日本のアニメに憧れた少女は、コスプレイヤーとなって海を超え、彼の地でアーティストとしてメジャーデビュー……そんな夢物語を実現してみせた、中国・上海出身のLiyuu(リーユウ)さん。KAI-YOUではこれまでも彼女を追ってきたが、デビューシングル発売というまたとない機会に、ついに単独インタビューが実現した。
2次元からそのまま転生してきたかのようなキャラの再現力、そして見る者を惹きつける圧倒的な被写体力で、母国である中国や日本はもちろん、世界中から熱烈な支持を集める。SNSの総フォロワー数160万を超える彼女が日本でCDデビューするとあって、期待が寄せられている。
夢のまた夢を現実にしてしまったLiyuuさんとは、一体どんな女性なのか。上海で過ごした学生時代、コスプレとの出会い、そしてデビューを控えた現在の心境を、赤裸々に語ってもらった。
取材・文:ヒガキユウカ 撮影:稲垣 謙一
Liyuu はい、住んでいるのは上海です。ここ1年くらいは月1回程度のペースで日本に来ていましたが、最近は、頻繁に来ていました。もう、だいぶ慣れてきました。
日本の桜がすごく好きなんです。3月ぐらいにとても綺麗に咲きますよね。アニメでも、学校が始まるシーンや、出会いのシーンなどによく桜が登場しているので、馴染みがあります。 ──Liyuuさんといえばハイクオリティなコスプレが人気ですが、コスプレとの出会いについて教えてください。
Liyuu 元々はコスプレとか関係なく、普通のアニメファンだったんです。ネットでアニメについて調べていたときに、コスプレの写真が出てきて「これはなんだろう!?」と思ったのがきっかけでした。
そのときに見たのは中国人のコスプレイヤーさんだったんですが、「誰のコスプレが」とか「どの作品のキャラが」とか挙げられないくらい、たくさん出てきて驚きました。
──ご自身で初めてコスプレをしたのは、高校生のときだそうですね。
Liyuu はい、『けいおん!』の平沢唯ちゃんでした。当時はメイクも全然わからなくて、とにかくキャラクターを観察するところから始めました。衣装は買って、ウィッグも市販のものを自分で切って長さを調節したりして。コスメも持っていなかったので、友達に借りました。とりあえず写真は撮りましたけど、正直「あんまり綺麗じゃない…」と感じて(笑)。
──当時、Liyuuさんの周りでコスプレは流行っていたのでしょうか?
Liyuu いえ、コスプレをしている子は、周りにはほとんどいませんでした。もちろんアニメは普通に流行っていたし、中国にもコスプレの文化自体はあったけれど、そもそも中高生だとまだメイクをするかどうかという年齢。高校生から少しメイクする子が出てきますが、だいたいの子は大学生になって初めてするようなもので。
──メイクをし始める年齢は、日本の女の子とそう変わらないのですね。となるとLiyuuさんは、当時の環境ではかなり珍しいチャレンジをされたと思うのですが、もしかして目立ちたいタイプだったとか…?
Liyuu それが、全然。人前に出るタイプでもないし、かといって友達がいないわけでもない、ごく普通の学生でした。ずっと勉強していましたね…。
──初めてコスプレをしたとき、思い描いていた唯ちゃんのイメージとはちょっと違ったとのこと。それでも2回目、3回目…とコスプレを続けたのはなぜだったのでしょうか?
Liyuu 現場に行きたい気持ちがあったんです。イベントに合わせてコスプレしてみたいなって。最初は中国のイベントに行っていましたが、2016年の冬コミ(C91)で初めて日本のコミケに参加しました。もちろん、当時は今みたいにお仕事をもらえるなんて全然予想していません。旅行感覚でした。
今も日々いろんな作品が次々出てきて、どんどん好きなキャラクターに出会えているんです。だから「今回もやってみよう」「今回もやってみよう」って…本当にその繰り返しですね。飽きることがなかった。撮影してみて、上手に似せられた瞬間が一番楽しいんです。コスプレをやめようと思ったことは、一度もありません。 ──初めてのコミケはいかがでしたか?
Liyuu 人が多くて驚きました。あんなに大きなイベントに参加したことはなかったので、最初は怖いくらいで。今でこそコスプレカルチャーの雰囲気は日本と似てきていますけど、以前の中国では、コスプレ好きはもっと少なかった。イベントの規模も小さかったんです。今は中国もどんどん盛り上がってますけどね。
Liyuu 途方もない夢を叶えてしまった、という気持ちでした。アーティストなんて夢みたいに思っていて、コスプレ活動から繋がるとも考えていなくて。
実は子どもの頃からアニメ業界に憧れはあって、大学もデザイン系にしたんです。でもアニメの仕事って本当に大変だから、私には無理だなと思って、諦めていました。そんな中で、「コスプレとは別の方法で、また一歩アニメに近付けたな」と思うと嬉しかったです。 ──元々歌うことは好きだったのでしょうか?
Liyuu はい!アニソンをよく歌ったり聴いたりしていて、中学生の時は坂本真綾さんが好きでした。その後は『ラブライブ!』のμ’sにハマって、東京ドームのファイナルライブにも行ったんです。
でも、カバーとオリジナルはやっぱり違いますね。カバーは本家のアーティストさんがどんな風に歌っているか参考にしたりできますけど、オリジナルはお手本がいない。だからこそ自分でちゃんと考えて歌わなければなりません。
──「Magic Words」はまさにLiyuuさんにぴったりな、可愛らしい曲ですよね。初めて曲を聴いたときの感想はいかがでしたか?
Liyuu まず、「本当にアーティストになるんだ…!」という実感がこみ上げてきました。曲については、「世界観がすごくイメージできる曲だな」って思いました。特にサビ前の、「さよなら!」とか「うそだよ!」の部分が好きです。歌っていて楽しい!Liyuu - Magic Words
──レコーディングで気をつけていたことはありますか?
Liyuu リズムが難しくて、間違えないようにたくさん練習をしました。私にとっては、外国語の歌詞ですから。あとは知らない単語の意味を、一つ一つネットで調べましたね。例えば1番に登場する「花束」という言葉も、最初は知らなかったんです。
──初めてのMV撮影はいかがでしたか?
Liyuu こんなにたくさんのシーンが必要なんだって驚きました。クローゼットの中とか、花壇の隙間とか、いろんなところに隠れて撮影したんですけど、さすがにベッドの下に潜るのは大変でしたね…(笑)。
Liyuu そうですね、どちらも続けていきます。いつか、自分のライブをやってみたいんですよ。
この間はファンミーティングもありましたし、『Lantis New Generation LIVE』もあって人前に立つ機会も増えてきていますが、自分でパフォーマンスに点数をつけるなら、まだまだ60点以下。お客さんが聴いてくれていることとか、リアルタイムでリアクションをくれることはすごく嬉しいんですけど、緊張しちゃうんです。
じっと固まって写真を撮ってもらうコスプレと違って、ステージはやっぱりお客さんのテンションが高くて、目の前で熱狂している。そんな中で、聴いてくださるみなさんに、まっすぐに歌とパフォーマンスを届けられるように頑張りたいです。 ──2020年の目標はありますか?
Liyuu 日本語をもっと上手くなりたいです。自分的にはまだまだ、なので。
──対面でインタビューができているだけでもすごいと思うんですが…。
Liyuu 今まではアニメやドラマを参考に独学で勉強していましたが、昨年の10月から先生に習い始めました。アニメのキャラクターと同じように、自然な発音でセリフを言えるようになりたいです。 Liyuu(リーユウ)さんの写真を大きく見る
2次元からそのまま転生してきたかのようなキャラの再現力、そして見る者を惹きつける圧倒的な被写体力で、母国である中国や日本はもちろん、世界中から熱烈な支持を集める。SNSの総フォロワー数160万を超える彼女が日本でCDデビューするとあって、期待が寄せられている。
夢のまた夢を現実にしてしまったLiyuuさんとは、一体どんな女性なのか。上海で過ごした学生時代、コスプレとの出会い、そしてデビューを控えた現在の心境を、赤裸々に語ってもらった。
取材・文:ヒガキユウカ 撮影:稲垣 謙一
当時、上海でコスプレをする子は珍しかった
──日に日に日本での活動が増え、忙しくなってきていることと思います。現在はまだ上海に住んでいるのでしょうか?Liyuu はい、住んでいるのは上海です。ここ1年くらいは月1回程度のペースで日本に来ていましたが、最近は、頻繁に来ていました。もう、だいぶ慣れてきました。
日本の桜がすごく好きなんです。3月ぐらいにとても綺麗に咲きますよね。アニメでも、学校が始まるシーンや、出会いのシーンなどによく桜が登場しているので、馴染みがあります。 ──Liyuuさんといえばハイクオリティなコスプレが人気ですが、コスプレとの出会いについて教えてください。
Liyuu 元々はコスプレとか関係なく、普通のアニメファンだったんです。ネットでアニメについて調べていたときに、コスプレの写真が出てきて「これはなんだろう!?」と思ったのがきっかけでした。
そのときに見たのは中国人のコスプレイヤーさんだったんですが、「誰のコスプレが」とか「どの作品のキャラが」とか挙げられないくらい、たくさん出てきて驚きました。
──ご自身で初めてコスプレをしたのは、高校生のときだそうですね。
Liyuu はい、『けいおん!』の平沢唯ちゃんでした。当時はメイクも全然わからなくて、とにかくキャラクターを観察するところから始めました。衣装は買って、ウィッグも市販のものを自分で切って長さを調節したりして。コスメも持っていなかったので、友達に借りました。とりあえず写真は撮りましたけど、正直「あんまり綺麗じゃない…」と感じて(笑)。
──当時、Liyuuさんの周りでコスプレは流行っていたのでしょうか?
Liyuu いえ、コスプレをしている子は、周りにはほとんどいませんでした。もちろんアニメは普通に流行っていたし、中国にもコスプレの文化自体はあったけれど、そもそも中高生だとまだメイクをするかどうかという年齢。高校生から少しメイクする子が出てきますが、だいたいの子は大学生になって初めてするようなもので。
──メイクをし始める年齢は、日本の女の子とそう変わらないのですね。となるとLiyuuさんは、当時の環境ではかなり珍しいチャレンジをされたと思うのですが、もしかして目立ちたいタイプだったとか…?
Liyuu それが、全然。人前に出るタイプでもないし、かといって友達がいないわけでもない、ごく普通の学生でした。ずっと勉強していましたね…。
──初めてコスプレをしたとき、思い描いていた唯ちゃんのイメージとはちょっと違ったとのこと。それでも2回目、3回目…とコスプレを続けたのはなぜだったのでしょうか?
Liyuu 現場に行きたい気持ちがあったんです。イベントに合わせてコスプレしてみたいなって。最初は中国のイベントに行っていましたが、2016年の冬コミ(C91)で初めて日本のコミケに参加しました。もちろん、当時は今みたいにお仕事をもらえるなんて全然予想していません。旅行感覚でした。
今も日々いろんな作品が次々出てきて、どんどん好きなキャラクターに出会えているんです。だから「今回もやってみよう」「今回もやってみよう」って…本当にその繰り返しですね。飽きることがなかった。撮影してみて、上手に似せられた瞬間が一番楽しいんです。コスプレをやめようと思ったことは、一度もありません。 ──初めてのコミケはいかがでしたか?
Liyuu 人が多くて驚きました。あんなに大きなイベントに参加したことはなかったので、最初は怖いくらいで。今でこそコスプレカルチャーの雰囲気は日本と似てきていますけど、以前の中国では、コスプレ好きはもっと少なかった。イベントの規模も小さかったんです。今は中国もどんどん盛り上がってますけどね。
Liyuuにとって途方もない夢だった、アーティストデビュー
──アーティストデビュー決定、しかも憧れのアニメ主題歌。このことを初めて聞いたときはどんな風に感じましたか?Liyuu 途方もない夢を叶えてしまった、という気持ちでした。アーティストなんて夢みたいに思っていて、コスプレ活動から繋がるとも考えていなくて。
実は子どもの頃からアニメ業界に憧れはあって、大学もデザイン系にしたんです。でもアニメの仕事って本当に大変だから、私には無理だなと思って、諦めていました。そんな中で、「コスプレとは別の方法で、また一歩アニメに近付けたな」と思うと嬉しかったです。 ──元々歌うことは好きだったのでしょうか?
Liyuu はい!アニソンをよく歌ったり聴いたりしていて、中学生の時は坂本真綾さんが好きでした。その後は『ラブライブ!』のμ’sにハマって、東京ドームのファイナルライブにも行ったんです。
でも、カバーとオリジナルはやっぱり違いますね。カバーは本家のアーティストさんがどんな風に歌っているか参考にしたりできますけど、オリジナルはお手本がいない。だからこそ自分でちゃんと考えて歌わなければなりません。
──「Magic Words」はまさにLiyuuさんにぴったりな、可愛らしい曲ですよね。初めて曲を聴いたときの感想はいかがでしたか?
Liyuu まず、「本当にアーティストになるんだ…!」という実感がこみ上げてきました。曲については、「世界観がすごくイメージできる曲だな」って思いました。特にサビ前の、「さよなら!」とか「うそだよ!」の部分が好きです。歌っていて楽しい!
Liyuu リズムが難しくて、間違えないようにたくさん練習をしました。私にとっては、外国語の歌詞ですから。あとは知らない単語の意味を、一つ一つネットで調べましたね。例えば1番に登場する「花束」という言葉も、最初は知らなかったんです。
──初めてのMV撮影はいかがでしたか?
Liyuu こんなにたくさんのシーンが必要なんだって驚きました。クローゼットの中とか、花壇の隙間とか、いろんなところに隠れて撮影したんですけど、さすがにベッドの下に潜るのは大変でしたね…(笑)。
Liyuu「まだまだ60点以下」
──今後はコスプレイヤーとしての活動とアーティスト活動、両方続けていくのでしょうか。Liyuu そうですね、どちらも続けていきます。いつか、自分のライブをやってみたいんですよ。
この間はファンミーティングもありましたし、『Lantis New Generation LIVE』もあって人前に立つ機会も増えてきていますが、自分でパフォーマンスに点数をつけるなら、まだまだ60点以下。お客さんが聴いてくれていることとか、リアルタイムでリアクションをくれることはすごく嬉しいんですけど、緊張しちゃうんです。
じっと固まって写真を撮ってもらうコスプレと違って、ステージはやっぱりお客さんのテンションが高くて、目の前で熱狂している。そんな中で、聴いてくださるみなさんに、まっすぐに歌とパフォーマンスを届けられるように頑張りたいです。 ──2020年の目標はありますか?
Liyuu 日本語をもっと上手くなりたいです。自分的にはまだまだ、なので。
──対面でインタビューができているだけでもすごいと思うんですが…。
Liyuu 今まではアニメやドラマを参考に独学で勉強していましたが、昨年の10月から先生に習い始めました。アニメのキャラクターと同じように、自然な発音でセリフを言えるようになりたいです。 Liyuu(リーユウ)さんの写真を大きく見る
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