TRPGで暴かれるVTuberの内面 ディズムが生み出した劇薬『カタシロ』の真髄

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VTuberがキャラクターを演じるという複雑さをどう楽しんでもらう?

──『カタシロ』はVTuberにも盛んにプレイされていますが、その配信を見に来たVTuberのファンにはこれまでTRPGに親しんでこなかった人も多いと思います。『カタシロ』が広まったことでこれまでと違った層に届くことも多いと思いますが、気を付けていることはありますか。
新クトゥルフ神話TRPG『カタシロ』PL:佐藤ホームズ
ディズム TRPG配信にVTuberの方が出演される際には、VTuberとしてではなく、シナリオの登場人物としてロールプレイをすることになります。そうなると、そのVTuberを見に来たファンの方々からしたら混乱する面はあるでしょうね。

『カタシロ』では、物語の展開にプレイヤーの価値観が反映されることで、キャラクターとプレイヤーの人格を分けずに楽しんでもらうことができていると思います。

『カタシロ』を入り口としてTRPGがどんな遊びなのか提示できれば、これまでTRPGを知らなかった人にも、プレイヤーの発想次第でどれだけでも面白くできるこの遊びの魅力をわかってもらえると思っています。

──そういった余白はTRPGの特徴ですよね。ディズムさんのシナリオでは、TRPGでしかできないことをやろうということを意識されていますか?

ディズム めちゃくちゃ意識しています。『カタシロ』では、リアルタイムの会話を通じてシナリオをつくった僕が想像もしなかったような展開を演出したいんです。

自分自身もゲームマスターとして一緒に物語をつくりつつ、視聴者がまだ見たことのない相手の一面を引き出せたらいいなぁと思い、同じシナリオでもいろんな方々を呼んで配信をしていますね。

──そして、その『カタシロ』が舞台になる。

ディズム はい。舞台「カタシロRebuild」として、TRPG配信とはまた違うものをお見せしたいと思っています。

「カタシロRebuild」演者が生でドラマをつくり出す仕掛け

──「カタシロRebuild」のクラウドファンディングは大成功でしたね。おめでとうございます!

ディズム ありがとうございます。返礼品も頑張って送ります(笑)。

──現時点で、舞台化の手応えはいかがですか。

ディズム (インタビュー実施時点で)クラウドファンディングは残り2日となり、現時点で目標達成率は1250%を超えました。間違いなくすごいものになると思っていますが、その分プレッシャーがやばいですね(笑)。

──支援額も3000万円超えで、支援者も3600人以上。(現在は終了、最終的には支援額約4,400万円、支援者約4400人に到達)クラウドファンディングを始めた時、ここまでの成功を収めると思っていましたか?

ディズム まったく思っていなかったですね。最初は目標を100万円に設定しようとしていたんです。

そうしたら、まだら牛さんに「大丈夫、『カタシロ』なら目標額300万円でもいける」と言われて、目標金額を300万円にしました。

いざ蓋を開けてみれば初日で300万円を達成して、さらに目標の10倍以上の支援をいただいて! これはもう頑張っていい舞台にしないとって思ってるところです。 ──そもそも、なぜ『カタシロ』を舞台にしようと思われたのですか。

ディズム ひとつには、驚天動地倶楽部を生で見せたいという想いがありました。普段のTRPG配信や動画だと音声のみの出演なので僕しか知らないんですが、うちのメンバーは生で見たらもっと面白いんです

驚天動地倶楽部

ディズム 同じように、TRPGシナリオとしては病室の中で完結する『カタシロ』も、生の舞台ではもっと別の面白さをお見せできそうだと思っています。

──どんな舞台になるんでしょうか。

ディズム まず、シナリオではゲームマスターが一人二役で演じた「医者」役・「もう一人の患者」役には、それぞれ演者が用意されてちゃんと稽古したうえで舞台に立ちます。

そして、シナリオではプレイヤーが演じる「記憶を失った患者」役には、様々な人をゲストとして起用して、一切稽古せずそのまま舞台に立ってもらおうと思っています。

そして、舞台上で「医者」役の人と「患者」役のゲストが、対話をしながらお話を進めていきます。ここは『カタシロ』のと同じ流れですね。

──舞台上でTRPGを遊ぶわけではないんですね。

ディズム そうです。特に、「カタシロRebuild」では、「医者」は進行役でもあるものの、ゲームマスターのように業務的な連絡はしないですむようにうまい仕組み考えたいですね。

配信の『カタシロ』ではプレイヤーの決断を声だけで聴くことになりますが、舞台では演者が目の前で動いて、悩みながらドラマを生んでくれる。

そういった臨場感が生み出せたらいいなと思っています。

4,400万円を集めた舞台、どこを豪華にするのか

──クラウドファンディングで集まった予算はどのように使う予定でしょうか。

ディズム まずはゲストの方の出演料です。まだはっきりとは確定していないんですが、ゲストの人選はこの舞台のキーでもあります。面白いことになりそうな人に出ていただけるよう、交渉をしています。

あとは、大道具、小道具などにも注力しています。もしクラウドファンディングが失敗したら僕とショーンでパントマイムでもすれば大丈夫だろうと言っていたんですが(笑)、皆さんの支援に応え、舞台そのものも、こだわったものをお見せしたいです。

──ゲストというのは毎回出演する人が違うんでしょうか?

ディズム はい。ゲストは毎回変わります。

──全部の回を見る意味があるということですね。

そうです。ゲストだけではなく、「医者」役や「もう一人の患者」役も変わる可能性があり、全公演が1回こっきりの舞台になる予定です。

──配信では、1度プレイヤーとして参加した実況者のむつーさんが『カタシロ・アナザー』としてシナリオを再構成し、本家制作者であるディズムさんに挑戦したこともありました。「カタシロRebuild」にもそういった展開を期待していいんでしょうか?
【新クトゥルフ神話TRPG】カタシ?ロ CaseX:ディズム
ディズム むつーさんが色々やりたいと言ってたので、そういったことが起こる可能性もありますね(笑)。

──その他、ゲストの発表に先立って、音楽制作としてコンポーザーのK’sさん、『カタシロ』もプレイされているVTuberのコーサカさん、藍月なくるさんの参加が発表されましたね。

ディズム やっぱり『カタシロ』に触れている人が楽曲をつくってくれるのがいいですからね。まず、TRPGの古参配信者・ぱぱびっぷさんと『カタシロ』をプレイしてくれたコーサカさんに参加のお願いをしたんです。

そこから、コーサカさんがK'sさんに声をかけてくれました。

──コーサカさんは、音楽ユニット「MonsterZ MATE」としてヒップホップ楽曲などを制作しています。そのコーサカさんが参加されるとなると、やはりヒップホップになるんでしょうか。

ディズム いえ、流れる箇所にあわせて『カタシロ』経験者の目線から物語にあった劇伴をつくってもらっています。

物語の結末も毎回変わるので、「そんな終わり方だったかっ~!? 」とならないよう、どんな場面でも心に寄り添えそうな曲をつくっていただいています。

ディズムが心から信頼する驚天動地倶楽部の面白さ

──「カタシロRebuild」もそうですが、今後はリアルイベントにもどんどん進出していくのでしょうか。

ディズム そうですね。僕は、配信者の中で一番無駄に運動量が多く、実物をみて楽しんでいただけるのが驚天動地倶楽部だと思っていまして(笑)。

配信・リアルの両方で活躍できるグループとして、どんな場でも驚天動地倶楽部が一番輝けるように模索していきたいです。

驚天動地倶楽部

ディズム まずは初めての挑戦になる舞台「カタシロRebuild」ですね。J.B.、ショーン、ペレ夫の三人が患者役として出演するのは決まっていますし、驚天動地倶楽部がいろんな人の目に触れる機会にもなればいいなと思ってます。

──驚天動地倶楽部のメンバーの公演も、その回でしかみれないということですね。

ディズム そうなんです。でも、例えばショーンが期間中に「患者」として1度出演して、最後の方で「医者」としてまた出演したいとか言いだしたら、何回かお目にかかることもあるかもしれないです。

──「カタシロRebuild」で、リアルでも面白い驚天動地倶楽部の新しい世界を見せたいと。

ディズム みせたいですね! 

「カタシロRebuild」以外にも、僕ら四人の中から、ゲストに犯人を当ててもらうマーダーミステリー的なゲームなど、これまでに築いてきたつながりを活かしつつ化学反応を起こせるような企画を画策中です。

驚天動地倶楽部のメンバーは本当に面白いので、「カタシロRebuild」を含めた我々の今後にぜひご注目ください!

KAI-YOU Premiumで、よりディープな話を

KAI-YOU Premiumでは、配信者・プレイヤー・シナリオ作者として、TRPG配信に関するさらにディープなお話をインタビュー。

TRPGというゲームの楽しさの本質や、YouTubeで流行した理由、そしてVTuberの参戦で起きた変化について。

配信文化と融合するアナログゲーム

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