連載 | #27 漫画百景 いま読むべき漫画たち

新入社員にオススメ! お仕事漫画『NEW GAME!』に学ぶ、チャンスの掴み方

準備が大事! チャンスを掴むたった一つの正攻法

『NEW GAME!』を読んでいると常々「仕事は準備が大事!」と思わされます。

仕事でチャンスを掴むためには、いつでも準備万端でいること。これがたった一つの正攻法だと思い知らされるのです。

何を当たり前なことを、と思われるかもしれませんが、常に準備万端でいられる人がどれだけいるのかと言うと、そう多くないでしょう。

本作で登場人物たちに降りかかる試練の数々は、やむを得ない事情でチームから人が抜けるとか、出資会社から一方的に開発を打ち切られるとか、そうした不可避のものを除くと、普段の生活の中でどれだけ準備ができているかで成否がはっきり分かれます。

訪れる機会をチャンスにできるか、ふいにしてしまうか戦う準備ができているか、いないか

例えば、主人公の青葉も最初にキャラクターデザインを任されることになった時は、眼の前の仕事に精一杯で「キャラデザをさせてもらえるってわかってたら…!」なんて言い訳し、苦戦していたものです。

『NEW GAME!』12巻の書影。青葉の良き上司であるコウと青葉/画像はAmazonから

青葉はキャラクターデザイナーを志望しているため、物語の節目には必ずその座を懸けた社内コンペに挑みます。そして、毎回課題を得て成長していきます。

コンペの結果は必ずしも青葉に対してポジティブではなく、役職を勝ち取っても、会社の都合で重要な役割から外される酷な展開もありました。こちらが閉口してしまうほどの苦境に立たされることもあった。

しかし、青葉が落ち込んで歩みを止めることはありません。最後には次の機会に備えて準備する、青葉の前向きな性格は実に主人公らしいです。

主人公の青葉だけじゃない、多くの主役たち

青葉のほかにも、上司の良い企画があれば採用するという軽口を真剣に捉えて、本来企画を考える役職にすらなかったのに真剣にゲームのアイデアを考え出し、大きく飛躍する篠田はじめ

何となく仕事をしていた飯島ゆんは、同期のはじめの向上心に引け目を感じていたところから、勇気を出して一歩前に踏み出し自分なりの役割を見つけます。

『NEW GAME!』4巻の書影。左から、はじめ、青葉、ゆん/画像はAmazonから

人とコミュニケーションが上手く取れない内気な性格を長い時間をかけて変えた滝本ひふみや、一からプログラミングを学んで目覚ましい成長を遂げる桜ねねも、作中で大きく変化していきました。

また、天賦の才を持ち、青葉の前に立ちはだかることにもなる八神コウ星川ほたるも、多大な努力の上に相応の地位を築き上げていったことが明示されています。

『NEW GAME!』5巻の書影。左から、ねね、青葉、ほたる。青葉の学生時代にまるごと費やした5巻は、なんと全編描き下ろし!/画像はAmazonから

描写の濃淡こそあれ、以上に挙げていない登場人物も含めて、全員が漫然と日々を過ごすのではなく、いつか来るチャンスに向けて努力し、準備していたことがはっきりと分かるようになっています。

『NEW GAME!』を新入社員に読んでほしい理由

冒頭で、『NEW GAME!』を特に新入社員の方々に読んでほしいと書いたのは、主人公の青葉が新人の立場から多くの失敗を繰り返して、成長していく物語であることが身近に感じやすいだろうから。

そして、いつ舞い込むかわからないチャンスに備えることの重要性を教えてくれる漫画だからです。

4月も折り返し、今春から働きはじめた新入社員の方も、会社に馴染みはじめてきた頃かと思います。まだまだ新人気分は抜けないとは思いますが、いつどんな形で仕事が振られるかは分かりません。今日か、明日かもしれない

筆者個人の経験で言えば、入社から1ヶ月後にメンターの先輩が急病で倒れて、大勢の前でプレゼンしなければならない機会があり、冷や汗かきまくりで臨んだことがありました。

正直グダグダだったのですが、度胸だけは付きました。同時に仕事に慣れてちょっと余裕が出てきたなぁなんて、お気楽な気分でいたことを後悔したものです。

とまあ、社会に出ると本当に何が起こるか分かりません。油断大敵。慣れてきた時こそ、気を引き締めましょう。

それではご唱和ください……今日も一日がんばるぞい!

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テーマは「漫画を通して社会を知る」。 国内外の情勢、突発的なバズ、アニメ化・ドラマ化、周年記念……。 年間で数百タイトルの漫画を読む筆者が、時事とリンクする作品を新作・旧作問わず取り上げ、"いま読むべき漫画"や"いま改めて読むと面白い漫画"を紹介します。

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