ニジガクが受け継ぐ「ラブライブ!」の魂
──ニジガクはメンバーのソロ活動の比重が大きいのが特徴です。楽曲を歌唱するメンバーをファン投票で決めたりと、メンバー間で競い合う機会も多いですが、キャストの皆さんとしてもお互いに対するライバル意識を持っているのでしょうか?楠木 メンバーたちは確かに互いをライバルだと思っていて、あの子には負けないって気持ちを持っていると思いますけど、キャスト同士は互いにリスペクトしている意識が強いです。
メンバーのことを一番わかっているのはそれぞれのキャストだし、パフォーマンスもそれぞれの特徴が活きているからこそ、勝ち負けの意識より、憧れや尊敬の気持ちが大きくて。
相良 キャストみんなが自分のメンバーのことを大事にしていて、それぞれの個性を輝かせようとしているからこそ、ライブでのパフォーマンスはもうそのメンバーにしか見えないんですよ。
メンバーを一番理解しているからこそのパフォーマンスをそれぞれが繰り広げているので、みんなの真摯な姿に感動することのほうが多いですね。
鬼頭 確かにみんなのステージを見ると、自分も頑張ろうって気持ちになる。追いつきたいなって思わせてくれるし、それぞれがそれぞれに対して良い影響を与え合う存在になってると思います。 ──そもそも、これまでの「ラブライブ!」とは異なりソロを中心とした活動になると聞いたときは、どんな印象でしたか?
楠木 私は同じ事務所にAqoursの伊波杏樹さんがいらっしゃって、特にAqoursさんの活動の印象が強かったので、ソロ中心のニジガクは新しい挑戦だなと感じました。
今までとは違うからこそ、どこに焦点を当てていくんだろうとか不安に思うこともありましたが、わからないからこそのワクワクやドキドキ、新鮮な楽しみもありました。
ただ今でこそみんなで深い話もできるほど仲が良いですが、当時の私から見たら皆さん先輩だったので、その環境で上手くやっていけるか、新人ならではの不安はありました。 相良 私はもともとラブライバーだったので、余計にビックリしてワクワクしました。μ’sさんやAqoursさんはグループの成長を描いてたけど、ソロが中心になるとどんな物語になるんだろうって楽しみでした。
一方で、より自分自身が頑張らないといけないかもっていうプレッシャーは感じていて。
実は、私は違うメンバーを志望してオーディション受けていたんです。なのでかすみんとして受かった後に、1からかすみんを理解して、かすみんの気持ちに近づいていかないといけないという思いがあったんです。
なので、他のキャストのみんな以上に頑張らないとって気持ちでしたし、「私が頑張ってこの子を輝かせないといけない」と思っていたので、当時はメラメラと競争意識を燃やしていた気がします!
鬼頭 それ初めて聞いた(笑)。
相良 当時は声優としてデビューしたてだったから、受かったからには本気で頑張らないといけないし、誰にも負けないってくらい気持ちが熱かったんだよ!
楠木 もともと『ラブライブ!』が好きだったから思いも強かったんだろうし、それも含めてやっぱりかすみんとそっくりだね。
鬼頭 私は当時はそこまで深刻に考えてなかったというか、ゲームを中心にそれぞれソロで活動していくなら、私は私で頑張ればいいのかなくらいに思っていたんです。
でも実際に活動が始まってみると、関わりが少ないと思っていたキャスト同士でも長く時間を共にするようになっていて、お互い切磋琢磨しながら高め合う存在になっていました。最初に思い描いていたものとは違いますけど、今思うといい誤算だったなって。 ──これまでとの違いはありつつ、シリーズとして継承しているものもあると思いますが、皆さんはそれをどこに感じていますか?
鬼頭 「ラブライブ!」って可愛い女の子たちのアイドルものですけど、結構スポ魂な話なんです。グループとソロで形態は違えど、夢に向かって頑張るっていう姿勢は私たちも継承していきたいと思います。
楠木 ソロとグループでの違いは、技術的なことより気持ちの部分で大きく出てくると思うんですが、同じスクールアイドルとして「ラブライブ!」というコンテンツに対する思いの強さは私たちも繋いでいきたいです。
相良 私はキャストとメンバーの距離が近くて、ライブでは本当に重なって見えるのが「ラブライブ!」の大きな特徴だと思っています。
振りを揃えるだけではなく、本当の意味でのシンクロを目指すのが「ラブライブ!」なら、私たちニジガクも追い求めていかないといけないと思います。
「悩んでるとかすみんが声をかけてくれる」
──ニジガクでの活動を通じて、ご自身の成長を感じることなどはありますか?楠木 私は今までこんなに長く1人の役に向き合うことがなかったので、せつ菜に影響されることや学ぶことはすごく多いです。
一番大きく変わったのは考え方の部分で、せつ菜と向き合う中でこれまで自分になかった発想が生まれてくることがありました。
演じるだけとかパフォーマンスするだけとか、個々の活動をするだけでは、ここまでせつ菜のパーソナルな部分を感じられなかったと思います。そうやってせつ菜のことを深く知れたことは、他のお仕事でも表現に取り組む上での大事なキーになりました。 相良 私もこんなに濃くかすみんと歩めるとは思っていませんでした。
今ではかすみんのことを考えなくても側にいるような感覚があって、悩んでるとかすみんが声をかけてくれることがあるんです(笑)。
楠木・鬼頭 え?!
相良 それくらい自分にとって頼りになる存在になってるってこと! 落ち込んだりすることもあるけど、すぐに前向きになる彼女の姿勢にいつも励まされています。
楠木 落ち込んじゃっても、かすみんならきっとこう言ってくれるだろうなって思うんだね。そこまでの存在に感じられるのは、やっぱり私たち1人ひとりがメンバーのことを世界で一番理解しているって気持ちがあるからだと思う。
鬼頭 私はニジガクに参加する前からライブをする機会があったんですが、本当にライブが苦手で(笑)。
自分がステージに立って歌って踊りながら、役を演じるということに対しての難しさをずっと感じていました。でもニジガクでの活動を通じて、これまでより深くメンバーに対して向き合えて、そこで初めてステージの上でその子になることを意識できるようになったんです。 鬼頭 今ライブがすごい楽しいって思えているのは、彼方に出会えたから。本当に強くそう思っています。
相良 リハやライブの後に長文のLINEをみんなに送ってくれるよね。
鬼頭 うん(笑)。「校内マッチングフェスティバル」(※)のリハのときに送ったのが最初だったと思うけど、あの頃の私はまだライブに対する熱意が足りてなくて、リハの時点でもうメンバーにしか見えないくらい入り込んでるみんなを見て恥ずかしくなったんだよね。
同時にもっと頑張らなきゃと思ったし、みんながどれだけかっこよかったかを伝えようとしたんだけど、口下手だから長いLINEになっちゃった(笑)。
グループでの活動が中心だったら、私もそこまで影響を受けなかっただろうし、みんなの頑張りを感じることができたのは、ソロを中心に取り組むニジガクだったからこそだと思う。
※校内マッチングフェスティバル:2019年に品川で行われたトーク&ライブイベント
「夢見て憧れて また夢が見たいんだ」
──「ラブライブ!」は言わずと知れた人気シリーズです。ニジガクとして活動を続けていく中で、それゆえのプレッシャーを感じる場面もあったのではないでしょうか?相良 「ラブライブ!フェス」に参加したときは、これまでの歴史をつくり上げてきた先輩たちとの共演でした。今まで立ったことのない大きなステージに1人で立たなくちゃいけなかったので、人生で一番かってくらいの緊張とプレッシャーを感じました。
先輩たちと比較されて大丈夫かなとか、それでもかすみんとして胸を張ってパフォーマンスしようとか考えていたんですけど、全員曲のパフォーマンス中に、一緒にステージに立つみんなと目を合わせたときに、いろいろ考えてたことがパーンと弾けたんです!
楠木 何? 何が弾けたの!?
相良 よく見せようって思うことは大事だけど、「これが私たちニジガクなんです」って思いを素直に表現できれば、きっと見てくださってる方にも伝わるから、安心していいんだってみんなの笑顔を見たときに感じた。
せつ菜はキャスト発表前から人気がある子だったので、どうやってこの子と向き合えばいいんだろうと悩むこともありました。加えて私自身、自分の顔を出して活動することに対する不安もあって、ライブのパフォーマンスも納得するものまで仕上げることができず、活動を続けていくうちにどんどんプレッシャーが強くなっていくという……。
相良・鬼頭 大丈夫!?
楠木 大丈夫! 基本的にネガティブ思考だから!(笑)。そんな気持ちのままフェスを迎えたんですけど、そのときにやっと納得のいくパフォーマンスができたのかもしれないと、ファンの皆さんが楽しんでいただいている様子から感じることができたんです。
同時に、フェスで先輩方のパフォーマンスを肌で感じて、私たちも「ラブライブ!」の一員なんだと実感できたことで、1つ壁を乗り越えられた感覚がありました。
鬼頭 ニジガクはラブライブ!シリーズの新展開ということもあり、キャスト発表前からファンの方の熱量も高くて、逆にそれがプレッシャーでもあり……。
最初はシリーズに恥じないようにとか、少しでも失敗してしまうと期待を裏切ってしまうんじゃないかと不安になっていたんですけど、活動を続けていくうちに、期待してくれているからこそ高い熱量で応援してくれているんだって思えるようになって。
実際にライブでファンの皆さんを目の前にしたときに、声援をくれたりペンライトを振ってくれたりする姿を見て、この人たちは味方なんだ、心強いなって感じました。
──放送中のアニメに加え、『スクスタ』でも新展開が始まっていますが、ニジガクの活動の柱として欠かせないのはやはりライブだと思います。ここまでもライブに対する思いの強さを語っていただきましたが、最後に改めて次なるライブへ懸ける思いをうかがえますか?
相良 実を言うとこの前の2ndライブでは、あまり納得のいくパフォーマンスができなかったんです。「ラブライブ!フェス」で1つ殻を破った自分ならもっとできるはずだって。
アニメでまた曲も増えましたし、かすみんもどんどん成長している。自分の納得のいくパフォーマンスをすることはもちろん、より魅力的になったかすみんの可愛いさと、相良としてはかっこいいところも見せたいです! 鬼頭 これまでの彼方は、一本筋の通った自分の世界をライブで表現していたんですが、アニメで新たな一面を知ることができたし、雰囲気が大きく異なる新曲もあるので、ライブでももっと新しい彼方を見せていきたいです。
今まではみんなに比べて曲調も振り付けもゆったりだったので、ソロ曲では結構楽をしていたんですけど、今度ばかりは覚悟を決めて頑張らないとなって(笑)。 楠木 誰もあかりんが楽してるなんて思ってないよ(笑)。
私の場合はどういうライブの形態になるにせよ、ライブでのパフォーマンスを追求するためにせつ菜の気持ちからアプローチを始めるのは変わりません。 楠木 「前のパフォーマンスが良かった」と言われるのが一番いやなので、毎回少しずつでも自分のパフォーマンスは進化させようとしています。
アニメをきっかけにニジガクを知って、次のライブが初めての機会になる方もたくさんいると思います。そこで改めてニジガクってこんなにすごいんだって姿を一致団結して見せていけたらいいなって思います。
TVアニメ『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』関連CD
©2020 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会この記事どう思う?
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