
──そこから実際に自分で制作してしまおうという行動力が凄いです。
hirofus 子供の頃からゲームが好きで、小学生時代には方眼紙で、中学生時代にはパソコンでドットを打って絵を描いたり。ゲームのグラフィッカーを志望して就職活動をしていた時期もあったんです。
最近はBlenderの操作も覚えようと練習がてら触っていて、オブジェクトの配置機能でブロック玩具みたいに造形ができることに気づきました。もろもろの背景がひとつにつながり、「これならドット絵的な表現の立体をつくれるんじゃないか?」と思い至ったのが制作の直接的なきっかけです。
──様々な選択肢の中からリュウを選んだのはなぜですか?
hirofus 自分がたくさん遊んだゲームのうち、「ドット絵の立体がほしい! つくってみたい!」と強く思ったキャラクターだからです。
実は今回の『ストリートファイターII』のリュウ以外にも、いくつかのゲームキャラを同時並行で進めていて、『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』(ファミコン)の勇者は完成しています。
まだ途中ですが、『R-TYPE』(PCエンジン/アーケード)のR-9、『イース1』(PC8801)のアドルも進めています。
制作の方法、色へのこだわり、造形に求めた高い精度
──明かせる範囲で制作方法について教えていただけますか?
hirofus もちろんです。今回のリュウは実際のゲーム画面よりも解像度を下げることにしたので、YouTubeの動画から画面キャプチャーしたものをPhotoshopで32x16ドットに縮小し、トレースしてドットを打って下書きをつくります。
この下書きを参考に、Blenderで正方形のオブジェクトをドットに見立てて積み上げて大まかな形をつくります。その後、各オブジェクトのサイズ変更や組み替えによる造形で、モデリングデータを完成させます。
完成データをスライサーソフトでプリント用データに変換したら、3Dプリンターで出力。さまざまな後処理を経て、ガレージキットと同じ要領でプライマーを吹いてからペイントしました。ペイントにはシタデルカラーを使っています。
──ペイントの際に色数は16色を意識されたそうですが、これはかつてゲーム機やPCで16色の制限があったことに合わせたのでしょうか?
hirofus はい。できるだけ元のゲームの仕様にあわせた表現に近づけるように工夫しています。
リュウについてはスーパーファミコンに準拠して、キャラクターに使える16色(うち1色は透過カラー扱いで実際には15色)のカラーパレット。『ドラクエ3』の勇者はファミコン準拠で4色(うち1色は透過カラー扱いで実際には3色)のカラーパレット、といった具合です。
──こだわりですね。そのほかにも制作でこだわられたこと、実現したかったことはありますか?
hirofus 「どの角度から見ても、立体物として完成していること」と、「原作のドット絵を、できるだけそのまま立体にすること」の両立を目指しました。
ドット絵は二次元平面的に描写されるので、そのまま立体にしようとするとつじつまの合わないところが出てきます。
一方で、つじつま合わせの結果として、原作からかけ離れた立体物になってしまったら本末転倒です。制約や制限のなかで工夫して、理想の作品をつくろうと思いました。
──理想を作品をつくるなかで試作を重ね、12体目で完成したんですよね。完成品までには具体的にどのような調整を加えたのでしょうか?
hirofus 大きく2つのポイントがあります。1つは3Dプリントの精度です。3Dプリントの出力設定によって、データどおりにプリントできず失敗することがあります。腕や足だけ平べったく立体感がなかったり、あるいは全体的にゆがんでいたり、膨らんでしまったり。
2つ目はデータの精度です。ディスプレイ上のモデリングが良い出来に見えても、実際に出力して眺めてると「思った形となんだか違っていた……」ということがあります。
立たせてみると重心がうまくとれず倒れてしまったり。それらを解決するための調整をくり返しているうちに、いつの間にか大量に試作品をつくってしまいました。
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