Amazonが「コミケ」(コミックマーケット)に初出展しているのをご存知だろうか?
東京ビッグサイトで12月28日から開催中の「コミックマーケット97」(C97)会場に足を運んだ参加者の中には、もしかしたら目撃した人もいるかもしれない。
大々的に(と言うよりほとんど)告知されていたわけではなかったため、恐らく大半の人が知らなかっただろうが、ひっそりと企業エリアで「Amazonのコミケ初出展」を果たしていた。
会場で目にした筆者は、Amazonブースを直撃した。
これまでの会場から少し離れた青海展示棟で展開されている企業ブース。初日や2日目は、午前中から限定グッズ目当てに訪れる参加者でごった返した。 Amazonは「Amazon Kindle」としてコミケに初出展(ブース:1334)。
お馴染みの段ボール箱を模したデザインのブースには、現在開催中の「第1回Kindleインディーズマンガ大賞」のフライヤーなどが配布されている。 これまでAmazonによる電子書籍の自主出版サービス「Kindleダイレクト・パブリッシング」(KDP)を通じて、作家が出版社を通さずに様々な作品が販売されてきた。
「Kindleインディーズマンガ」は、その仕組みを通して、漫画家がKindleストアに作品を無料公開できるという試み。
作品の人気度に準じて作家に分配金を提供する「インディーズ無料マンガ基金」も存在する(関連記事)。 コミケ出展は、こういった試みをアピールする手段の一つだ。
「アニメや漫画、ゲームなどを心から愛する人たちの集うコミケという場所で、新しい才能を発掘する試みを知ってもらいたいと思いました」と担当者は語る。
「我々はKindleで漫画を扱っているわけですが、中には(紙の)漫画だけで読む人や、アニメやゲームのファンもいらっしゃる。そのため、必ずしも皆さんがAmazon、Kindleのことを知ってらっしゃるわけではないと考えています。
そういった人に、そもそも電子書籍の漫画を扱っているKindleのことを知ってほしいと思って参加させていただきました」(「Amazon Kindle」担当者)
Kindleは専用の端末がなければ読めないというイメージを持っている人もいるが、今ではスマホのアプリだけではなくブラウザからも閲覧が可能になっている。
コミケ出展をきっかけに、クリエイターの発掘はもちろん、どこでも読めるKindleの利用者を増やしたいという狙いだ。
どういう人がどういうものを求めてコミケにきているのか、日本の漫画の動向調査の一環として、担当者はこれまでもコミケには何度も参加しているという。 「本当に心から漫画やアニメが大好き、という方が集っている場所で、創作するだけではなく、(それを受け止める)ファンのパワーを感じます」(「Amazon Kindle」担当者)
そもそも日本の漫画ユーザーは、世界各国で電子書籍を展開するAmazonの目にはどのように映っているのだろうか? 素朴な疑問をぶつけてみた。
「(日本のユーザーは他国のユーザーとは)全然違います。だから我々も、特に電子書籍の漫画に力を入れて運営しています」と即答された。
思い出されるのは、読み放題サービス「Kindle Unlimited」をリリースした際の大反響だ。その話題を振ると担当者は「そうですね、あの時は大変勉強させてもらいました」とだけ応えてくれた。
2016年8月にサービスを開始した「Kindle Unlimited」だが、予想を圧倒的に上回る漫画の閲覧があったため、Amazonは各出版社との契約事項の変更を余儀なくされた(当時、出版社がそういった経緯を発表した)。現在では、ラインナップもリリース時とは大幅に異なっている。
その出来事は一言で言えば、Amazonの予想をはるかに上回るほど「日本のユーザーは漫画をよく読む」という点に尽きると言えるだろう。
そうした「Kindle Unlimited」の反響を踏まえて、前述のように日本では漫画に力を入れているという。
例えば、日本ではランキングで他の人のニーズを知りたいという要望が多かったため、他ジャンルとは異なり、Amazonの「Kindleマンガストア」ではランキングを全面に打ち出したUIを実装したと説明してくれた。
それにしてはひっそりとした佇まいが気にはなるが、実際のブースには物珍しそうに覗きに来る参加者の姿が。 ブースでの説明を受け、インディーズ漫画の試みを初めて知ったという方もいた。コミケの企業参加について担当者は「手応えを感じています」と語っている。
すでに近年では、同人誌即売会での頒布と同時に、各種Webサービスを利用して電子書籍版を販売するという動きが増えてきている。
特に、日本のイラストSNSサービス「pixiv」と連携した創作物の総合マーケット「BOOTH」(ブース)の存在が大きい。手数料が他の追随を許さないほど安価であるため、活発に利用されている印象だ。
KDPでの販売・無料配布という複数の選択肢も推進している「Amazon Kindle」が、日本の同人文化とどのような化学反応を起こすのか。
今回のコミケ初出展は、その“小さな一歩”と捉えることもできるかもしれない。
東京ビッグサイトで12月28日から開催中の「コミックマーケット97」(C97)会場に足を運んだ参加者の中には、もしかしたら目撃した人もいるかもしれない。
大々的に(と言うよりほとんど)告知されていたわけではなかったため、恐らく大半の人が知らなかっただろうが、ひっそりと企業エリアで「Amazonのコミケ初出展」を果たしていた。
会場で目にした筆者は、Amazonブースを直撃した。
Amazon「コミケでつくり手や読み手の発掘を」
この夏の「C96」から引き続き、東京オリンピック・パラリンピックの影響で期間を4日間、新たに建てられた青海展示棟を使って12月31日まで開催されている「C97」。これまでの会場から少し離れた青海展示棟で展開されている企業ブース。初日や2日目は、午前中から限定グッズ目当てに訪れる参加者でごった返した。 Amazonは「Amazon Kindle」としてコミケに初出展(ブース:1334)。
お馴染みの段ボール箱を模したデザインのブースには、現在開催中の「第1回Kindleインディーズマンガ大賞」のフライヤーなどが配布されている。 これまでAmazonによる電子書籍の自主出版サービス「Kindleダイレクト・パブリッシング」(KDP)を通じて、作家が出版社を通さずに様々な作品が販売されてきた。
「Kindleインディーズマンガ」は、その仕組みを通して、漫画家がKindleストアに作品を無料公開できるという試み。
作品の人気度に準じて作家に分配金を提供する「インディーズ無料マンガ基金」も存在する(関連記事)。 コミケ出展は、こういった試みをアピールする手段の一つだ。
「アニメや漫画、ゲームなどを心から愛する人たちの集うコミケという場所で、新しい才能を発掘する試みを知ってもらいたいと思いました」と担当者は語る。
「我々はKindleで漫画を扱っているわけですが、中には(紙の)漫画だけで読む人や、アニメやゲームのファンもいらっしゃる。そのため、必ずしも皆さんがAmazon、Kindleのことを知ってらっしゃるわけではないと考えています。
そういった人に、そもそも電子書籍の漫画を扱っているKindleのことを知ってほしいと思って参加させていただきました」(「Amazon Kindle」担当者)
Kindleは専用の端末がなければ読めないというイメージを持っている人もいるが、今ではスマホのアプリだけではなくブラウザからも閲覧が可能になっている。
コミケ出展をきっかけに、クリエイターの発掘はもちろん、どこでも読めるKindleの利用者を増やしたいという狙いだ。
「日本の漫画好きは、他の国とは全然違う」
同人のつくり手や読み手の集うコミケ。どういう人がどういうものを求めてコミケにきているのか、日本の漫画の動向調査の一環として、担当者はこれまでもコミケには何度も参加しているという。 「本当に心から漫画やアニメが大好き、という方が集っている場所で、創作するだけではなく、(それを受け止める)ファンのパワーを感じます」(「Amazon Kindle」担当者)
そもそも日本の漫画ユーザーは、世界各国で電子書籍を展開するAmazonの目にはどのように映っているのだろうか? 素朴な疑問をぶつけてみた。
「(日本のユーザーは他国のユーザーとは)全然違います。だから我々も、特に電子書籍の漫画に力を入れて運営しています」と即答された。
思い出されるのは、読み放題サービス「Kindle Unlimited」をリリースした際の大反響だ。その話題を振ると担当者は「そうですね、あの時は大変勉強させてもらいました」とだけ応えてくれた。
2016年8月にサービスを開始した「Kindle Unlimited」だが、予想を圧倒的に上回る漫画の閲覧があったため、Amazonは各出版社との契約事項の変更を余儀なくされた(当時、出版社がそういった経緯を発表した)。現在では、ラインナップもリリース時とは大幅に異なっている。
その出来事は一言で言えば、Amazonの予想をはるかに上回るほど「日本のユーザーは漫画をよく読む」という点に尽きると言えるだろう。
そうした「Kindle Unlimited」の反響を踏まえて、前述のように日本では漫画に力を入れているという。
例えば、日本ではランキングで他の人のニーズを知りたいという要望が多かったため、他ジャンルとは異なり、Amazonの「Kindleマンガストア」ではランキングを全面に打ち出したUIを実装したと説明してくれた。
Amazonの“小さな一歩”
そうした日本版Amazonで特に力を入れた漫画の電子書籍ストアをアピールする絶好の機会である、コミケ出展。それにしてはひっそりとした佇まいが気にはなるが、実際のブースには物珍しそうに覗きに来る参加者の姿が。 ブースでの説明を受け、インディーズ漫画の試みを初めて知ったという方もいた。コミケの企業参加について担当者は「手応えを感じています」と語っている。
すでに近年では、同人誌即売会での頒布と同時に、各種Webサービスを利用して電子書籍版を販売するという動きが増えてきている。
特に、日本のイラストSNSサービス「pixiv」と連携した創作物の総合マーケット「BOOTH」(ブース)の存在が大きい。手数料が他の追随を許さないほど安価であるため、活発に利用されている印象だ。
KDPでの販売・無料配布という複数の選択肢も推進している「Amazon Kindle」が、日本の同人文化とどのような化学反応を起こすのか。
今回のコミケ初出展は、その“小さな一歩”と捉えることもできるかもしれない。
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