椎名林檎のグッズに批判、ヘルプマークに酷似 障がい者男性「誤解への不安大きい」

椎名林檎のグッズに批判、ヘルプマークに酷似 障がい者男性「誤解への不安大きい」
椎名林檎のグッズに批判、ヘルプマークに酷似 障がい者男性「誤解への不安大きい」

「ヘルプマークに酷似している」として批判が寄せられている、椎名林檎さんのリミックスアルバム『百薬の長』関連グッズ

東京事変などで知られるシンガーソングライター・椎名林檎さんが11月30日(水)に発売するリミックスアルバム『百薬の長』の関連グッズが、「ヘルプマーク」「赤十字マーク」に酷似しているとして、Twitterを中心に批判が寄せられている。 「『ヘルプマーク』は世間一般に対して、完全に認知されているとは言い難いので、椎名林檎さんのようなアーティストのグッズとしての認識が広がると、本来の意味が伝わらなくなってしまう。利用者の間ではそういった不安があると思います」

埼玉県在住で地方自治体に勤務する身体障がい者の男性(30代)は、寄せられる批判についてそう説明した。

自身も重度障がい者であり、日常的に車椅子で生活しているという男性は「私のような見た目でわかる場合ではなく、内部疾患の方の場合『ヘルプマーク』が誤解されることに対する不安は大きいはずです」とコメントした。

【画像】批判集める椎名林檎さんの関連グッズ

椎名林檎のアルバム『百薬の長』関連グッズに批判

批判の対象となっているのは、椎名林檎さんのリミックスアルバム『百薬の長』の「UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤」に付属するグッズ。

3種類のうち、マスクとマスクケースのセットである「夢語りマスク」と、アクリルカードケースの「諸々券ケース」の2つが、「赤十字マーク」「ヘルプマーク」に酷似していると批判を集めている。

このアルバムには、鯵野滑郎さん、石野卓球さん、KID FRESINOさん、岡村靖幸さん、Ovall、大沢伸一さん、STUTSさん、砂原良徳さんらが参加しており、椎名林檎さんや参加アーティストのファンからも、デザイン変更を求める声が上がっている。

「諸々券ケース」

「夢語りマスク」

「ヘルプマーク」に酷似、見えない障がいがより見えづらくなる懸念

東京都福祉保健局によれば、「ヘルプマーク」とは、「義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、または妊娠初期の方など、外見からは分からなくても援助や配慮を必要としている方々が、周囲の方に配慮を必要としていることを知らせることで、援助を得やすくなるよう、作成したマーク」(外部リンク)だ。

前出の男性は、勤務先で「ヘルプマーク」に関する問い合わせを受けた経験を踏まえて「マークとしての知名度はまだまだ低い」と指摘。「内部疾患の方やその家族の方以外で、知っている人は多くないのではないでしょうか?」と説明した。

Twitter上では、『百薬の長』のグッズが「ヘルプマーク」に酷似していることで、「ヘルプマーク」そのものが誤解され、見えない障がいがより見えづらくなるなど、混乱を招くのではないかといった声が上がっている。

ヘルプマーク

「赤十字マーク」の使用は法的に定められている

一方「赤十字マーク」は、日本赤十字社公式サイトでは「戦争や紛争などで傷ついた人びとと、その人たちを救護する軍の衛生部隊や赤十字の救護員・施設等を保護するためのマーク」と説明されている(外部リンク)。

戦争・紛争地域での病院や救護活動時に使われるもので、このマークを掲げた病院や救護員などには、「絶対に攻撃を加えてはならないと国際法や国内法で厳格に定められています」と説明。

赤十字マークを使用できるのは、法律で定められている組織のみ/画像は日本赤十字社の資料より

そのため「赤十字マーク」の使用については、赤十字社と法律などに基づいて認められている組織に限定されており、一般の病院や薬局はもちろん、市販のTシャツやバッグなどに用いることは禁止されている。

椎名林檎さんのアルバムのグッズへのもう一つの批判は、「『赤十字マーク』のようなデザインをグッズに用いることは、そもそも法的に問題があるのではないか?」というものだ。

市販のTシャツ・トレーナー・バッグといったグッズへの使用も禁止されている//画像は日本赤十字社の資料より

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