今年で4回目の開催となる同大会、予選を勝ち上がった32名のフリースタイラーが集まり、国内ランキング1位のKo-suke選手が、決勝で同ランキング3位のHiro-K選手を下して、2016年以来自身2度目となる優勝を果たした。
優勝直後のKo-suke選手は、「今回は勝つことよりも自分が感じてもらいたいことに重きを置いて臨み、それが優勝という最も良い結果に表れたので嬉しい」と語った。
文:和田拓也
フリースタイルフットボールとは?
サッカーから派生した、手以外の部位を使ったリフティングやドリブルなどの技術によるパフォーマンスのこと。単純な技の難易度だけでなく、オリジナリティやエンターテインメント性も大事な要素だ。この日行われたJFFCは、2015年から毎年開催されている、フリースタイルフットボールにおける国内最大級のバトル形式での大会となる。
「1 Ball、2 Players、3 Minutes」(1つのボール、2人のプレーヤーで、3分間)というルールで、1人30秒のムーブで、パフォーマンスを交互に3ターン行うというものだ。
フリースタイルフットボール自体、15年ほど前に生まれた比較的歴史の浅いカルチャーだが、日本の競技人口はロシアとポーランドに次いで世界第3位と、実は「フリースタイルフットボール大国」として認知されている。
国際大会においてもこれまで多くの日本人が出場し、入賞を果たしている。
フリースタイルフットボールのワールドカップ
全世界で予選が行われる世界最大のフリースタイル・フットボール国際大会が、世界的なエナジードリンクメーカー・レッドブルが主催する「RBSS」だ。今回、2年ぶりの開催となる。初開催された2008年には、日本フリースタイルフットボールのパイオニアである横田陽介(現日本フリースタイルフットボール連盟代表、JFFC主催)選手が、フランスのスーパースター・Séan Garnier(セアン・ガルニエ)選手と決勝で戦い、日本人として初出場し準優勝を果たした。
この出来事は、始まったばかりのフリースタイルシーンにおいて国内外で多くの影響を与えた。
2014年のブラジルワールドカップ期間中、日清カップヌードルのCMで徳田耕太郎選手が甲冑をまとってブラジルでリフティングをする姿を目にした方も多いかもしれない。
その反響を受けて、2016年の日清のグローバルCM「7 SAMURAI CUP NOODLES」にも起用された。
筆者はKo-suke選手の世界大会に挑戦するまでを取材し、ロンドンまで同行してドキュメンタリー映像を制作したことがあるが、彼が世界大会決勝の舞台に立つまでの裏側を追ってきたものとしては、今回の結果は鳥肌の立つものだった。
準優勝に終わった前大会の雪辱を果たす大会となるか、楽しみでならない。
「JFFC 2018」チャンピオン Ko-suke選手のコメント
Ko-suke 前回は決勝で負けてしまいましたし、今年もレベルが相当高かったのを知ってたので、勝てると思ってませんでした。
いつも勝つこと第一でやってきたんですが、今回は、前回勝てなかった1年間(前回JFFCでは準優勝)で感じてきた、フリースタイルの本質的な良さを体現することを第一に準備しました。それが結果として優勝という一番いい結果に表れたのでよかったです。
──大学院生として挑戦した前回から、他の多くの選手同様、就職して社会人として大会に臨みましたね。あえて就職をしてトッププレーヤーとしてのあり方を突き詰めたいという決心だったとうかがっていますが、それが実を結び、日本大会優勝という結果を残せましたね。
Ko-suke いくらでも練習できた学生のときとはやり方を変えています。今回は、練習の質をいかに高めるか、休みながらいかにフレッシュに練習に取り組むかを突き詰めたのですが、それが間違ってなかったことがわかったので本当によかったです。
──まだまだアンダーグラウンドなカルチャーではありますが、Ko-sukeさんが思うフリースタイルフットボールの一番の魅力はなんですか?
Ko-suke まず手を使わないところがおもしろいですし、アクション性が強く、サッカーとは違って明確に点を競うだけではなくオーディエンスやジャッジなど、人の感性に訴えかけていくスリリングなところが、自分が(フリースタイルフットボールを)やめられない一番の理由だと思っています。
──またRBSSの舞台に、しかも世界最強のフリースタイル大国・ポーランドで立つわけですが、それに向けての意気込みをお願いします。
Ko-suke 前回の世界大会は勝つことに集中して何かを感じる余裕もなかったので、今回の日本大会は勝つことよりも自分が感じてもらいたいことに重きを置いて臨みました。
でもまだまだ完全燃焼できなかった部分があるので、世界大会では見てほしいものを100%表現できるように、またあの舞台に臨みたいと思います。
サッカーW杯盛り上がりを受けて、フリースタイルも注目
和田拓也 // Wada Takuya
Editor / Writer
1986年生まれ。サッカーメディア「DEAR Magazine」を運営する傍ら、「HEAPS Magazine」などWeb媒体を中心に執筆・編集を行っている。ストリートやカウンターカルチャーが好きです。
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