前作『夢のまにまに』からおよそ1年半、2013年10月9日にファン待望のセカンドアルバム『アルターワー・セツナポップ』をリリースした、〝ぽわぽわP〟こと椎名もたさん。14歳の中学2年からDTMによる作曲を始めたという彼は、1995年生まれの弱冠18歳。その若さには不釣り合いなほどハイクオリティな楽曲の数々は、瞬く間に人気を博し、ボカロP(ボーカロイドプロデューサー)としての確固たる地位を築いている。
また、この度リリースされた『アルターワー・セツナポップ』は、彼が所属するレーベル「GINGA」と共に「U/M/A/A」へ移籍してから初のアルバムとなる。GINGAとU/M/A/Aは共に、独自の目線からアーティストの才能を伸ばし続けるレーベルであり、その2つの邂逅によってどんなものが生まれるのか、ファンはもちろん業界からも注目を集めている。
そんな彼の、この1年半の変革期に一体なにが起こったのか、そして変革の先のこれからについて、GINGA主宰の曽根原僚介さんも交え、じっくりとお話を伺った。(取材・構成 新見直/高橋里美)
また、『アルターワー・セツナポップ』に収録されているMVイラスト制作を手がけた現役女子中学生イラストレーター・金子開発さんのインタビューも公開中。合わせてどうぞ。
現役女子中学生イラストレーター・金子開発インタビュー 変革期を刺激したもう一つの才能
http://kai-you.net/article/1304
椎名もた(以下、もた) 4歳の頃にエレクトーンを始めたのが一番最初のきっかけですね。元々は姉がエレクトーンを習っていたんですが、姉が辞めた時、せっかく買ったのにもったいないね、ということで自分に回ってきたという感じでした。
それから中学2年の頃まではエレクトーンを続けていて、吹奏楽部に入部していたりもしたんですが、DTMに出会ってからはそっちに完全に移行していきました。
──DTMにハマったきっかけは何だったんですか?
もた まずはニコニコ動画で「初音ミク」というものを目にして、「初音ミクとはなんぞや?」と調べて、「DTM」という言葉に行き着きました。そのDTMについて調べてみたら「なんだ、できそうじゃん」と思ったんです。そこで、お年玉を使って「FL Studio」という音楽制作ソフトと初音ミクを購入して、曲を作っていきました。
──それも中学生当時ということですよね? 一見、中学生がそういうソフトを扱うのは難しそうな気がするのですが。
もた 実際にやってみると、「案外いけるやん」と思いましたね。
ただ、VOCALOIDでは「~は」を「ha」で打つとそのまま発音してしまうから「わ(wa)」で入力しなくちゃいけない、とか、細かいところで苦労する部分はありました。そういうところも試行錯誤しながら覚えていきましたね。
──ちなみに、その頃のニコニコ動画で印象に残っている楽曲はなにかありますか?
もた cosMo@暴走Pの『初音ミクの消失』や、ラヴリーPの『VOiCE』が好きでした。
──どちらも初音ミク・VOCALOIDが盛り上がっていく初期の頃の人気曲ですね。今でこそ、VOCALOIDシーンは中高生を中心に人気ですが、当時、もたさんが中学生だった頃はいかがでしたか?
もた ニコニコ動画自体、そんなに浸透していなかったと思います。あくまでマイノリティのものでした。なので、自分が好きな音楽の話をできる人が周りにいなくて、自分でどんどん掘り下げていくしかなかったですね。
──となると、初めての楽曲制作もお一人で苦労されたのではないかと思いますが、どれくらい時間がかかりましたか?
もた ほぼ1日だったと思います。
──ええっ、1日ですか!? 作曲から作詞など、すべてを1日で仕上げたということですか?
もた そうですね。今でも大体1曲1日で作っています。イメージが湧くまでが長いんですが、思いついたら一気に作ります。
──ちなみに、作曲と作詞だったらどちらのほうが苦労しますか?
もた 作曲ですね。作詞でも、全く悩まないというわけではないんですが、他の人よりは少ないと思います。
曽根原 ぶっちゃけ、速いんですよ。歌詞で詰まったことってほとんどないよね? 曲にもよりますが、だいたい、まずはオケができたら僕に送ってくるんですけど、送った30分後には歌詞と歌のメロディーが一緒に送られてくることもあったりするんです。
もた ひたすら納得できる曲を作り続けていました。『夢のまにまに』を超えるものを、ということを常に考えながら。今回のアルバムに収録しなかったものも10曲はありますね。
──〝椎名もたバンド〟の豪華な面子を迎えたのも、前作を超えるための新たな挑戦だったと思うのですが、レコーディングの雰囲気はいかがでしたか?
もた 結構スムーズに進みました。無茶振りなお願いをしたりもしたんですが、イメージに忠実に演奏してくれて、すごく助かりました。
というのも、今回はレコーディング前の打ち合わせをしっかり行っていたからだと思います。
曽根原 でも、あれはもう楽曲制作じゃなかったよね(笑)。楽器で音を出して合わせるというより、〝ここで「ドコン」となって、ここで「バン」ってなる!〟みたいなざっくりしたことを紙に書きまくって、言い合いまくっていました。そうやって1曲1曲のイメージを共有していったんです。スタジオに入る前の作業の方が、実はキツかったんじゃない(笑)?
もた そうだね(笑)。でも、楽しかった。今までは一人で作ることが多かったんですが、こうやって誰かと曲を作るのは新しくて刺激的な挑戦でもありました。今後もやっていきたいなと思います。
──ちなみに、アルバム全体のテーマは決めていましたか?
もた ハッキリとは言わないんですが、このアルバムには「嘘」という言葉がたくさん出てきます。嘘にも悪い嘘、やさしい嘘、いろいろありますが、全部ひっくるめての「嘘」です。それについて考えながら聴いてもらえると、一層楽しめるかなと思います。
また、この度リリースされた『アルターワー・セツナポップ』は、彼が所属するレーベル「GINGA」と共に「U/M/A/A」へ移籍してから初のアルバムとなる。GINGAとU/M/A/Aは共に、独自の目線からアーティストの才能を伸ばし続けるレーベルであり、その2つの邂逅によってどんなものが生まれるのか、ファンはもちろん業界からも注目を集めている。
そんな彼の、この1年半の変革期に一体なにが起こったのか、そして変革の先のこれからについて、GINGA主宰の曽根原僚介さんも交え、じっくりとお話を伺った。(取材・構成 新見直/高橋里美)
また、『アルターワー・セツナポップ』に収録されているMVイラスト制作を手がけた現役女子中学生イラストレーター・金子開発さんのインタビューも公開中。合わせてどうぞ。
現役女子中学生イラストレーター・金子開発インタビュー 変革期を刺激したもう一つの才能
http://kai-you.net/article/1304
「なんだ、できそうじゃん」と思った
──もたさんは、現在18歳で商業シーンで活躍されていますが、初めて音楽にふれたのはいくつの頃だったのでしょうか?椎名もた(以下、もた) 4歳の頃にエレクトーンを始めたのが一番最初のきっかけですね。元々は姉がエレクトーンを習っていたんですが、姉が辞めた時、せっかく買ったのにもったいないね、ということで自分に回ってきたという感じでした。
それから中学2年の頃まではエレクトーンを続けていて、吹奏楽部に入部していたりもしたんですが、DTMに出会ってからはそっちに完全に移行していきました。
──DTMにハマったきっかけは何だったんですか?
もた まずはニコニコ動画で「初音ミク」というものを目にして、「初音ミクとはなんぞや?」と調べて、「DTM」という言葉に行き着きました。そのDTMについて調べてみたら「なんだ、できそうじゃん」と思ったんです。そこで、お年玉を使って「FL Studio」という音楽制作ソフトと初音ミクを購入して、曲を作っていきました。
──それも中学生当時ということですよね? 一見、中学生がそういうソフトを扱うのは難しそうな気がするのですが。
もた 実際にやってみると、「案外いけるやん」と思いましたね。
ただ、VOCALOIDでは「~は」を「ha」で打つとそのまま発音してしまうから「わ(wa)」で入力しなくちゃいけない、とか、細かいところで苦労する部分はありました。そういうところも試行錯誤しながら覚えていきましたね。
──ちなみに、その頃のニコニコ動画で印象に残っている楽曲はなにかありますか?
もた cosMo@暴走Pの『初音ミクの消失』や、ラヴリーPの『VOiCE』が好きでした。
──どちらも初音ミク・VOCALOIDが盛り上がっていく初期の頃の人気曲ですね。今でこそ、VOCALOIDシーンは中高生を中心に人気ですが、当時、もたさんが中学生だった頃はいかがでしたか?
もた ニコニコ動画自体、そんなに浸透していなかったと思います。あくまでマイノリティのものでした。なので、自分が好きな音楽の話をできる人が周りにいなくて、自分でどんどん掘り下げていくしかなかったですね。
──となると、初めての楽曲制作もお一人で苦労されたのではないかと思いますが、どれくらい時間がかかりましたか?
もた ほぼ1日だったと思います。
──ええっ、1日ですか!? 作曲から作詞など、すべてを1日で仕上げたということですか?
もた そうですね。今でも大体1曲1日で作っています。イメージが湧くまでが長いんですが、思いついたら一気に作ります。
──ちなみに、作曲と作詞だったらどちらのほうが苦労しますか?
もた 作曲ですね。作詞でも、全く悩まないというわけではないんですが、他の人よりは少ないと思います。
曽根原 ぶっちゃけ、速いんですよ。歌詞で詰まったことってほとんどないよね? 曲にもよりますが、だいたい、まずはオケができたら僕に送ってくるんですけど、送った30分後には歌詞と歌のメロディーが一緒に送られてくることもあったりするんです。
新たな挑戦の〝変革期(アルターアワー)〟
──今回のアルバム名には、〝変革期(アルターアワー)〟という意味が込められているそうですが、前作『夢のまにまに』から本作までの約1年半の変革期間、どんな時間を過ごしてきたのでしょうか?もた ひたすら納得できる曲を作り続けていました。『夢のまにまに』を超えるものを、ということを常に考えながら。今回のアルバムに収録しなかったものも10曲はありますね。
──〝椎名もたバンド〟の豪華な面子を迎えたのも、前作を超えるための新たな挑戦だったと思うのですが、レコーディングの雰囲気はいかがでしたか?
もた 結構スムーズに進みました。無茶振りなお願いをしたりもしたんですが、イメージに忠実に演奏してくれて、すごく助かりました。
というのも、今回はレコーディング前の打ち合わせをしっかり行っていたからだと思います。
曽根原 でも、あれはもう楽曲制作じゃなかったよね(笑)。楽器で音を出して合わせるというより、〝ここで「ドコン」となって、ここで「バン」ってなる!〟みたいなざっくりしたことを紙に書きまくって、言い合いまくっていました。そうやって1曲1曲のイメージを共有していったんです。スタジオに入る前の作業の方が、実はキツかったんじゃない(笑)?
もた そうだね(笑)。でも、楽しかった。今までは一人で作ることが多かったんですが、こうやって誰かと曲を作るのは新しくて刺激的な挑戦でもありました。今後もやっていきたいなと思います。
──ちなみに、アルバム全体のテーマは決めていましたか?
もた ハッキリとは言わないんですが、このアルバムには「嘘」という言葉がたくさん出てきます。嘘にも悪い嘘、やさしい嘘、いろいろありますが、全部ひっくるめての「嘘」です。それについて考えながら聴いてもらえると、一層楽しめるかなと思います。
【クロスフェード】アルターワー・セツナポップ / 椎名もた(ぽわぽわP)
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