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中国人イラストレーター「Rella」インタビュー 初音ミクと北野天満宮とを繋ぐ才能

中国人イラストレーター「Rella」インタビュー 初音ミクと北野天満宮とを繋ぐ才能

「KYOTO NIPPON FESTIVAL2019」キービジュアル

初音ミクと北野天満宮がコラボ「KYOTO NIPPON FESTIVAL」

  • 京都の歴史ある神社「北野天満宮」でイラストのフェス
  • 伝統的な文化と現代的なイラスト文化が多様なコラボ
  • キービジュアルを担当した「Rella」のロングインタビュー
「国宝をアニメートする」というテーマのもとに開催するイベント「KYOTO NIPPON FESTIVAL2019」が、京都・北野天満宮で2019年10月25日(金)から12月8日(日)まで開催される(10月24日はレセプションパーティ日)。

今まで見慣れた京都から生まれた文化がイラストと交わることによって、新たな視覚体験として楽しめるコンテンツが多く用意されている。

キービジュアルを担当するイラストレーター・Rellaさんは、イラストSNS「pixiv」で50万人以上のフォロワーを持つ。「初音ミクシンフォニー2018-2019」「同2019」のキービジュアルと衣装デザインなど多くの実績を持ち、ストーリー、世界観を包括した精緻なビジュアルに定評がある。
Rellaさんによるキービジュアルアート
今回彼女は、北野天満宮と初音ミクがコラボレーションした異色のキービジュアルを制作した。慶長12年(1607年)に豊臣秀頼が建立したとされる重要文化財「三光門」を背景に初音ミクが佇む、このイラストには綿密なコンセプトがあるという。中国人イラストレーターであり、日本をはじめアジア圏で活躍する彼女に、制作の原点からキービジュアルについて制作秘話をうかがった。

取材・執筆:髙岡謙太郎

日本のアニメと出会ってイラストを描くまで

──中国で生まれ育ったそうですが、まずは日本の文化に興味を持ったきっかけから聞かせてください。

Rella かなり昔になりますが、幼稚園生の頃、中国のテレビ局でも日本のアニメが放送していて、『ポケモン(ポケットモンスター)』『ドラえもん』『(美少女戦士)セーラームーン』とか日本の作品をよく見ていました。小学校の頃は『名探偵コナン』も放送されるようになって、自然とイラスト表現に興味を持ちました。

それから中学生になって、母にタブレットを買ってもらったことがデジタルで絵を描くきっかけになりました。

──初めて描いた絵は何でしょうか?

Rella 幼稚園の頃、20年くらい前のことなので覚えてないですね(笑)。たしか一番最初は『セーラームーン』と『CCさくら(カードキャプターさくら)』だったと思います。イラストというよりは、幼稚園児の落書きだと思います。

中学生になって、本当に自分は絵を描くことが好きなんだとだんだんわかっていきました。 ──最初は投稿せずに、自分のPC上だけで描いていたんですか?

Rella はい。2008年頃から中国や台湾でもイラスト投稿サイトが増え始めて、それを見ていました。それから日本のpixivやニコニコ動画の存在を知って、そこでも投稿せずに見ていました。

投稿を始めたのは2009年に中学を卒業したときでしたね。時間ができたのもあって、そこから投稿を始めました。一番最初の投稿は2009年の夏休み※でした。

※中国では7月が卒業シーズンで、この夏休みは2009年の7-8月に相当する。

──今年で活動10年目なんですね。最初に投稿した作品はどんなものですか?

Rella 最初に投稿したデータは消してしまったんです。イラストと言えないものなので……。自分で作品と思えるもので、残しているイラストはこちらです。この絵から作品は一度も消していないです。今見ると恥ずかしいですね(笑)。

初期の作品「Just be friends」

pixivのウィークリーとマンスリーランキングで1位に

──10年以上、pixivを見てきて変化を感じましたか?

Rella 私が最初見ていたのはその後アニメにもなった「ブラック★ロックシューター」のhukeさんなど、今はレジェンドと呼ばれる方々ですね。その頃活躍していたイラストレーターが、今業界で有名になっています。初期はオリジナルの作品が多くて。今はだいぶ雰囲気が変わりましたね。

──そういったpixivならではの現象をリアルタイムで見られてきたんですね。Rellaさんは、ご自身のキャリアを変えた1枚は何だと思いますか?

Rella 自分のイラストレーターとしての人生を変えたのは16歳の時の作品です。デイリーランキングで最初は77位だったのが、急に4位に上昇して、ウィークリーとマンスリーランキングで1位になった「16+3」という1枚があります。そのあとの「白ウサギ」もどんどん人気が増えました。注目度も上がって、フォロワーもすごく増えました。

「16+3」

──初めて1位になったんですね。これを描いてる時は、どういうことを考えていたんですか?

Rella 鏡音リン・レンが発売された頃で、ボカロ(VOCALOID)を聞き始めました。好きな曲がいっぱいでてきたので、ボカロ愛を伝えたいと思いました。

──「16」にはどういう意味が?

Rella ミクの設定が16歳。それで発売3周年だったので「+3」っていう、めっちゃ簡単な高校生らしい考え方です(笑)。あと、私も16歳でした(笑)。スマホも持ってなくて、ガラケーで授業中にランキングを見てました。

──本当に人生を変えた瞬間ですね。他にも、自分の中で思い出の1枚はありますか?

Rella 一週間ぐらいかけた大学の冬休みの作品が、2013年の年間トップのイラストになったんですよ。厚塗りで、背景や風景に挑戦した1枚です。

Glow

たしか北京の大学に通っていた頃で、飛行機から見た北京の夜景だと思います。面白い違いなのですが、日本では町の灯りが空みたいに白く、中国は火が燃えているような黄色なんです。これはあとで調べたところ、日本の街灯は昼白色のものが多く、中国では電球色が多いそうです。それで、空から見下ろすとこのような違いがあるんです。

──そういう日本と中国の街の灯りの受け取り方の違いがイラストに表れているんですね。

ハジメテノオト 

Rella これは大学2年生の時に日本に旅行にいったんですが、飛行機で見た景色の記憶から描きました。下に島のようなところがあったな、と描きながら思っていました。数年経って実際に江ノ島に旅行にいったら、急に記憶が溢れかえりました。そんな思い出のイラストです。

──記憶で描いてるので写実的ではないのが面白いですね。基本的に絵を描いてるときは自分の中で想像して描いていますか? 写真を見ることもある?

Rella 半分半分ですね。自分がこういう雰囲気が欲しいと思ったら、記憶の中を探して、写真を実際に見て混ぜ合わせるという流れです。私は記憶力のうち視覚的なものが一番残るようです。

豊かな想像力の元は、旅の記憶から

──イラストを描く際、最初に自分の中でのインスピレーションがあって、描き始めることが多いのですか?

Rella もしくは、旅行中に雰囲気の良い場所を見つけたら写真を撮っておいて、それを参考に背景にすることもあります。自分で体験した場所から、ここならイラストが描けると確信が得られます。行ってみると描く衝動が湧きます

──ご自分で体験することで描く動機が立ち上がるんですね。旅行はどういったところに行かれたことがありますか?

Rella 日本だと、京都と江ノ島、仙台、花巻です。中国は、香港、上海、北京、四川、あと一番南のところで海南です。観光スポットだけじゃなくて、移動中でも面白い場所があれば描きます。

宮沢賢治 童話村の森ライトアップ(岩手県花巻市) 撮影:Rella

──移動する中で、印象的な部分を絵にすることが多いんですね。旅行はお好きなんですか?

Rella そうですね。時間もお金もかかる贅沢なので、あまり行けないのですが……。

この前、友達と江ノ島に行った時は、7月でまだ雨が少し降っていて夜になると綺麗でした。そのときのイメージを元にして初音ミクの誕生日(8月31日)に投稿したイラストがこちらです。

ストラテリウム

あと、これは空港から都心へ行く途中で見たシーンが元になったイラストです。モノレールから風船をたくさん持ってる人が歩いてるのが見えてとても印象的でした。そのイメージを元にあえて人物を地面から見た視点から想像して描いてます。

【無題】

作為的に視点を変えると、イラストは受け手に衝撃を与えることがあります。何を一番前にするかによって雰囲気が変わるんです。

──やはり現実ありのままではなく、想像力が制作のキーになっているのですね。

Rella そうとも言えますね。個人的には、想像力というよりは経験かもしれません。自分の中のこれまでの経験から、「これはこういう構図が一番いい」「こういう雰囲気ではこう描いたほうがいい」など、これまで描いてきた経験で自分の中で方向性が定まっていく印象です。

──pixivで1位になってから、その後に印象的な経験はありましたか?

Rella 初音ミクの10周年で描いた絵をTwitterで公開したら、「いいね」が10万ぐらい超えた時です。

「ねぇ、」

ここは楽屋というか衣装室のイメージです。私の大学の専攻がファッションデザインだったので、こういうバックヤードは身近にありました。もしミクが本当に存在しているとしたら、私がそのバックヤードで働いてるシーンがあったらいいなあというのがコンセプトです。ミクが生まれて10年経っているので、ミクが着た衣装も増えて、それが集まっていれば思い出も集まるかなと思って。

──今までに着た衣装がある楽屋が10万人に伝わってるわけですね。かなりの人に見られていますが、プレッシャーはありますか?

Rella 結構あります(笑)。5、6年前から、“絵の完成を決めること”により時間がかかるようになりました。制作に30時間近くかかるとイラストに対して麻痺してしまって。心が死んでしまっているようになってしまい、投稿するときに「本当にこれでいいのか」と緊張してしまいます。

あと、10年ぐらい活動してきたので、今までに転換期を迎えることが多くあって、絵柄や作風やタッチを変えて挑戦した作品を公開する時も緊張します。

──そういった挑戦をした1枚を教えてもらえますか?

Rella 自分としては絵柄やタッチを固定することにとても抵抗感があります。これは、さっきの「GLOW」と同じ作者だと思えない人が多いと思います。明るい表現をできないのが悔しいと思って、「Tell Your World」(livetune feat. 初音ミク)という曲を聴きながらイメージして明るい絵を描きました。

「君の歌で生み出した世界は」

──他にも挑戦した作品はありますか?

Rella 友人とつくった長編のアニメ動画PV「ARIA」ですね。動画は挑戦でした。私は背景などの絵をすべて描いて、アニメーション専攻の友達に動かしてもらうように頼みました。背景は全部手書きで15、6時間掛かっています。架空の地図も、仮想の言語の文字もつくりました。

合計すると100枚近く描いて、最終的には何百時間も掛かりました。アニメは時間があればまたやりたいですね(笑)。今でも自慢できる作品です。
「ARIA」

光を操るようなイラストの制作について

──具体的な制作面についてもお聞かせください。普段どんな機材を使われていますか?

Rella ゲーム用のノートパソコンと24型HDの液晶ディスプレイ、それとIntuos Proです。そんなにハイスペックではありません。自分が慣れている機材が一番使いやすいです。IntuosはMサイズ。3万円ぐらいなので、故障しても買いやすいです。

──Rellaさんほどのクオリティの高い作品を描く人が機材を選ばないというのは夢がありますね。写真とイラストの融合のような作風が面白いです。奥行きがあって、ライティングや照明にこだわりを感じます。

Rella そうですね。私は光の存在を感じられる作品が好きです。新しくタブレットを買ったときも、思わず最初に逆光のイラストを描いたくらいです。逆光や光の強い感じは個人的に好きで研究しています。

昔、学校の授業でも、先生から「光の感じが強い」とよく言われました。反対に色彩感覚はすごく弱いようで、スケッチの点数とかは高いんですけど、色彩の試験だけは不合格でした。普段、街を歩いてても思わず光の存在が感じれるところに目線を惹かれてしまいますね。たとえばライティングが素敵なお店とか、ビルの間に差し込んだ光とか。

──他の人より光に反応しやすいんですね。では、絵を描いていて楽しい段階はどこですか?

Rella ラフよりも前の構想する段階が一番楽しいです。仕事でも自分で絵を描くときも。でも、描き始めると地獄なんですよね(笑)

──描き終わって、最初のイメージと違うことはありますか?

Rella 自分の場合はそんなにないですね。描いている途中はどうやって考えたことを実現できるかという目標が決まっていることが多いからかもしれません。

──影響を受けたイラストレーターはいますか?

Rella pixivで一番見ていたのは、まるかたさんと村上ゆいちさんです。まるかたさんは体の描き方が勉強になりました。いろいろな角度からいろいろなポーズを描くので参考になりました。

村上ゆいちさんは、塗りとタッチというか線の細さですね、髪の毛とか。私の初期のイラストは似ていると思います(笑)。そして、キャラクターを描いていくうちに、背景やそのシーンに込められたメッセージをもっと描きたいと思うようになり、キャラクター以外の様々なオブジェクトも描くようになりました。

──そうですね。Rellaさんの作品は、キャラクターだけでなく全体像、イラストの構図が凝られていると思います。

Rella 私にとって印象的な言葉で「好きという気持ちは、その人が好きというだけではなくて、その人といる空気が好き」というものがあります。本人以外の他の要素がないと感情は伝わらなくて、イラストでも同じだと考えています。

──デジタルで絵を描くことの魅力や楽しさはなんですか?

Rella デジタルの利点は、自分の思い通りに修正ができることです。紙ではシワが付いたり、水彩画でも水がこぼれたら終わりですが、デジタルではそういった心配がありません。

あとは仕上げの段階で、フィルターでぼかしなどを加えることが好きなんです。写真のような雰囲気になるというか、目に見える通りのリアルさに近づくと、衝撃が強いんだなと思っていて。今年の初音ミクの誕生日に描いた「ストラテリウム」は、知人から「写真?」とも言われました。

自分を投影するような初音ミクとの出会い

初音ミクシンフォニー2019

──Rellaさんの作家性を感じられる話ですね。作家性と言えば、Rellaさんがよく描かれるモチーフとして初音ミクがいます。ご自分にとって、どういった存在ですか?

Rella 説明が難しいんですが……最初ボカロはアニメのキャラクターだと思っていました。キャラクターの設定もなく、公式のパッケージ1枚絵と声のソフトだけだと知って、中学生の私は驚きました。だから、みんなが愛をこめて、ミクのためにミクの曲をつくっていて、みんなでつくり上げた「神様」みたいな存在に思えます

神様の実態は見たことがなくて、みんな一緒に敬意や信仰を込めて「像」をつくり上げていく。神様の見た目が自分が考えた形に近づいていくんですよ。例えば、中国や日本の神様はアジアの顔をしていて、他のヨーロッパやアメリカの神様は西洋の顔をしているのと同じです。ミクを描いている時も、みんな自分の要素を入れているのかなと思います。

──キャラクターの物語がないから、自分の気持ちを反映させたり、設定を膨らませたりすることができるんですね

Rella 言葉にすると、ミクは鏡なんですよね。自分を見ているような。

──となると、毎回自分の精神状態が常に反映されているんですね。

Rella そうなんですよ(笑)。 2015年の誕生日に描いた絵は、2年後に友達に言われたんですが「あのときかなり疲れていたからかな、ミクも疲れてるように見えたよ」と(笑)。最近は心境も変わっていて、ミクも笑顔や様々な表情を見せています(笑)。

Light Song

──いい話ですね(笑)。

Rella ほとんどミクの顔が見えない絵ばかり描いていた時期もあります。さっきの飛行機の絵も顔が見えない描き方になっています。ただ、卒業直前という時期でようやく解放されるというところで、いきなり明るくなりました(笑)。

イラストレーターは、みんなキャラクターの表情を描くときは、自分の表情が出てしまうんですよ。怒っている表情の顔を描くときは、自分も怒っている顔をするんです。

──自分の気持ちが絵に表れるんですね。今までどれくらい「初音ミク」を描いていますか?

Rella え(笑)! 覚えていませんが、pixivで公開しているイラストは50~60枚あって。デザインの練習をしたり、いろいろな服を着たミクをまとめて描いたりしているので、合計で390枚くらいになっているんじゃないでしょうか(笑)。

鏡面に映るミクを描いた北野天満宮との作品

──Rellaさんが手掛けた「KYOTO NIPPON FESTIVAL2019」のキービジュアルとなる作品についてもお聞きしたいです。どういった経緯から制作が始まったんですか?

Rella 最初、ミクと北野天満宮のコラボのご相談をいただきました。今回のイベントは、「昔ながらの文化を活かして、現代の文化と組み合わせる」というコンセプトなんです。私が描いた作品は、ミクが天満宮の前に立つという現代と伝統のミックスです。

取材で実際に京都や北野天満宮に行ったら、昔に戻ったようなタイムスリップした感覚がありました。それは多分、北京と京都の類似性だったり、「古都」という雰囲気がそう錯覚させたのかもしれません。そういったことを全部表現したいなと思い、そこから「鏡」に映るような構図を使いました。上は通常のミクで、下は北野天満宮が発祥の地と言われている歌舞伎をモチーフにしたファンタジーなミクを描いています。

──上と下では時代が違うのですか?

Rella 時代が違うというよりは、上は人間の世界「現世(うつしよ)」で、下は神様の世界「常世(とこよ)」です。おとぎ話でもよくありますが、神様の世界は時間の流れが違っていて、一瞬が長く感じられるので軌跡のような星空が見えるんです。天満宮はそのままだけど、星空とミクの衣装は違う設定で、2つの時空が合わさっているイメージです。

──面白いですね。他にこだわった点はありますか。

Rella 下の衣装ですね。和風ファンタジーという方向性はすぐに決まって。天満宮は牛の像が多いので、そういった牛のモチーフをミクの衣装デザインに反映させています。服が歌舞伎っぽくて、神様の踊り子、歌い手みたいな感じです。ミクが北野天満宮の名所「三光門」の前に立つだけだけでは物足りなく思い、どういう関連性のあるモチーフが良いのかとみんなで相談しました。

注釈:北野天満宮は菅原道真を祀った神社。菅原道真が丑年であったり牛をかわいがっていたりしたこともあって、牛の像が多く祀られている。また、北野天満宮は出雲阿国が初めて踊った場所とも言われ、歌舞伎発祥の地とされている。神様へ奉納する踊りから、民衆娯楽に変わっていった歴史があり、絵にも歌舞伎のような反物が描かれている。京都には、南座という日本最古の歌舞伎の舞台があり、2019年8月には中村獅童と初音ミクが競演する「八月南座超歌舞伎」が開催された。人形浄瑠璃等もはじめ、初音ミクと古典芸能とのコラボは活発に行われている。

──実在するものとキャラクターと組み合わせることの難しさと魅力は?

Rella ありえないことを視覚的に実現するのはいつも楽しいです。そこに初音ミクがいたら、どんな仕草でどんなの表情なのか。どういうシチュエーションなのか。難しいというより、いつも楽しい気持ちです。それに自分で撮った写真も「これ中央にミクがいそうだね」とも言われます。これは、絵描きあるあるかもしれません(笑)。

──では、京都に関する思い出はありますか?

Rella 街並を歩いていて、既視感を覚えました。なと思いました。なぜかというと北京に似ているからで、山もなくて平らな地形で、国は関係なく古都は似た街づくりなのかなと思いました。それでも新しいビルと昔ながらの街並が同居していて面白いなって。

──歴史ある建物が残っている街は少ないですからね。

Rella 北野天満宮を取材をしている間に、いろいろお話を伺いました。「昔ながらの伝説や心霊的な話もいっぱいあります」と言われて怖かったです(笑)。北京もそういった場所はいっぱいありますが、北野天満宮も“そういう”お話がたくさんあるそうです。

注釈:北野天満宮は京都四方のうち西北に位置する。北西は「天門」と言われて神様が通る道で、反対に北東は鬼門と言われる。京都にとって「天門」に位置するのが北野天満宮で、パワースポットとされている。

──自分も一度行ったことがあるんですが、北野天満宮は歴史の重みを感じる不思議な空気感がありますよね。では改めて、「KYOTO NIPPON FESTIVAL2019」に興味を持っている方にコメントをお願いします。

Rella 私のビジュアル以外に、森倉円さんの「もみじ苑」のキービジュアル、iXimaさんの神獣「撫牛像」のビジュアルがあります。それぞれ北野天満宮を代表する場所のキービジュアルで、初音ミクのコンテンツ以外に、国宝「北野天神縁起絵巻」の現代版——イラストレーターコラボも企画されています。

こちらに私は参加していませんが、藤ちょこさん、タカヤマトシアキさん、LM7さん、六七質さん、賀茂川さん、そして森倉円さんが関わっており、圧倒的なビジュアルです。昔から京都に興味を持っている人に、伝統と現代文化とのミックスをぜひ体感していただきたいあなと思います!
国宝「北野天神縁起絵巻」を現代作家が描き直し

森倉円さんの「もみじ苑」のキービジュアル

iXimaさんの撫牛像のキービジュアル

会場で販売する図録より。国宝 北野天神縁起絵巻のシーンを現代の絵巻制作者とも言えるイラストレーターが再解釈する企画も。

注釈:北野天満宮は「もみじ苑」も有名。豊臣秀吉が洛中洛外の境界また、水防のために築いた土塁「御土居」(おどい)がある。御土居には300本におよび紅葉が植えられ、シーズンになると赤や黄色に染まる。中には樹齢350-400年のものも

ネットを介したイラストレーションによって世界がつながる

──では、Rellaさん自身、これから描きたいモチーフや目標はありますか?

Rella 曖昧かもしれませんが、気持ちや雰囲気が伝えられるよう、人の考えていることと現実の橋渡しをするメディアのような作品をつくりたいなと思っています。

──中国人のクリエイターとして、日本の文化はどう感じますか?

Rella とても興味があります。千年以上前の話になりますが、最初は日本も中国も同じ文化から生まれてきたわけです。でも今はとても違いが出てきて、同じところや違いも全部含めて面白いと思っていて。

なので、今ならではのお互いの文化が融合して新しいものがつくれるといいなと思います。中国とか日本とか関係なく、みんなが共感できるような作品をつくりたいです。

──最後にもうひとつお聞かせください。中国と日本のイラストシーンで違う部分がありますか?

Rella ここ2、3年で違いがなくなってきていると思います。中国のイラストレーターもTwitterやpixivを始めて、日本のイラストレーターが中国のWeiboでアカウントをつくることも増えました。

bilibiliでもリアルタイムで日本のアニメを配信するようになってきています。逆に日本から中国にミクのライブを見に行くく人がいたり、相互交流の話を耳にすることも増えました。

──国籍や文化の異なる国々の人がイラストによってつながっていくんですね、国は関係なくイラストが良ければ評価されていく中で、Rellaさんはその代表ですね。展示楽しみにしています。ありがとうございました。

髙岡謙太郎 // Kentaro Takaoka

編集/ライター

オンラインや雑誌で音楽、アート、カルチャー関連の記事を執筆。共著に『Designing Tumblr』『ダブステップ・ディスクガイド』『ベース・ミュージック ディスクガイド』『ピクセル百景』など。

髙岡謙太郎

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イベント情報

KYOTO NIPPON FESTIVAL2019

催事名称 KYOTO NIPPON FESTIVAL
会場 北野天満宮[京都府京都市上京区御前通今出川上る馬喰町]
会期 2019年10月25日(金)~12月8日(日)
2019年10月24日(木)14:30開場 15:00開演
(オープニングセレモニー・内覧会・もみじ苑 開催時間 15:00~19:00)

【KNFイラスト展(初音ミク / 京都 / 北野天神縁起絵巻)※もみじ苑開苑時間】
・10/25(金)~ 11/8(金)09:00~16:00
・11/9(土)~ 12/8(日)09:00~20:00

【『ソードアート・オンライン』と北野天神神話展】
・10/25(金)~ 12/8(日)09:00~16:00
※11月1日~10日は非公開文化財特別公開期間のため、本イベント用の宝物殿鑑賞チケットでの入場は出来ません。

国宝をアニメートする。
学問や文化芸術の信仰において、その名が知られる天神総本社 北野天満宮。
その昔、神社は参拝の場のみならず、
絵や歌そしてスポーツなどを発表する社交場、文化の発信場所でもあったと言われています。

KYOTO NIPPON FESTIVALでは、北野天満宮が秘蔵する国宝『北野天神縁起絵巻』に注目。
本作品の展示と同時に、日本で活躍する6人のイラストレーターが作品を新たに解釈し生み出す
『現代版 北野天神縁起絵巻』を公開します。

そのほか、『ソードアート・オンライン』とのコラボレーション企画や、世界最大級の
イラストコミュニケーションサービス“pixiv(ピクシブ)”と共に、
令和元年の“三十六画仙(三十六人のイラストの名人)”を選出する企画、
さらに「華道家元池坊」による、各コンテンツとコラボした生け花の特別展示も行います。

キービジュアルでは、「初音ミク」とのコラボレーションを実現。
北野天満宮を舞台に国宝に新たな命を吹き込みます。

日本が世界に誇るカルチャー・コンテンツを通じ、 京都を、伝統文化を、北野天満宮を、もっと好きになる。

さあ、KYOTO NIPPON FESTIVAL 2019が、はじまります。

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