「これが私たちニジガク」相良茉優、楠木ともり、鬼頭明里が語る「ラブライブ！」の継承

「せつ菜は周りを見ているというか、見えすぎている」

──アニメを通じて改めてメンバーと自分の共通点など気づいたことはありましたか？

楠木　私も中学時代に生徒会長をしていたので、普段からせつ菜と似ているって言われるんですけど、アニメのせつ菜は今までよりさらに気持ちを理解できたように感じています。

これまでのせつ菜は、周りが見えているようで見えていない感のある女の子だったけど、アニメでは周りを見ているというか、むしろ見えすぎている。

同好会を強制的に廃部にしようとしたことも、見ている方からは、なんで他のメンバーに相談しなかったんだろうって感じると思うんです。 楠木　でも彼女は、メンバーと衝突したけど、あくまで方向性の違いであることがわかっていた。だから余計な衝突を避けていち早く同好会が復活できるように、あえて誰にも言わずに行動したんだと解釈しました。

そうやって周りの気持ちを考えすぎるあまり、選択を誤ることが私もよくあって、せつ菜の考えはかなり共感できました。

相良　かすみんは表情がころころ変わる子で、私も自覚はないけどそんな感じらしいんですよ！

楠木　いつも楽しそうではあるよね（笑）。

鬼頭　遠くにいても相良の笑い声だなってわかるくらいに元気なところは似てる（笑）。

相良　アニメだと「スクールアイドル同好会」のプレートを取り戻すために、生徒会室に忍び込んだりと行動力がすごいんですが、今の自分というよりは子どもの頃の自分に似てるのかもって。

空回りしちゃうこともあるけど、自分がなりたいスクールアイドル像を真っ直ぐ見据えて進んでいけるのは、今の私とも共通する部分だと思います。 相良　彼女は2話で、周りが見えていなかった自分に自ら気づけたんですが、同じく熱しやすくて猪突猛進な私は、最初に台本をいただいたときにかすみんの心情の変化を掴みきれなかったんです。

でも丁寧に読み解いていくうちに、かすみんに気づかせてもらったという感覚があって、かすみんのほうが私より大人だなと感じました。

鬼頭　自分を信じて頑張ってるところもやっぱりかすみんとそっくりだよね。

彼方と私は、寝るのが大好きなところがよく似ています（笑）。彼方はやりたいことのためにやるべきことを頑張ってるから、いつも眠そうにしてる。 鬼頭　私も自分の好きなことをやるための準備で寝不足になることが多いから、かなり共感できます。

収録は別でも「相手が何を言うかわかる」ニジガクの積み重ね

──新型コロナウイルス感染症の拡大の影響もあって、収録も従来通りにはいかなかったと思いますが、苦労された点などはありましたか？

楠木　個人的にはそこまで苦労はありませんでした。いくつかのグループに分かれて収録したんですが、私の場合は順番が後で、ある程度は前の人たちの音を聞きながらできたので。でも何もない状態で収録しなくちゃいけなかったグループは大変だった……？

鬼頭　そこまで大変じゃなかった（笑）。私はその最初のグループだったんですけど、これまではずっと一緒に収録していたので、バラバラになってもこの子はこう言うだろうなって想像ができたんです。

相良　確かに9人揃って収録してきた積み重ねがあるから、こう言えばこの子はこう返してくるだろうなって自然にわかるよね。これがみんな初めましてだったら本当に大変だったと思う。 鬼頭　ニジガクのメンバーとのやりとりは大丈夫なんだけど、彼方の妹・遥ちゃんと一緒に録れなかったのは大変だった。収録での苦労っていうとせつ菜と菜々の演じ分け（※）も難しかったんじゃない？

楠木　『スクスタ』で最初に演じたときは私自身がこのお仕事を始めたばかりで、単純に技量がなくて演じ分けに苦労してた……うぅ、記憶が猛烈に蘇ってきた！

相良・鬼頭　（笑）。

楠木　でも、アニメでは菜々の思いも丁寧に描かれていたし、喋り方やテンションでしっかりと違いを表現できたと思う。「菜々とせつ菜が同一人物だと思わなかった」と言ってくださる方も多くて、それは役者としてすごく嬉しかったな。

※優木せつ菜と中川菜々：校内で誰も見たことがないという謎のスクールアイドル・優木せつ菜は、普段は虹ヶ咲学園の生徒会長・中川菜々として生活している