1つ目の声明では、WHO(世界保健機関)の「自殺対策を推進するためにメディア関係者に知ってもらいたい基礎知識 2017 年版」(通称・自殺報道ガイドライン)に則った報道・放送をメディア関係者に要請(外部リンク)。
しかし、それでもなお一部のメディアによって「自殺報道ガイドライン」に反する報道・放送が行われていると、2つ目の声明で再度注意喚起を行った(外部リンク)。
ウェルテル効果による影響、自殺報道のリスク
5月11日、上島竜兵さんの訃報が報じられると、自殺の可能性を各メディアが相次いで報道・放送されていた。厚生労働省によれば、センセーショナルな自殺報道には、ウェルテル効果により希死念慮を抱えている人などに影響を与えるリスクがあると指摘。
また、新型コロナウイルス感染症の影響で、健康面だけでなく生活面や仕事面でも不安を抱えている人が多い現状においては、さらに報道の影響が大きくなることが懸念されるとしている。
それらを踏まえ、前出のガイドラインには報道として「やるべきこと」「やらないべきこと」が記載されている。
自殺に関する責任ある報道:すぐわかる手引(クイック・レファレンス・ガイド)
やるべきこと
・どこに支援を求めるかについて正しい情報を提供すること
・自殺と自殺対策についての正しい情報を、自殺についての迷信を拡散しないようにしながら、人々への啓発を行うこと
・日常生活のストレス要因または自殺念慮への対処法や支援を受ける方法について報道をすること
・有名人の自殺を報道する際には、特に注意すること
・自殺により遺された家族や友人にインタビューをする時は、慎重を期すること
・メディア関係者自身が、自殺による影響を受ける可能性があることを認識すること
やってはいけないこと
・自殺の報道記事を目立つように配置しないこと。また報道を過度に繰り返さないこと
・自殺をセンセーショナルに表現する言葉、よくある普通のこととみなす言葉を使わないこと、自殺を前向きな問題解決策の一つであるかのように紹介しないこと
・自殺に用いた手段について明確に表現しないこと
・自殺が発生した現場や場所の詳細を伝えないこと
・センセーショナルな見出しを使わないこと
・写真、ビデオ映像、デジタルメディアへのリンクなどは用いないこと 自殺対策を推進するためにメディア関係者に知ってもらいたい基礎知識2017年 最新版より
ガイドラインに反する一部メディアの報道
しかし今回、一部メディアによってガイドラインに反する報道・放送が行われていた。フジテレビの情報番組『めざまし8』では、上島竜兵さんの自宅マンションから中継を行い、近隣住民へインタビュー。同局昼の情報番組『ポップUP!』でも、この時の様子が放送されている。
また、テレビ朝日の『羽鳥慎一モーニングショー』でも、同じく自宅前から中継。日本テレビの『スッキリ』は、上島竜兵さんの所属事務所前から中継を行った。
ほかにも、厚生労働省によれば手段を報じたメディアがあったという。
2度目の注意喚起において、厚生労働省は「自殺の『手段』を報じる」「自殺で亡くなった方の自宅前等から中継を行う」「自殺で亡くなった方の自宅前等から中継を行う」「街頭インタビューで、市民のリアクションを伝える」ことは、自殺リスクを高めかねないことを強調。
メディア関係者に対し、ガイドラインに則った報道・放送を徹底するように要請した。
【皆さまへのお願い】
— 厚生労働省 (@MHLWitter) May 11, 2022
自殺報道は、それをSNS上で拡散させるだけで、自殺リスクを高めることに繋がる可能性があります。報道等を見て心がざわつくときは、関連の情報から距離を置くことが大切です。
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