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HoneyWorksインタビュー 映画『LIP×LIP FILM×LIVE』が夢持つ背中をそっと押す

HoneyWorksインタビュー 映画『LIP×LIP FILM×LIVE』が夢持つ背中をそっと押す

HoneyWorksインタビュー

POPなポイントを3行で

  • クリエイターユニット・HoneyWorksインタビュー
  • ハニワ10周年映画『LIP×LIP FILM×LIVE』が公開
  • Gom、shito、ヤマコに聞く──曲・キャラ・MVづくり
累計動画再生数7億回、YouTube登録者数183万人。ティーン女子から絶大な支持を集め続けるクリエイターユニット・HoneyWorks(通称・ハニワ)。

ボカロ曲から活動をスタートし、甘酸っぱいスクールライフストーリーを紡いだシリーズ作品「告白実行委員会」が大ヒット。

今では神谷浩史さん、戸松遥さん、梶裕貴さん、阿澄佳奈さん、鈴村健一さん、豊崎愛生さんなど人気声優を次々と起用し、楽曲にとどまらずアニメや舞台、シリーズ累計発行部数260万部を超える小説など、さまざまなメディアミックスに至っている。
映画『HoneyWorks 10th Anniversary “LIP×LIP FILM×LIVE”』予告
彼らの活動10周年を記念した映画『HoneyWorks 10th Anniversary “LIP ×LIP FILM×LIVE”』が12月25日から公開中だ。

声優の内山昂輝さんと島﨑信長さんが声を担当し、HoneyWorksの楽曲に登場するバーチャルアイドル「LIP×LIP」の結成秘話を描いた本作。バーチャル舞台挨拶にバーチャルライブなど、既存のアニメ映画の常識を覆す豪華な演出も盛り込まれている。

KAI-YOU.netでは、HoneyWorksへのインタビューが実現。作編曲・プロデュース担当のGomさん、shitoさん。イラスト・ムービー担当のヤマコさんに話を聞き、改めてHoneyWorksの異例の人気の秘密に迫った。

取材・文:ヒガキユウカ

「最初の10秒が勝負」HoneyWorksの曲と映像

『HoneyWorks 10th Anniversary “LIP ×LIP FILM×LIVE”』

──曲を超えてストーリーが続いていくシリーズ構成は、HoneyWorksの大きな特徴だと思います。ストーリーやキャラクターの設定も含めて、どうやって動画づくりを進めているのでしょうか?

shito いろんなパターンがありますよ。「前の動画でこのキャラを出したから、次はその友達を書こう」と思って曲を書くこともありますし、先に曲を書いてから「この曲はこのキャラが歌ってそうだな」って決めることもあります。

あとは、歌詞を書いているタイミングでヤマコに確認をとることもありますね。「このキャラにこういうセリフを言わせようと思うんだけど、ありかな?」とか。

ヤマコ たとえば最初の頃の「告白予行練習」とか「ヤキモチの答え」は作詞先行で、詞を参考にキャラクターのビジュアルを決めていったんですけど、その後は本当にそれぞれですよね。最近はキャラ先行も多いです。
「告白予行練習」
shito 思ったより性格が悪い詞になっちゃって、キャラをそっちに合わせることもありました。

──同じくボカロシーン発のプロジェクトとして、「カゲロウプロジェクト」と並んで名前が挙がるイメージがあります。制作面で刺激や影響は受けていましたか?

ヤマコ 私はカゲプロに限らず、制作時はあまりほかの作品を見ないようにしています。他作品から影響を受けたくなくて。

むしろ自分たちの世界で、どれだけいいものをつくれるか、ファンのみんながどう受け取ってくれるかに集中したい

もちろんインプットするための時間はつくりますけど、つくっている最中は、極力自分たちの中で完結させようとしていますね。 Gom なんだろう……動画上げる日はかぶりたくない、くらいかな(笑)。

ヤマコ 投稿日かぶりがちだからね。

──投稿日のお話がありましたが、YouTubeやニコニコ動画といった動画サイトでコンテンツを展開していく上で、今も意識していることはありますか?

shito HoneyWorksの場合は、あまり深い時間にならないようにしています。10代の方も見てくださっているので。

Gom 僕は最近、曲を長くしすぎないようにしています。あと頭サビにしたり。

shito 最初の10秒が勝負ですよね。曲でも映像でも。

ヤマコ 最近の子って膨大な楽曲にすぐ触れられる環境があって、選択肢がたくさんある。だから、取捨選択の判断スピードが速いんですよ。

パッと見て「あ、面白くないな」と思ったらすぐに引き返してしまう。だから映像でも頭のほうに綺麗な一枚絵を持ってくるとかして、インパクトを出せるように意識しています。

恋愛&胸キュンな要素はSNSで見かけたエピソードから

──歌詞やストーリーにおける恋愛描写や胸キュン要素については、何か参考にしているものがあるのでしょうか?

shito SNSで見かけたエピソードとかですかね。「金曜日のおはよう」はもろにSNSから影響を受けています。

「外歩いてたら女の子が手鏡を出して髪型を整えてて、次の瞬間男の子の方に走っていって、おはようって挨拶してた」というツイートを見つけて、題材にしました。そんな感じで、気になったことはメモするようにしてますね。
「金曜日のおはよう」
──「おはようのオーディションして 髪型もバッチリOK」の歌詞ですね。

Gom 何か意識してリサーチするというよりは、生活していて勝手に入ってくるものを忘れないようにしている感じです。

あとは妄想とか願望ですね。こうだったら良いなとか、こうなったら視聴者さんに喜んでもらえるかなとか。

「少女漫画風MV」はどうやって生まれたのか?

──そもそも、なぜ少女漫画風のMVをやるようになったのでしょうか? 当時のニコニコ動画では、あまりなかった見せ方ですよね。

Gom もともと僕とshitoくんはニコニコ動画で一緒に音楽をやってたんですけど、当時少女漫画にハマって、貸し借りしてたんですよ。

それと同じ頃にボカロでオリジナル曲をつくってみたいという話になって、じゃあ今少女漫画読んでるし、恋愛ソングかなと。自然な流れでしたね。

shito 当時のボカロ曲は初音ミクが登場するMVが多かったんですが、ヤマコの絵柄が少女漫画風だったこともあって、オリジナルキャラクターをつくって漫画みたいに吹き出しがあるMVにしようって話になりました。

MVをシリーズものにする想定は、最初はなかったんです。ただ「ヤキモチの答え」のMVに「初恋の絵本」とか「告白予行練習」のキャラクターを出して、世界が繋がってるようにしたら面白いんじゃないかって。
「ヤキモチの答え」
「初恋の絵本」
shito そうしたら、予想以上にコメントで反応してもらえて。喜んでくれるなら続けようと思ったんです。

──ヤマコさんの画風も重要な要素だったと。お2人とヤマコさんはどのように出会ったのでしょうか?

Gom もともとTwitterでフォローしてくれていたので、彼女のことを知ってはいたんです。

それでpixivでイラストを見に行って、雰囲気が合いそうとか、いろんな表情を上手に描けるとか、描いている頻度を見て「枚数描けそうだな」とか、そのあたりで判断して、声をかけました。

ヤマコ 当時はニコニコ動画にハマりたての頃で、ボカロのファンアートをたくさん描いていました。オリジナルもやってみたいなとは思っていたので、GomからDMをもらったときはすごくうれしかったですね。

“自分次第で世界は広がる”『LIP×LIP FILM×LIVE』

──今回の映画でフォーカスされる「LIP×LIP」の勇次郎と愛蔵についても聞いていきたいと思います。2017年の「ロメオ」で初めてフォーカスされ、瞬く間に人気となった彼らですが、どのようにして生まれたのでしょうか?

shito 「アイドルをプロデュースしたい」と考えていた時期があったんです。リアルのアイドルに楽曲提供する形でも良かったんですけど、僕としては曲以外も含めて自分たちでつくりたいって思っていて。それでGomとヤマコに「ハニワでアイドルやってみないか」って話をして。

内山昂輝さん演じる勇次郎

島﨑信長さん演じる愛蔵

実はその時点で、男性の2人組っていうのも自分の中で決まっていました。それまで女性ものを書いてきたので、そろそろ男性ものもやりたいなって(笑)。2人組にしたのは、対象的な2人を組ませたら面白い化学反応が起きるんじゃないかなと思ったからですね。
「ロメオ」
──勇次郎は内山昂輝さんが、愛蔵は島﨑信長さんが声を担当されていますね。

ヤマコ ハニワの声優さんはオーディションではなく、基本的に3人で相談して打診しています。「LIP×LIP」のときはそれこそアイドルだったので、歌っていただくことを前提に考えて、いろんな方の歌を聴いて決めていきました。

──その打ち合わせ、楽しそうですね…! なぜ今回、この2人にフォーカスした映画をつくることになったのでしょうか?

Gom 今までの映画も一緒にやっている斎藤俊輔プロデューサーからご提案いただいたんです。 Gom 楽曲ではアイドルとしてのキラキラした面が中心に描かれてきましたが、一方でひねくれている部分もある2人だから、そういうプライベートな一面も掘り下げたいと。結成秘話に焦点を当てるのは、打ち合わせで決めていきました。

──今回の映画を通して、伝えたいことを教えてください。

shito 若い子たちって、将来に対して不安を抱いてると思うんです。それはきっと、見えている世界が家や学校という狭い世界に限定されているから。でも本当はいろんな夢を描けるんだよ、世界は広いんだよ、ということを伝えたいです。

夢を持つこと、その背中を押したい。エンディングの「この世界の楽しみ方」も、そういうメッセージを込めた曲になっています。
「この世界の楽しみ方」
ヤマコ 勇次郎と愛蔵って芯が本当に強くて、「変わりたい、このままじゃ駄目だ」って思う気持ちとか、やりたいことのために頑張り抜く心の強さを持ってるんですよね。

映画ではアイドルオーディションに応募して、それがきっかけになって、キラキラしたアイドルになるまでの過程が描かれています。

そういう「一歩を踏み出すチャンス」って誰にでもあるし、世界を狭めるのも広げるのも自分次第だよっていうのも、今回のメッセージだと思います。 ──「LIP×LIP」の2人はワンマンライブもしていますし、ジャニーズJr.のなにわ男子ともコラボするなど、ますますバーチャルアイドルとして存在感を確立しています。今後、HoneyWorksの中でどんな立ち位置になっていくのでしょうか?

ヤマコ ライブやタイアップといったアイドルとしての活動もありつつ、「告白実行委員会」の中ではリアルな男子高校生としての姿が描かれる、その両方で走っていくと思います。

だからアイドルとしても応援できるし、普段の姿が見たかったらHoneyWorksを追えばいい。その両方が楽しめるのも「LIP×LIP」の魅力かなと思います。
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