初音ミクが舞い歌う! 別府温泉の全天周映像はいかにして実現したのか?

運営にお話を聞いてみた、全天周映像の難しさ

今回、別府市や、初音ミクを提供するクリプトン・フューチャー・メディアと共に「TRANS CITY」の企画を行った株式会社プリズムの和井内良典さんと、全天周ドームの映像制作をする株式会社プラウの髙野賢吾さんにお話を聞いてみることができた。

──TRANS CITYの街づくりに参加することになった経緯を教えてください。

和井内 7、8年前に弊社が全天周ドームとその演出方法を海外から日本に持ち込み、独自にシステム開発をしてきていました。

ただ、それ一辺倒ではなく、平面映像という表現方法で冨田勲さんとミクさんのコンサートでのコラボレーションにおける映像制作で参加させていただいたり、同じ北海道という点でクリプトンさんとは縁があり、今回お話をいただき参加することになりました。

──平面と全天周、両方での映像表現をされている立場からみて、全天周映像の表現や技術的に難しいところはどういったところですか?

和井内 平面の一方向で表現するのと、360°で表現するのとではイメージの持ち方の違いが重要になってきます。平面映像の世界では制約の中で表現すればいいのですが、360°の映像の場合は、普段の生活のような感覚と言うか、制約がなくなる分、逆に自由がゆえの難しさというものが出てきます。 髙野 技術的な部分で言うと、今回はプロジェクターを6台使って表現しているのですが、各プロジェクターから投映される映像の接点を斜めに繋いだり、縦の面を繋いだりというのが1点。もう1点は、歪んでいる映像をまっすぐに直すというところが難しいです。

また、現在では株式会社オリハルコンテクノロジーズや多くの方のご協力もあり、専用のソフトウェアを開発し、それを使った制作ができるようになったのですが、全天周ドームを日本に持ち込んだ当初はフレームがなかったので、いつも見ている世界をどうやって映像として映していけばいいのかというのも難しい問題としてありました。

例えば、一部分をズームアップして見せることで受け取り側の感覚がおかしくならないのかなど、気を付けてつくっていかなければいけませんでした。
平面映像でしたら引き絵を撮って、アップの絵を撮り、それを組み合わせ、動かして見せればいいのですが、全天周ではバーチャル空間のように右を向いたらアレが見えて左を向いたらソレが見えてといった、実生活と同じ感覚で見られるようにつくっていかねばならず、クリエイターの感性というものが非常に重要でした。 和井内 技術ももちろんですが、全天周映像をさらに良いものにしていくには、最終的にソフトウェアを作る人間の感性がどこまで進歩するかという話になってくるでしょう。

ただ、表現・進化の可能性は多く秘めている分野ではあるものの、そうした映像を表現する場があまりないというのが歯がゆいところではあります。

──別府市とミクさんと、本来出会うことがないであろうものが「TRANS CITY」という街で出会いました。どのようなコンセプトで実現されたのでしょうか?

和井内 本来、交わることがないであろう人々が訪れ、その人々が持つ様々な価値観を変える街が「TRANS CITY」だと考えています。訪れた人はいつか街を離れるかもしれませんが、離れても頭には残っている。その人たちがまたどこかで繋がるかもしれない。それを繰り返して行くことで色んな世界が繋がる、そんなきっかけとなる街だと思っています。

仮想的現実空間「TRANS CITY-トランスシティ-」の開放期間は1月15日まで。この3連休に足を運んでみては?
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©Crypton Future Media, INC. www.piapro.net
ドーム内の画像楽曲はlivetune feat. 初音ミク「Light Song」
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