岩淵監督&カンパニー松尾さんからコメント!
ハバナイの『ロックンロールの恋人』は一夜の出来事、『blood on the mosh
pit』はこの一年の出来事をまとめたPVとして作りました。1000人規模のフリーパーティーとなったリキッドルームはどんな光景が広がるのでしょう。ハバナイ、ネイチャー、おやホロの3組を中心とした東京のアンダーグラウンドの現在を記録したドキュメンタリー映画を作ります。 HMJM・岩淵弘樹さんよりコメント
2015年、東京の片隅で起きたあるシーンの映画化について
Have a Nice Day!、Nature Danger Gang、おやすみホログラム、(以下、ハバナイ、NDG、おやホロ)僕がこの3組の幸せなトライアングルを知ったのは今年の夏前のことで、以前から知り合いだったフリーの映像作家岩淵弘樹をハマジムに招き入れ、僕の横で机を並べて仕事を始めてからだった。
ハマジム的にはちょうど『どついたるねんライブ』の撮影が終わり、岩淵がハマジム入社以前からやっていたMV制作の仕事をハマジムスタッフのタートル今田や梁井一らが手伝い始め、社内で「ハバナイ、ヤバい」とか「おやホロちゃん可愛い」などと聞こえてきて、普段チンコとかマンコとかAV女優の名前しか出てこないAV野郎どもからの聞き慣れない会話に最初は「なんじゃそら、お前らバンドのケツ追っかける前にちゃんと自分のAV作らんかい!」と真顔で怒っていた。
ネイチャーは去年のとあるテレキャノ上映会の対バンで見て、どこがステージで何曲演って誰がメンバーで誰が客だかわからない狂った裸祭りみたいなライブを前に「ダメだこりゃ、ついていけない」とギブアップし、動画サイトでおやホロを見ても「左はいいけど、右の歌が…」とケチをつけたり、ハバナイに至っては「どこがいいのかわからない、オラ的には来ない」と断言していた。
そんな中、岩淵は黙々とハバナイやNDGやおやホロを撮影し、夜中しこしこ編集していた。(今となってはどーでもいい話だが、彼との入社前の約束で「ハマジムの本業以外の仕事は業務時間外でやるべし」と決めていたから)
その後、『劇場版 どついたるねんライブ』の劇場公開が始まり、その宣伝の一環でNDGのせき君と話す機会があって、彼のおおらかで気の利く人柄に触れNDGを見直して好きになったり、おやホロの『note』という曲が気になって夜中ひとりでこそこそ動画サイトを漁ったりしていて9月に行われた青森のロックフェス夏の魔物を迎えた。
ハマジム的には劇場版テレクラ&BiSキャノの上映と主題歌を歌うWeekday Sleepersライブを従えての参加だったが、岩淵と今田はそこに便乗しNDGのMV撮影をしながらおやホロ、NDGのステージを撮影する計画で青森に向かった。魔物当日、僕は主催の成田君を追っかけていたので、BiSキャノ上映後は全体の様子を見ながらカメラを回していた。朝7時からの上映でまともに寝てなく、お昼を過ぎた頃には猛烈な睡魔に襲われ、メインステージ裏に停めた車に潜り込んだ。メインステージではサニーデイ・サービスが始まり、僕の好きな「星を見たかい?」が流れ、視界の奥の山の景色とミドルテンポの優しく力強い音が交わった時、「ああ、(今時なガチャガチャした音より)やっぱりこっちが好きだなあ」と感慨に耽り「フェスっていいかも♡」と癒されそのまま寝てしまった。ふっと起きたら結構寝ていて、慌ててサブステージに向かう。岩淵から「おやホロはみんなで撮影したいので来てください」と事前に頼まれていたからだ。開演少し前にバックステージに着いた。そこで初めてナマのおやホロ2人に会ってぎこちない挨拶をしたその奥に浅見北斗がいた。たぶんその時は言葉は交わしていない。以前からおやホロを追いかけている撮影チーム“離島”とハマジムチームの役割分担を決め、配置に付いた。僕はステージ前に陣取るアイドル系オタクと武闘派オタク達の後ろからオタク越しに真っすぐステージを撮った。サブステージで20分という短い時間でありながら駆けつけたオタク達は最初からテンションが高かった。そして最後、シークレットでハバナイの浅見北斗が登場してオタク達がさらにざわめく。この魔物にハバナイは呼ばれていない。嬉しい騙し討ちだ。浅見北斗は煽る。「お前らつまんねーんだよ」、「クソ青森○×○×…」そこからいきなり「エメラルド」のイントロが流れる。一瞬の内にボルテージが上がり、モッシュ&ダイブの嵐。男も女も演者も客も入り乱れて。まるで音楽の乱交パーティーみたいな光景が広がる。飛び跳ねる八月ちゃん、豪快にダイブするカナミル。踊りながら、歌いながらモッシュにまみれる浅見北斗。暴れながらもそれを支えるオタク達。浅見は長い時間、神輿のように担がれ宙に舞って歌っていた。神々しかった。後にそれがクラウドサーフという素敵な名前で呼ばれていることを知る。
そんな夏の魔物が終わり、東京に戻ってからも岩淵はハバナイ周辺を撮り続けた。僕はハバナイが一気に好きになり、音源や映像を漁った。八月ちゃんは可愛いし、カナミルはカッコいい。ネイチャーはよくわからないけどハバナイは曲もいいし、何より浅見さんのステップがカッコいい。単なるにわかファンである。最初ハバナイを動画サイトで見て「感じなかった」ものがライブを通して体現し、リアルな現象を目の前にしてようやく僕の頭やカラダに伝わった、そんな感じだった。初めてハバナイを動画サイトで見て2ヶ月後のことだった。
岩淵が青森で撮ったNDGのMV『生きてる』も完成し公開され、おやホロのアルバムが発売され、ハバナイがクラウドファンディングで仕掛けた恵比寿リキッドルームのフリーパーティーも目標額を突破した。
夏の魔物で見たステージからかもしれないし、もっと前からかもしれない。僕はあいかわらず夜中、隣の席でしこしこライブ映像を編集する岩淵に伝えた。「これは劇場公開した方がいい」と。動画サイトで気の効いた無料映像を流して現場に誘導するだけじゃなく、もっと大きなスクリーンでライブハウスみたいに多くの人と体感したい。お金を貰ってでも伝えるべき楽曲の力と人の魅力とストーリーがあると思った。東京の片隅で始まったイカれたパーティの1コマを映画という箔を付けてまだ知らない人達に投げてみたいと思った。丸の内のOLさんにも見てもらいたい。僕もついこの間までこんな素敵なトライアングルがあるって知らなかったから。
時代は違うけれど、僕の好きな音楽ドキュメンタリーに『1991:THE YEAR PUNK BROKE』という作品がある。1991年、ソニックユースを中心としたライブツアーにニルヴァーナやダイナソーJr.などがゲスト参加していて、基本ステージは不安定な手持カメラで撮影され、曲間にサーストン・ムーアやニルヴァーナメンバー達のツアー先やバックステージでのイカれた悪ふざけが挟みこまれたチープ&グッドな作りになっている。ニルヴァーナはまだ『NEVERMIND』の発売前でカートもただのパンク兄ちゃんのまま楽しそうにはしゃいでいる。その中盤、ソニックユースの名曲「Teenage Riot」のMCでキム・ゴードンが言い放つ。「ねえ知ってる、1991年にパンクロックは死んだのよ」と。イカれた奴らのイカれたライブ&ドキュメント、僕はそんな感じでこのプロジェクトをイメージした。
ら、今作の中身は僕のイメージとはちょっと違うようだ。岩淵が浅見さんと打ち合わせを重ねて作った最新MV『blood on the mosh pit』は「エモい、エモすぎ」とオタク達から騒がれ、浅見さん自身も11月10日のドミューン放送中に思わず涙を流し(同時間、ネイチャーのせき君は泣いてる浅見さんと3メートルも離れていない客席の隅でパンツを脱いで男と乳くりあっていた)、そして昨日12日に行われたおやホロライブ前、おやホロ/NDGのマネージャーをやっているみぽりんさんが、最近のネイチャーの身勝手な行動や、自分のマネージャーとしての不甲斐なさに涙したりしてるという。カッコいいイカれたドキュメンタリーのはずなのにどうなってんだ。
本来映画化にあたっては先に公開先や配給方法を決めて動くものだが、僕は映画屋じゃないのでそれはしない。今年岩淵が撮り貯めた素材に以前からハバナイ、NDG、おやホロらを追いかけている撮影チームや個人にも協力してもらい素材を提供してもらって1本の映画にする。まずはそこからだ。それに力があればどう公開しようが自ずと人が集まる。そう勝手に信じている。
そこでファンやオタクのみなさんにお願いがあります。18日の恵比寿リキッドルームでのフリーパーティーをこの映像プロジェクトのメインとして撮影させてください。少し邪魔かもしれないけど一緒に盛り上がって、それを最良の状態で記録出来ればいいなと思ってます。そして、来年2016年の春の公開をメドに編集作業を進めます。また詳細が決まり次第改めてみなさまにご報告します。それまでしばしお待ちください。
こんなクソ長いいいわけみたいなテキストを最後まで読んでくれてありがとう。まだまだいい足りないことはあるけど、続きは岩淵に託します。では劇場でお会いしましょう。 HMJM・カンパニー松尾さんよりのコメント
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