あの事件から3年──グルーポンが「おせち」に再挑戦

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あの事件から3年──グルーポンが「おせち」に再挑戦
あの事件から3年──グルーポンが「おせち」に再挑戦

記者会見でのおせち

2013年11月21日(木)、国内最大手のクーポンサイト「グルーポン」を運営するグルーポン・ジャパンが記者会見を行った。内容は、2011年1月に巻き起こった〝おせち事件〟を経て同社がどう生まれ変わったか。そして、2015年へのおせち取り扱い再開に向けて、2014年を新生グルーポンのスタートラインとして「夢のおせち」プレゼントキャンペーンを開始した。

フラッシュマーケティング

「グルーポン」は、契約店舗の商品やサービスなどを、割引価格や特典などが付与されたクーポンという形で発行し、期間限定でインターネット上で販売する「フラッシュマーケティング」と呼ばれる手法を採用したマーケットプレイス。「グルーポン」は、ある一定数のユーザーが購入すると成立する、共同購入型クーポン制をとり、同様の手法は日本では特に2010年前後に隆盛した。

しかし、2011年に、グルーポン・ジャパンへの信用が揺らぐ事件が起きた。それが、〝おせち事件〟だ。

元旦の悲劇・おせち事件

2010年末、「グルーポン」を利用して、横浜のレストラン・バードカフェのおせちを定価の50%で購入できるクーポンを500人が購入し、クーポンが成立した。

しかし、悲劇は元旦に起きた。翌年の2011年1月1日、お正月のおせちを心待ちにする人の元に、ネット上で写真で確認して購入したはずのおせちとは到底似ても似つかないおせち料理が届く。家庭によっては元旦に間に合わないという遅延が起きたり、クール宅急便ではなく通常配送されたために到着時点で腐っていたということさえあった。

ネット上には、悲劇に見舞われたユーザーからの憤怒と阿鼻叫喚が渦まき、2011年の正月は、おせち事件の話題で持ち切りだった。グルーポンは即日、ユーザーへの謝罪と、全額返金の旨を発表。この事件は、当初、多くのネットメディアに取り上げられ、テレビや新聞といったメディアでも大々的に報道され、ついには、おせちを提供していたバードカフェの代表取締役が辞任するまでに至った。

おせちでリベンジ

2011年のおせち事件以降、「グルーポン」はおせち料理には手を出していなかった。会見でも、事件を振り返りながら、「おせちは、私どもが忘れてはならないキーワードの1つ」とコメント。それゆえ、新生グルーポンのスタートラインを切るために、おせちから始めることを宣言。2015年1月には、再びおせちを提供する予定であることも発表された。

その前哨戦として、会見が行われた11月21日(木)より、「夢のおせち」プレゼントキャンペーンを開始。著名な料理人5名がそれぞれ腕によりをかけてこしらえた日本料・フランス・中国・スペインの料理にデザートを加え5段重ねにするという、何とも豪華なおせち料理だ。

参加したシェフは、銀座の懐石料理「馳走 啐啄(そったく)」の西塚茂光さん、中華料理の鉄人・陳建一さん、日本におけるスペインガストロノミーの立役者であるジョセップ・バラオナさん、現代フレンチの名店「ル・マンジュ・トゥー」の谷昇さん、そしてスイーツ好きに知らない人はいないと言われるフランス菓子の名手・河田勝彦さん。 それぞれ、シェフのメッセージと共に料理を紹介。中には、新しいスタートを切るグルーポンを励ますかのようなメッセージも。

左がジョセップ・バラオナさん、右が2012年8月にグルーポン・ジャパン代表取締役CEOに就任した根本啓さん

このような名シェフを集めた前代未聞のおせち料理は、一体、金額にしたらいくらになるのか気になるところだが、「〝夢の〟と冠しているように、とても金額には換算できない」そうだ。

当日は、ジョセップ・バラオナさんが駆けつけ、スペインにはおせちというものは存在しないが、日本の正月のために特別に料理した今回の「夢のおせち」について、「(他のシェフの段も)全部食べたい。できれば私に当たってほしいくらい」と話した。

詳しい情報はキャンペーンサイトを参照してほしいが、かつての失敗を繰り返さないためか、今回は「最高の品質と鮮度を保つため」におせちのプレゼントは関東地区の方に限られている。おせちの当選者は5名という狭き門だが、他にも、日本酒11本飲み比べセットや食器・花器セットなどが商品となっている。

さらに、そちらに応募した方がチャンレジできる「夢の宝くじ」も。なんと、総額1億円相当の買物券が用意されているとのことなので、興味のある方は応募してみるといいかもしれない。

おせちに罪はない

ちなみに、記者会見では、ジョセップ・バラオナさんによるスペインおせちを、ごく一部だが試食することができた。イベリコ豚の中でも最高の味・品質が保障された「イベリコベジョタ」を惜しみなく用いた料理などが振る舞われ、筆者もご相伴に預かった。

おせち事件は二度と繰り返してはならないが、名誉挽回をかけてグルーポンが打ち出す今回の「夢のおせち」の味には舌鼓を打ったことだけは記しておきたい。
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