Ado本人も驚く「唱」ボカロカバーが驚異の完成度 歌い手とボカロの技術的相似形

Ado「唱」

歌い手のAdoさんが9月にリリースした「」。

9月にBillboard Japan Hot 100で1位を獲得するなど、今なお絶大な人気を誇る楽曲ですが、そのボーカロイドカバー楽曲が注目を集めています。

投稿したのはボカロPのCreuzerさん。Adoさんがラジオで「過去一難しい」と語った「唱」を見事にカバー。
【Solaria】Show(唱)【SYNTHESIZER V COVER】
Adoさんの多彩で独特な歌唱を、音声合成ソフト「Synthesizer V」で再現しつつ、自然な聴き心地に仕上げています。

Adoさんは11月1日、自身のXに「唱」の「歌ってみた」動画を集めたYouTubeプレイリストを公開。注目の作品を挙げる中で、ニコニコ動画の作品としてCreuzerの動画を別枠で紹介しています。

文化的にだけでなく技巧的にも近い距離あるボカロと歌い手

人間には歌うことが難しい曲でも、ボーカロイドには歌わせることができる──こうした発想から多くのボーカロイド楽曲が制作されてきました。「初音ミクの消失」などはそういった文脈における代表的な楽曲と言えるでしょう。

一方で歌い手の歌唱法は、これまで歌唱が不可能だと思えたボカロ楽曲を、人間がどのように歌うかを焦点の一つとして発展してきました

例えば、前述の「初音ミクの消失」も当初から今に至るまで、多くの歌い手がカバーに挑戦してきた楽曲です。

ボカロの側からも、そうした歌い手文化の発展にあわせ、木村わいP「高音厨音域テスト」のような“課題曲”とも言える楽曲が制作され、多くの歌い手が挑戦する楽曲になりました。
【初音ミク】高音厨音域テスト
ボーカロイドと歌い手は、その文化的出自だけでなく、技巧的にも近い距離で相互に影響を与えながら発展してきたのです。

ボカロと歌い手、技術の発展は相似形を描くか

すでに知られているように、Adoさんは歌い手文化の出身。憧れの歌い手として、そらるさんやまふまふさん、りぶさんの名前を挙げています。

Adoさんのがなり声などの技巧が特徴的な歌い方も、そうした歌い手たちが培ってきた「ボカロ曲をどのように歌うか」という歌唱法の発展系にいるとも捉えられます。

一方、「Synthesizer V」はAI歌唱合成機能を搭載。「ピッチベンド」や「ラウドネス」など7つのパラメーターを編集することで、人の歌い方に近い音声を制作することができます。音声合成ソフトの発展は「人間には歌うことが難しい曲を歌わせたい」というボカロPの需要と無関係にあったとは言えないでしょう。

もちろんAdoさんの歌唱力と、それを再現するCreuzerさんの音声編集技術のそれぞれが高度な域に達しているのは疑いようもありません。

Adoさんと「Synthesizer V」が高い親和性を発揮している「唱」のカバー。歌唱技術と編集技術の双方の発展が相似形を描いてきたボカロと歌い手の文化の結晶と言えそうです。
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Adoの歌唱に迫る

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