インターネットからお茶の間へ! その実態とは
VALSHEさんといえば、国民的アニメ作品「名探偵コナン」のOPテーマ曲などで一躍話題となったアーティスト。女性シンガーですが、男性的なハスキーボイスで人気を集めています。ネット上での歌手活動も長く行ってきた彼女ですが、2013年までは一切顔出しも行っておらず、その素顔が明かされた今もなお、その詳細なパーソナリティはヴェールに包まれています。
VALSHE 7th Single「TRANSFORM」MUSIC VIDEO
原稿を持ち込んでくれたVALSHEさんに話を聞くと、小中学校の国語の教科書を読むのが趣味で、なんと読書感想文を書くことにハマっているとのこと。特に発表の場をもたず、淡々と原稿用紙に書いていたようです。独自の存在感を放っている異色のアーティスト・VALSHEさんが一体どんな文章を書くのか……! 本邦初公開となるVALSHEさんの読書感想文を公開。
今回は、新美南吉さんによる不朽の名作『ごんぎつね』がVALSHEさんの視点で読み解かれます。『ごんぎつね』といえば、国語の教科書に載っている作品として真っ先に思う浮かぶであろう児童文学。初出は1923年までさかのぼる古い作品です。
猟師の兵十と、いたずら好きの狐であるごんの交流が描かれ、その深い心理描写と完成されたエピソードは長く評価され続けています。兵十が病床に伏せる母のために用意したうなぎを、ごんが盗むとこから物語は進みます。その罪滅ぼしにごんは栗などを兵十に届けるわけですが……誤解が生み出す悲劇として有名ですね。
VALSHEさんによる「ごんぎつね」読書感想
直筆原稿用紙(クリックで拡大します)
……画像だと読みづらいので下に書き起こししたテキストを掲載します。
テキスト(原稿用紙ママ)
『ごんぎつね』とVALSHEさんの組み合わせは、彼女のこれまでにイメージからは全く想像することのできないものですが、シュールかつ絶妙に皮肉の効いた文章になっています。なにより原稿用紙に描かれた字が丁寧です。ごんぎつねと言う作品は、多くの人たちに読み継がれている名作だと知っていたものの、機会がなくつい最近ようやく読む事が出来た。せっかくなので記録として読書感想文を残しておこうと思う。
先ずなによりも感じたこと。
「ごん、このヤロウ。」と言うことだ。
このこのヤロウには様々な意味が込められているので搔い摘んで書いていく事にする。一つ目は食べもしないウナギを横取りした事について。ウナギも生きているのに、噛むだけ噛んで放ったらかすのは多分ダメだね。ごんが生き延びて行く為なら仕方のない事ですが、兵十ごときの為にウナギを噛むなんて、ウナギがとばっちりだと思った。最近は、ウナギは高級食材で、家の近くのウナギの店は並で二八〇〇円もする。高すぎる。自分はまだ、アナゴで良いかな、と思った。次に思うところは、兵十の母が亡くなった事を知った時のごんの台詞。
「(中略)〜ああ、うなぎが食べたい、うなぎが食べたいとおもいながら、死んだんだろう。ちょッ、あんないたずらをしなきゃよかった。」と、こうあるのだ。昔の話なのできっと違うニュアンスなのかもしれないが、自分は最近の「ちょッww」と言う感じに思えて本当にごんこのヤロウと思えてならない。ただ、この部分については読み手の考え過ぎである可能性が高いので、一旦保留にする。ただそれを差し引いたとしても、この時点でごんは取り返しの付かないことをしているわけだから、やっぱりごんこのヤロウです。そして最大のこのヤロウは、兵十に対するその後の善行です。こんな結末は、悲しすぎる。ごんの償いが、結果として誰一人幸せになれない最後を作ってしまったのではないか。兵十は母親にしてやりたかった事が出来ずに母を亡くし、その原因となった恨むべき相手のことも恨み切らせては貰えず、これから先、二重の苦しみを背負い生きて行くのかと思うと、一層の事充分憎ませてやった方が兵十の心は救われたのではないかと思えてならない。けれど、ごんの気持ちを思うと、何とか償う術を探したのだろうと思うと、取り返しが付かないと解ってはいても許してやる事は出来ないのかと思ってしまう。
もしかしたら、ごんは最後に兵十から弾を受けて救われたのかもしれない。かもしれないけれど、そう思いたくない自分が居るので、やっぱりウナギが一番かわいそう、と言う結論で終わろうと思う。
おしまい。 VALSHE
特にうなぎとあなごを現代の金額から比較する点や、ごんの台詞にある「ちょっ」のくだりを現代の「ちょっww」に置き換えて読んでしまうあたりから、VALSHEさんのキャラクターをうかがい知ることができますね。
もちろん、VALSHEさんは本職のアーティスト活動も精力的に行っています。7月16日(水)には7thシングル「TRANSFORM / marvelous road」を発売したばかり。大阪・東京・愛知のZeppにてリリースイベントも開催されています。
これまでVALSHEさんを知らなかった人も、今回の読書感想文を読んで興味を持ったはず……! 是非ともチェックしてもらいたいアーティストです。
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