『Garden of Remembrance』に向けた監督コメント
山田尚子監督のコメント
考えたり、思ったりする気持ちは、どこに行くのだろう。まるで空気のような形で残るのかな、あるいは全く消失してしまうのかな。
出来うる事ならば、望む限り消えずにずっと在っていてほしい。
「きみ」と「ぼく」と「おさななじみ」は、誰かにとっての何かなのだと思います。
アヌシー国際アニメーション映画祭で語られたコンセプト
アヌシー国際アニメーション映画祭にて、現地時間の6月15日(水)14時(日本時間は6月15日19時)から、Salle Pierre Lamyで開催されたステージ「WIP」に山田尚子監督とサイエンスSARUのチェ・ウニョンプロデューサーが登壇した。WIP=Work in Progressは、現在制作進行中のプロジェクトについて、MCとのトーク形式で制作者が自ら作品を語るスペシャルステージ。毎年開催されているアヌシーの注目イベントで、本年度は世界中から選ばれた15人の監督陣が登壇している。
限定約150席の参加チケットは事前予約受付開始から数分で予定数終了。会場の熱気が高まる中で参加者の大きな拍手と歓声に迎えられステージがスタートした。今回のWIPでの発表作品は、「Garden of Remembrance(ガーデン オブ リメンバランス)」。山田監督のオリジナル作品で、2023年にリリースされることがWIPのステージ開催に合わせて解禁となった。
音楽からはじまった最新作、ラブリーサマーちゃんとの共作
本プロジェクトの始まりは“音楽”とのこと。音楽を軸にしたショートフィルムを制作しないか、とウニョンさんが山田監督に声を掛けたことがきっかけでこの企画が立ち上がったという。まだ楽曲については何も決まっていない中、音楽が好きで様々なジャンルを聴くという山田監督が挙げたのが、“無敵な女の子という感じがする”と語る、ラブリーサマーちゃん。自身の作品を「女性的なフィルム」と評されることが多いがいまいちピンときていなかった、という山田監督が、逆に「女の子らしさ」に正面から取り組んでみようと思い選んだアーティストが彼女だという。
本作のコンセプトついても、2人で出し合ったキーワードをまとめる形で1つのポエムを作成。そこから監督がフィルムを、ラブリーサマーちゃんが音楽をつくり上げている、という制作過程の裏側が明かされた。
漫画家・水沢悦子による生活感のある女の子
本作に登場するキャラクターについては、山田監督の希望で漫画家の水沢悦子さんにオリジナルのキャラクター原案をお願いしたとのこと。水沢悦子さんの描く女の子の魅力を「生きている女の子らしい匂いを感じる。言うならば寝起きのヨダレの匂いのような生活感のある女の子をすごくキュートに昇華して描かれている」と語る山田監督。キャラクターデザインにおいては「とにかくムチムチにしてください」というオーダーを重ねたという山田監督だが、本作のテーマが「誰かが誰かを想っている、心の行き場はどこなんだろう」というクールなものであるため、背景やキャラクターについては対照的に「きれいで可愛い色」と「おいしそうであること」に特にこだわっている、と話した。
ここで、制作過程のフィルムの一部を世界初公開! 約1分20秒の映像が上映され、会場が一気に「Garden of Remembrance」の世界に彩られる。上映が終わると共に大きな拍手が沸き起こった。
最後は山田監督が「アヌシーに来れて本当に嬉しいです!これからも頑張って作品を作っていきますのでよろしくお願いします!」、ウニョン氏が「またアヌシーでお会いしましょう!」と客席に呼びかけ、それに応える歓声の中でステージは幕を下ろした。
ⒸGarden of Remembrance -二つの部屋と花の庭-製作委員会
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