『ハイスコアガール』問題で浮き彫りになった、著作権の理解度の低さ

『ハイスコアガール』問題で浮き彫りになった、著作権の理解度の低さ
『ハイスコアガール』問題で浮き彫りになった、著作権の理解度の低さ

画像は『ハイスコアガール(5) 初回限定特装版』(スクウェア・エニックス)

押切蓮介さんの漫画『ハイスコアガール』の著作権法違反をめぐる問題で、出版元のスクウェア・エニックスが刑事告訴され、単行本を自主回収する騒ぎに発展してしまいました。

『ハイスコアガール』は90年代に流行したアーケードゲームをモチーフにしながら、少年・少女の青春を描く名作として知られ、今最も人気のあるコミックスの一つです。

単行本の末尾には、作中に登場し、押切さんの手によって描かれたりするゲーム作品の著作権保持者であるメーカーを©マークを使い、一覧化しています。今回の件で、この一覧の使われ方が「許諾を得たかのような体裁」に見えるとして一部メディアで報道され、インターネット上でも物議を醸しています。 多くの方が、「©マーク=許諾を取っている証」として認識していることが分かります。しかし、これは間違いです。

©マークとは一体なんなのか?

©マークとは、対象の作品が権利的に保護されていますよ、という目印。(c)と表記することも可能になっています。その後ろには、著作権者の個人名や団体名、次に作品発表時の年号が続きます。簡単にいうと、「この作品には著作権保持者がいます」という目印です。コピーライトマークと呼びます。

1952年9月6日にジュネーブにて作成された著作権の保護に関する国際条約「万国著作権条約」で定められたマークです。ただ、日本では©マークの記載がなくても、それが「作品」として認められれば、自動的に著作権は発生します。海外では著作権を登録式にしている国もあるため、このように名乗り出る・表明する必要があるためにつくられました。

つまるところ、「使用許諾を得た証」ではまったくありません。

著作権に対するリテラシーの低さ

日本は世界中でもっとも漫画に親しみのある国だといえると思います。コミックマーケットをはじめ、二次創作の文化も盛んですし、近年では海外向けの事業や国策としても、漫画・アニメといった表現・コンテンツを用いることが増えてきました。

しかしながら、今回の件で明るみになった通り、著作権に対する考え方や知識がまったくといっていいほど、それらのユーザーに根付いていません。著作権法が国内では親告罪であるという点や、著作権法に明記されている「引用」の概念も知らずに、著作権をめぐる炎上やトラブルは日夜発生しています。

『ハイスコアガール』はこれまで刊行したコミックスを自主回収するという事態にまで発展しています。改めて、著作権と作品、表現の関係性を考えるきっかけになった大きな事件だと思います。

しかしながら連載は続くということで、引き続き編集部一同楽しみにしていきたいです(次の刊がもろに「サムライスピリッツ」のバトルのはずなんですが、大丈夫でしょうか...!)。

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