超個性派メンバーから成る、マルチ・アート・コレクティブ
改めて、Balming Tigerは「オルタナティブ・K-POP・バンド」を称する、マルチ・アート・コレクティブです。2018年にオリジナル・ミックステープ『虎媄304』を発表して世間に現れました。 リーダーのSan Yawnさんを主軸に、ラッパーのOmega SapienさんとMudd the Studentさん、シンガーソングライターのsogummさんとbj wnjnさん、プロデューサーのUnsinkableさんとLeesuhoさん、ビデオ・ディレクターのJan’Quiさんなどが集まって活動しています。
元メンバーのJang Sukhoon(a.k.a. Byung Un)さんも活動初期にその名を広め、重要な役割を果たしました。
各メンバーの著しい個性は、彼らが発売してきたディスコグラフィーを眺めればすぐわかるでしょう。
独特に言葉を濁す歌唱スタイルで独自のR&Bを築くシンガーソングライター・sogummさんは、韓国の有名なブラック・ミュージック・プロダクションの〈AOMG〉のオーディションにも優勝して、実際に所属した経験があります。
同じくBalming Tiger所属のbj wnjnさんがプロデュースしたアルバム『Sobrightttttttt』(2019)は、他ではあまり聴けないサイケデリックな経験をもたらすでしょう。 ラッパー・Omega Sapienさんのアルバムで、漫画家・駕籠真太郎さんがデザインしたカバーアートが印象的な『Garlic』(2020)は、いわゆる「hyperpop」と称されるハードコアなエレクトロポップのスタイルをポップラップに移植した形のものとして相当な完成度を見せます。
のちに「hyperpop」の創始者とも評される〈PC Music〉レーベルの首長・A. G. Cookさんのパーティーに参加したり、UKのポップスター・Charli XCXさんが作成したプレイリストにも追加されたりします。 他にも韓国のラップ・オーディション番組《SMTM》の出演で話題になったMudd the Studentさんのロッキングなエネルギーを感じられる『Field Trip』EP(2021)、ヒップホップおよびエレクトロニック・プロデューサー兼ビデオ・ディレクターであるLeesuhoさんのダンサブルなアルバム『Monika』(2021)も、コンテンポラリーな韓国音楽を探る際に逃しがたい作品です。
世界が先に注目したインターナショナルな才能
Balming Tigerの個性は韓国内にとどまるだけでなく、世界を舞台に輝いています。先述したようにPennackyさんや駕籠真太郎さんとのコラボレーションなど、日韓アーティスト間の協力も密に行われ、レーベル〈88rising〉やUKの有名なポップスター・Charli XCXさんからも賛辞をもらうなど反応を集めています。
「Harlem Shake」(2012)で有名なBaauerさんともコラボレーションをしていますし、Omega Sapienさんの「Plum」(2022)はAppleのMacBook AirのCMにも使われました。
今作『January Never Dies』において、K-POPスターのRMさんが参加したのは「オルタナティブ・K-POP」を自称する彼らにとっては重要な意義を持つはずです。
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