トレーディングカードゲーム『マジック:ザ・ギャザリング』(以下、マジック)の世界大会で、日本人プロプレイヤーの行弘賢選手が見事優勝を果たした。
今回行われた大会「プロツアー『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』」は、世界各地のチャンピオンシップを勝ち抜いたプレイヤーがラスベガスに集結し、賞金総額50万ドルをかけて戦う世界トップレベルの大会。
行弘賢さんはこれまで複数回の入賞経験があるものの、プロツアーに優勝するのは初。トロフィーと賞金5万ドル(約733万円)が贈られた。
コミュニティに愛されるベテラン『MTG』プレイヤー・行弘賢
『マジック:ザ・ギャザリング』は、アメリカのウィザーズ・オブ・ザ・コースト社が開発するトレーディングカードゲーム。
元祖TCGとして30年以上の歴史を誇ることから、希少価値の高いカードがコレクション目的で高額取引されていることでも知られている。
競技シーンも整備されており、年に3回のプロツアーや、各大会の成績優秀者が招待される年に1度の「世界選手権」などが開催されている。
日本にも、2021年の世界選手権で優勝を果たした高橋優太選手、世界に50人しかいない「殿堂プレイヤー」に認定された八十岡翔太選手など多くの強豪が存在している。
行弘賢選手もまた、プロツアーでの3度のトップ4への入賞経験や、国内大会「グランプリ」での優勝を含む数多くの入賞経験で知られるベテランだ。
大会の公式放送で解説をつとめることもあるほか、『マジック』公式サイトで長年講座記事を連載しており、コミュニティに愛されているプレイヤーとして知られている。
熱狂を生む「FF」コラボセットをフィーチャーした世界大会
行弘賢さんが優勝を果たしたのは、6月20~22日にラスベガスで開催された「プロツアー『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』」。
6月13日に発売され、品切れが続出している「FINAL FANTASY」とのコラボセットにフィーチャーした大会だ。
初日と2日目には、2つの対戦方法を使った予選が開催。今回はパックを開封、使いたいカードを選んで回していき、その場でデッキを構築する「ドラフト」と、直近3年のカードの中から事前に組み上げたデッキで戦う「スタンダード」が選ばれている。
行弘賢さんは、見事1位で2日目を突破。上位8人の中から優勝者を決める、3日目の「スタンダード」決勝ラウンドへと駒を進めた。
決勝では1ゲームも与えず、完封した行弘賢
今回のプロツアーにおける「スタンダード」環境では、選手の使用デッキに大きな偏りが発生していた。
「プロツアー『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』」のメタゲーム/画像はイベントカバレージから
出場者の40%にものぼる140名が使用していたのが、「FF」コラボで登場した《迷える黒魔道士、ビビ》や、様々な環境で力を発揮している「タルキール:龍嵐録」の強力カード《コーリ鋼の短刀》を中心に添えた「イゼット(青赤)果敢」というデッキ。
次いで多かったのは、「イゼット果敢」に有利だとされているデッキ「アゾリウス(青白)全知」の19.9%。
一方、行弘賢選手が使用していたのは、使用率は3位ながらも現環境で強い存在感を放つ「赤単アグロ」。トップ8進出者の半数を占めたデッキにもなった。
行弘賢さんが使用した「赤単アグロ」のデッキリスト/画像は『マジック』公式Xから
3ゲーム先取(BO5)の決勝戦では、「イゼット果敢」を操る新鋭イアン・ロブ選手と対峙。大胆かつ丁寧なプレイングで相手に1ゲームも取らせず、3ゲームを連取。
セレモニーでは、他の日本選手たちに迎えられ、コミュニティからの祝福と共に満面の笑みでトロフィーを掲げた。

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