監督では『ペンギン・ハイウェイ』の石田祐康さんがメガホンを取り、キャラクターデザイン・キャラクターデザイン補佐では『泣きたい私は猫をかぶる』の永江彰浩さんと加藤ふみさんが再びタッグを組む。
『雨を告げる漂流団地』は夏の終わりを舞台にした冒険ファンタジー。かつて育った団地の漂流に巻き込まれた小学6年生の主人公たちが、元の世界へと戻ろうとするひと夏の別れの旅を描く。
9月25日(土)・26日(日)に開催中のNetflix公式スペシャルイベント「TUDUM: A NETFLIX GLOBAL FAN EVENT」で発表された。
『雨を告げる漂流団地』場面写真(全7枚)【ストーリー】
幼なじみの航祐と夏芽。
小学6年生になった二人は最近お互いを避け、ギクシャクしている様子。
夏休みのある日、二人の姿は取り壊しの決まった団地にあった。
その団地は、二人がかつて育った思い出の場所。
航祐たちが団地で遊んでいると、突然不思議な現象に巻き込まれる。
気づくとそこは、あたり一面の大海原。
航祐たちを乗せ、団地は謎の海を漂流する。
果たして元の世界へ戻れるのか?
ひと夏の別れの旅がはじまる―
石田祐康「アニメ映画としては恐らく変わり者」
石田監督はコメントで、主人公たちの団地に対する思いや熱量を「せめて自分だけでも信じてやれないものか」と考えた結果、「タイトルにしてしまうほど団地に思いを寄せた作品となりました」と説明。
「こういう類のアニメ映画としては恐らく変わり者です。自分にとっても一つの挑戦となります」と語る本作では、舞台をわかりやすく学校にするといった意見もあったという。
その上で「苦しんで、悩んで、それでも信じるままに! 逆に皆で一緒になって知恵を絞りつつ!…団地を船出させることになりました」とし、「この団地が漂流する果てに少年と少女は何を見るのか。ご期待ください」と呼びかけた。
【監督:石田祐康さんコメント】
団地に惹かれました。明快な建物の形。広々とした緑豊かな敷地。この国が焼け野原から立ち上がる象徴としてあった姿と、裏腹に疎まれ壊されてきた生い立ち。それでも、装いを更新し生き続ける姿。それもこの場所を望み、暮らし、憩う、新しい世代のために。
戦後の日本人の原風景となって、今もなお縁の下で人を支えようと頑張る存在。健気だ…。
この映画に登場するある少女は団地をかけがえのない場所と思っています。しかし周りは理解できません。オンボロ団地だの オバケ団地だの言いたい放題です。取り壊しさえ始まってしまいます。少女の思いなど、関係なく。きっと誰にでもある大切な場所は往々にして他人にとっては他人事。でもだからこそ”自分だけの特別な体験”がそこにあったはず。そういう個人的な体験を他人に伝えるのは難しい事ですが、そこから飛び出てくる熱量を前にすると、せめて自分だけでも信じてやれないものかとなって…。
この映画はそういうことを信じた結果、タイトルにしてしまうほど団地に思いを寄せた作品となりました。こういう類のアニメ映画としては恐らく変わり者です。自分にとっても一つの挑戦となります。分かりやすく学校にするなどの意見もありました。苦しんで、悩んで、それでも信じるままに!逆に皆で一緒になって知恵を絞りつつ!…団地を船出させることになりました。僕からしたらこんな“ちっぽけな”個人の思いを、多くの方の力を借りて大きく作らせてもらっているんです。その申し訳なさと同時に有り難いことと考え、身が引き締まる思いで取り組んでいます。…巻き込んでしまったからには…良い形にしたい!頑張りたいです。
2022年、この団地が漂流する果てに少年と少女は何を見るのか。ご期待ください。
【キャラクターデザイン:永江彰浩さんコメント】
本作は石田監督の奇想天外なアイデアを基に、夏にぴったりな作品になっております。タイトルにもありますように団地という舞台には特にこだわりを持って設計しておりますので、この建築が持つ表情の魅力を感じていただけたら幸いです。そして、何よりその場所にまつわるキャラクターたちの思いをストレートに受け取っていただけるよう努めております。ぜひご覧くださいませ。
【キャラクターデザイン補佐:加藤ふみさんコメント】
今までのコロリド作品の良さを引き継ぎつつ、また新しい地平を目指して鋭意制作中です。同じ学校に通いながらも全くバラバラなタイプの子供たちが、漂流生活を通してどんな成長を遂げるのか注目していただきたいです。今、そしてこれから12歳になる人もそしてかつて12歳だった人にも、あったかもしれない一夏の物語として楽しんでいただければ嬉しいです!
スタジオコロリドが描いた長編アニメの歴史
2011年に20代中心の新鋭クリエイターたちによって設立されたスタジオコロリド。大学時代の自主制作アニメ『フミコの告白』が話題を呼び、『陽なたのアオシグレ』で第17回文化庁メディア芸術祭のアニメーション部門に選出された石田祐康さんや、『千と千尋の神隠し』にも携わった柴山智隆さんらが所属している。
長編映画第1弾として、作家・森見登美彦さんの小説をアニメ化した『ペンギン・ハイウェイ』(2018年)では、第42回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞やファンタジア国際映画祭今敏賞(ベストアニメーション賞)を受賞。
Netflixで全世界独占配信された、第2弾の『泣きたい私は猫をかぶる』でも、世界30カ国以上で再生回数の多い映画ランキングTOP10にランクインしている。最近では、『ポケットモンスター ソード・シールド』の世界を舞台にしたオリジナルアニメ『薄明の翼』も手がけている。
©コロリド・ツインエンジンパートナーズ
日本のアニメカルチャー
この記事どう思う?
作品情報
雨を告げる漂流団地
- 監督
- 石田祐康
- 脚本
- 森ハヤシ/石田祐康/坂本美南香
- キャラクターデザイン
- 永江彰浩
- キャラクターデザイン補佐
- 加藤ふみ
- 音楽
- 阿部海太郎
- 企画プロデュース
- 山本幸治
- 制作
- スタジオコロリド
- 企画
- ツインエンジン
関連リンク
0件のコメント