直木賞作家 小川哲の短編集刊行 成功と承認を渇望する人々を描く

直木賞作家 小川哲の短編集刊行 成功と承認を渇望する人々を描く
直木賞作家 小川哲の短編集刊行 成功と承認を渇望する人々を描く

『君が手にするはずだった黄金について』表紙/画像はAmazonより

直木賞作家・小川哲さんの最新作『君が手にするはずだった黄金について』が10月18日、新潮社から刊行された。

本作には6作の短篇を収録。すべて「僕=小川哲」が主人公で、著者自身を彷彿とさせる「僕」が、承認欲求に囚われた人々と遭遇する連作短編集となっている。

また、収録作『プロローグ』を全文掲載した無料試し読み版が各電子書籍書店で配信。新潮社の特設サイトでも『プロローグ』全文が無料公開されている。

直木賞ほか多数の賞を受賞してきた小説家・小川哲

『地図と拳』表紙/画像はAmazonより

小川哲さんは2015年に『ユートロニカのこちら側』でハヤカワSFコンテストの大賞を受賞しデビュー。

デビュー後にはカンボジアの現代史を絡めたSF小説『ゲームの王国』で日本SF大賞と山本周五郎賞を受賞。『嘘と正典』でも直木賞の候補に選出。

2022年6月に刊行された『地図と拳』で、山田風太郎賞と直木賞を受賞。

同じく10月刊行の『君のクイズ』でも日本推理作家協会賞の長編および連作短編集部門を受賞と、多数の賞を獲得している。

成功と承認を渇望する人々の虚実を描く『君が手にするはずだった黄金について』

『君が手にするはずだった黄金について』は6作の短篇が収録。

それぞれ、青山の占い師(『小説家の鑑』)、80億円を動かす金融トレーダー(『君が手にするはずだった黄金について』)、ロレックスのデイトナを巻く漫画家(『偽物』)をテーマにした作品となっている。

嘘を物語にする「僕」は、彼らと一体何が違うというのか。注目を集める直木賞作家が、成功と承認を渇望する人々の虚と実を描く内容だ。

また、刊行に合わせて漫画家・うえはらけいたさんによる紹介漫画も公開されている。

小川哲さんコメント

「人に認められたい」、「何者かになりたい」、という欲求は、誰しも自然に持ち合わせているものだと思います。

でもその手段として、SNSやネットで誇示することが容易になったぶん、「何者かになった」ように見せることが簡単になり、本当の意味で「何者かになる」ことは難しくなったのかもしれません。

小説家にとっては面白い時代だと思います。でも僕自身は、他人の評価よりも、僕という人間が僕を評価できるか、が大切なので、「承認欲求」というものが、じつはよくわからない。わからないからこそ興味を惹かれ、小説で描くことで、他人が持っている感覚を知りたいと思うのです。

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