「バ美肉」論文や未来の身体論を掲載 雑誌『現代思想』でメタバース特集

「バ美肉」論文や未来の身体論を掲載 雑誌『現代思想』でメタバース特集
「バ美肉」論文や未来の身体論を掲載 雑誌『現代思想』でメタバース特集

『現代思想』2022年9月号/画像はAmazonから

青土社の雑誌『現代思想』の最新号である2022年9月号が発売された。価格は1650円(税込)。

「メタバース――人工知能・仮想通貨・VTuber…進化する仮想空間の未来」と題して、メタバースを特集している。

L・ブレディキナの「バ美肉」論文も掲載

メタバースをはじめ、バーチャルYouTuber(VTuber)、VR空間、仮想通貨といった、近年台頭した新たな概念を紐解く『現代思想』の最新号。

ドミニク・チェンさんと安田登さんの討議にはじまり、現在進行系で価値観の変容をもたらしているVRの世界、そしてその世界における身体やジェンダー、新しい技術にまつわる思考の数々が掲載されている。

また、VTuber・バーチャル美少女ねむさんとメタバースに関する大規模な調査「ソーシャルVR国勢調査2021」を実施・公表して話題になった、スイスの人類学者のミラことリュドミラ・ブレディキナさんによる「バ美肉(=バーチャル美少女受肉)」に関する論文の要約も掲載。

ジュネーブ大学のジェンダー分野で学術賞を受賞したことでも話題になった、『バ美肉:バーチャルパフォーマンスの背後にあるもの。テクノロジーと日本演劇を通じたジェンダー規範の争奪』を、翻訳・要約の上で読むことができる。

【現代思想2022年9月号 特集=メタバース】

[目次]
特集*メタバース――人工知能・仮想通貨・VTuber…進化する仮想空間の未来

【討議】
未来の身体論対話 / ドミニク・チェン+安田登 

【新世界への招待】
メタバースによる人の意識の変容 / 三宅陽一郎
源流から考える「メタバース」 / 喜多千草

【この身体、この宇宙】
物質となるメタバースと、その不自由――メタバース内外を行き来する身体と空間から考えるジェンダーと政治 / 近藤銀河
要約「バ美肉 バーチャルパフォーマンスの背後にあるもの──テクノロジーと日本演劇を通じたジェンダー規範への対抗」 / L・ブレディキナ(訳=池山草馬)
メタファーとしての美少女――アニメーション的な誤配によるジェンダー・トラブル / 松浦優
メタバースは「いき」か?――やましさの美学 / 難波優輝 
メタバースでアバターはいかにして充実した生を送りうるか / 長門裕介 

【〈理想郷〉のポリティカル・エコノミー】
メタヴァースとヴァーチャル社会 / 大黒岳彦
希少性と排除にもとづくデジタル所有権vs.メタバース / 斉藤賢爾
宇宙の修理とメンテナンス――メタバースは私たちの生きる宇宙になり得るのか / 吉田健彦

【在りし日の未来】
パリに行きたい――あるいは“ここ”からは出られません / 仁木稔 
一九八四年のメタバース / 木澤佐登志 
「電脳空間」のノスタルジアーー仮想現実はどのように語られたか / 加藤夢三
文化技術とコンピュータ / 梅田拓也

【来るべき思想圏】
「以前、確かにそのゲームの世界に自分が住んでいた」という記憶はどこから来るのか――メタバース=宙吊りにされた意識モデル / 郡司ペギオ幸夫 
メタバース・メディア論――情報の宇宙のエコロジーとその数理・倫理 / 丸山善宏
現前世界としてのメタバース / 出口康夫 

【連載●「戦後知」の超克●第二〇回】
柄谷行人における「世界史」の問い方 3――その「起源」と「構造」 / 成田龍一

【連載●社会は生きている●第三回】
主体の生態社会学 1――変革する主体、拘束する社会 / 山下祐介

【連載●タイミングの社会学●第二〇回】
疲弊 上――長時間通勤 / 石岡丈昇

【研究手帖】
絵画が真実らしさを失うとき / 折居耕拓 青土社公式サイトより

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