「人って狂うとこうなるんだ」 TRPG原作の舞台『狂気山脈』現場レポ

現実はダイスじゃ判定できない! リアルSAN値チェック

登山家が歩みを進め舞台も中盤に差し掛かると、人を寄せ付けない厳しい環境と、人を惹きつけてやまない奇妙な魅力を持つ狂気山脈の雰囲気にのまれたのか、登山家は頭を抱え苦しみだす。

『クトゥルフ神話TRPG』の代名詞ともなっている、超常現象に遭遇した際に発生する正気度(Sanity)を測る通称「SAN値チェック」のシーンだ。

実際に『クトゥルフ神話TRPG』をプレイする身からすると、いざ正気の減った演技をしろといわれても意外と困りがちな「SAN値チェック」。

苦しむショーンさんには若干申し訳ないが、筆者は「こういう感じでやればいいのか、助かる~!」と他人事のような感想を抱いていた。

人間の正気が失われる様を表現するショーンさん。人って狂うとこうなるんだ/画像は配信画面のキャプチャー

フラフラと登山家が進んでいくと、その先にはボルダリングのような壁が。PVでも言及されていた、本舞台の山場の1つ、実際の登山用具や技術を用いてのウォールクライミングだ。

荷物をおろしたショーンさん、せり出した返しのある壁を、ピッケルを用いて登っていく。

実際に掴むよりもはるかに力を伝えづらいピッケルを使い、なんとか登っていくショーンさん/編集部撮影

しかし、ようやく壁の上にたどり着いたと思うと、ロープを登頂部に固定してすぐに降りてしまう。何事かと思っていると、登山家は、今度は荷物を背負い直して、再び登攀の姿勢に。

固定したロープと道具を使って登る「ユマーリング」の実践だ。

ロープで登るというと綱のぼりのようなものをイメージしてしまいそうだが、実際に使用されるのはよく見る細さのロープ。

そこにアッセンダーという、ロープを上にしか進まないようにする道具を取り付け、足を踏ん張ったり、壁を蹴った滞空時間を利用したりしつつ腕の力でロープを引っ張り上へ登っていく。

こんな細いロープに命を預けないといけないのかと思うと、登山の危険性が身に沁みる/編集部撮影

TRPGをやっているときは「登攀が成功したかの判定ですね、ダイスを振ってください」「はい、35でした。成功ですね」のやり取りで終わる作業だが、実際に見るとすさまじい重労働。

TRPGプレイヤーだけでなく、普段登山に親しんでいない人にはぜひとも見てもらいたい1シーンだと言える。

1
2
3
この記事どう思う?

この記事どう思う?

関連キーフレーズ

0件のコメント

※非ログインユーザーのコメントは編集部の承認を経て掲載されます。

※コメントの投稿前には利用規約の確認をお願いします。