第13回女による女のための「R-18文学賞」 選考委員に三浦しをん、辻村深月

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第13回女による女のための「R-18文学賞」 選考委員に三浦しをん、辻村深月
第13回女による女のための「R-18文学賞」 選考委員に三浦しをん、辻村深月

画像は公式サイトより Illustration by hosoyo

新潮社による「第13回女による女のためのR-18文学賞」の募集要項が発表された。応募受付は8月5日正午から開始。

R-18文学賞とは作品の応募者が女性に限定されるのはもちろん、選考委員も女性に限定された〝女性による女性のための〟文学賞である。

第1回目が開催された2002年当時は、官能小説とは男性のためのものという風潮にあったが、最近では女性が性について書くことは珍しいことではなくなり、素晴らしい書き手も増えているとのこと。そこで性について言及する作品を募集するテーマから、第11回以降「女性ならではの感性を生かした小説」というテーマに変え、官能描写の有無にかかわらず、小説だからこそ表現できる〝女性が持っている誰にも伝えられない感情〟を表現した作品を募集している。R-18とあるように、あくまで大人が楽しめる作品が求められるが、応募に年齢制限は規定されていない。15歳の熟女でも、80歳の少女でもOKとのことだ。

また、選考委員を『まほろ駅前多田便利軒』、『舟を編む』の著者である三浦しをんさんと『冷たい校舎の時は止まる』、『ツナグ』『冷たい校舎の時は止まる』の著者である辻村深月さんという、今もっとも勢いのある女性作家が務めることになっている。豪華な選考委員が選ぶ作品がどのくらい濃密な作品なのか期待も大きい。また2人が応募作についての選評も楽しみである。なお、書くことはできないけれど、読むのは大好き、という読者のために「読者賞」も設けられている。Web上で最終候補作品を公開し、女性読者限定で感想コメントする。

過去には、窪美澄さんの同賞受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』で第24回山本周五郎賞受賞、2011年本屋大賞2位を受賞し、2012年には映画化も果たす。また、第7回大賞の蛭田亜紗子さん作品『自縄自縛の二乗』は、竹中直人さんによって映画化、第3回大賞と読者賞を受賞した吉川トリコさん作品『ねむりひめ』が、麻生久美子さん、大泉洋さん出演映画『グッモーエビアン!』の原作となるなど、R-18文学賞の中には映画化されているものも多数あり、R-18文学賞でデビューした作家の活躍が見られる。このように、R-18文学賞は、性をテーマにすえた新人賞として、一定の社会的役割を果たしてきた。

近年、女性用のアダルトビデオの登場などに見られるように、社会的に女性が性を楽しむことに一定の理解が得られるようになったように思えるが、今回の文学賞も女性が自分の性を楽しめる社会に貢献するものになるのではないだろうか。官能をテーマにしたものだけではなく、女性ならではの感性が輝く作品に期待したい。また、三浦しをんさんと辻村深月さんが応募作品をどのように読むのかも楽しみだ。
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