3月25日(金)から27日(日)にかけ、東京ビッグサイトにて開催される「AnimeJapan 2016」。アニメ・ゲーム関連の企業が数多くブース出展し、各種ステージも催されるこの大規模イベントを取材しています。
ブースナンバー・J41の「KADOKAWA」では、関連企業のドワンゴが先ごろ発表したアニメーション制作ソフト『OpenToonz』(オープントゥーンズ)の展示が行われていました。
文:松本塩梅
イタリアのDigitalVideo社が独自開発したソフト『Toonz』のソースコードを買収し、オープンソースプラットフォームとして公開することで、誰でも無料で、商用・非商用を問わずに利用できるようにしたのが最大のインパクト。 『Toonz』はスタジオジブリが『もののけ姫』を制作する際に採用されて以降、ほぼすべての作品の仕上げ、色指定、撮影工程に使われている実績を持ちます。
ドワンゴは『OpenToonz』を、『Toonz』の機能をすべて受け継いだ状態で公開し、さらにスタジオジブリが社内開発したスキャニングツールや、デジタルペイント機能なども網羅しています。
言うなれば、スタジオジブリの制作環境を、誰もが無料で手に入れられるようになったということです。
この機能を使うと、プラグイン開発者によるさまざまな映像エフェクトを、自らの作業環境でも使用できるようになります(いわゆる、Photoshopの「カスタムブラシ」に似た機能といえるでしょうか)。 『OpenToonz』にはドワンゴが独自で研究している人工知能の技術も採用されているそうです。たとえば、「写真」と「作画」を合成することで「写真を作画に変換」したり、往年のアニメによく見られた「入射光」の表現を生成したりといったエフェクトです。
もちろん、アニメーションを制作するのではなく、エフェクトのみの開発も可能。今後も多くの開発者によってエフェクトが開発されると、より多彩なアニメーション表現が生まれていくことが期待できるでしょう。
お話を伺ったブース担当者も「実際のアニメ制作会社や専門学校をはじめ、オープンソースになったことで、“アニメ好きのハッカー”にもぜひ使ってほしい」と言います。
プログラムもイラストが書ける人にとっては、自らの制作環境を高められる場がさらに整ったといえそうです。
現在、『OpenToonz』は下記の公式サイトからダウンロードできます。
OpenToonz:https://opentoonz.github.io/(外部リンク)
ブースナンバー・J41の「KADOKAWA」では、関連企業のドワンゴが先ごろ発表したアニメーション制作ソフト『OpenToonz』(オープントゥーンズ)の展示が行われていました。
文:松本塩梅
自分のPCが、今日から「スタジオジブリ」になる!?
現在、日本のアニメ制作の現場では、主に3社のソフトが覇権争いをしている“戦国時代”なのだそう。日本・セルシスの『RETAS STUDIO』、アメリカ・Toon Boom Animation Inc.の『Toon Boom』、フランス・TVPaint Developpementの『TVPaint Animation』です。 ドワンゴが発表した『OpenToonz』は、この戦国時代に参入する新興勢力。イタリアのDigitalVideo社が独自開発したソフト『Toonz』のソースコードを買収し、オープンソースプラットフォームとして公開することで、誰でも無料で、商用・非商用を問わずに利用できるようにしたのが最大のインパクト。 『Toonz』はスタジオジブリが『もののけ姫』を制作する際に採用されて以降、ほぼすべての作品の仕上げ、色指定、撮影工程に使われている実績を持ちます。
ドワンゴは『OpenToonz』を、『Toonz』の機能をすべて受け継いだ状態で公開し、さらにスタジオジブリが社内開発したスキャニングツールや、デジタルペイント機能なども網羅しています。
言うなれば、スタジオジブリの制作環境を、誰もが無料で手に入れられるようになったということです。
“アニメ好きのハッカー”が新たな表現を作り出す?
さらに、『OpenToonz』の公開にあたってドワンゴが追加したのが、プラグイン機能としての「エフェクト開発キット(SDK)」の実装です。この機能を使うと、プラグイン開発者によるさまざまな映像エフェクトを、自らの作業環境でも使用できるようになります(いわゆる、Photoshopの「カスタムブラシ」に似た機能といえるでしょうか)。 『OpenToonz』にはドワンゴが独自で研究している人工知能の技術も採用されているそうです。たとえば、「写真」と「作画」を合成することで「写真を作画に変換」したり、往年のアニメによく見られた「入射光」の表現を生成したりといったエフェクトです。
もちろん、アニメーションを制作するのではなく、エフェクトのみの開発も可能。今後も多くの開発者によってエフェクトが開発されると、より多彩なアニメーション表現が生まれていくことが期待できるでしょう。
お話を伺ったブース担当者も「実際のアニメ制作会社や専門学校をはじめ、オープンソースになったことで、“アニメ好きのハッカー”にもぜひ使ってほしい」と言います。
プログラムもイラストが書ける人にとっては、自らの制作環境を高められる場がさらに整ったといえそうです。
現在、『OpenToonz』は下記の公式サイトからダウンロードできます。
OpenToonz:https://opentoonz.github.io/(外部リンク)
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イベント情報
AnimeJapan 2016 開催概要
- 会場
- 東京ビッグサイト (〒135-0063 東京都江東区有明3-11-1)
- 東展示棟 東1~6ホール [メインエリア]
- 会議棟1Fレセプションホール [ビジネスエリア]
- メインエリア会期
- 2016年3月26日(土)・27日(日)
- 時間
- 10:00~17:00
- ※ファストチケット入場は9:30〜9:59
- ※最終入場16:30
関連リンク
連載
日本最大級のアニメイベント「AnimeJapan 2016」の模様を会場である東京ビッグサイトからレポート。 新作テレビアニメはもちろん、今後新たな展開を控える劇場版など、多くの作品とそのファンで賑わっている会場の空気をお届けする。
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