2013年9月18日(水)に『セカイカタログ』でメジャーデビューを果たした、VOCALOIDプロデューサー・millstones(ミルストーンズ)さん。テクノポップ、ハウス、ダンスミュージック、民族音楽調など、幅広い音楽性と独特の世界観によって奏でられる音楽が支持を集めている。
2009年にニコニコ動画に投稿された「計画都市」で一躍ブレイク。以降発表したオリジナル曲はどれも「VOCALOID」カテゴリランキング上位にランクインする。また、ニコニコ動画ではコメントによって盛り上がることが多いが、逆に、黙ってマイリスト(お気に入り)登録して聴くことに専念する、というのも楽曲に惚れ込んでいる証。millstonesさんの楽曲のほとんども、コメントの倍以上のマイリスト登録がされており、聴いた人の心を掴んで離さない、知る人ぞ知る人気クリエイターだ。
『セカイカタログ』は、新曲に加え、自身の代表曲を今作のために再構築した意欲作であり、ファン待望の集大成となる1枚。今回のメジャーデビューにあたって、このアルバムに込めた想いや、音楽制作に対する姿勢などを語っていただいた。(取材・構成 高橋里美)
また、『セカイカタログ』収録曲のイラスト化を手がけた5名のイラストレーターさんのコメントも公開中。合わせてどうぞ。
『セカイカタログ』の世界観を視覚化 イラストレーターのコメントも到着
http://kai-you.net/article/1163
millstones 今回のアルバムのコンセプトは、〝太古の石版から、これから発明されるかもしれない未来の記憶媒体まで、あらゆるものに記録された物語を収蔵する「図書館」〟です。これまで作ってきた様々な世界観の曲を1枚のCDに収めることから、〝物語の集まる場所〟として「図書館」をキーワードにしました。
──その構想はいつごろからあったのでしょうか?
millstones 漠然と「図書館をモチーフにした曲を作ってみたい」という気持ちはあったのですが、1曲で完結させようと思うとどうにも難しくて、ずっと放ったらかしになっていたんです。今回、アルバムという形でリリースさせていただけることになったので、改めてコンセプトとして復活させてみました。
──図書館、お好きなんですか?
millstones 好きですね。思えば小さい頃から図書館との縁に恵まれているらしく、生活圏内にいつも図書館がありました。今の自宅からも歩いて7~8分のところにあるので、休みの日には半日ぐらいだらだらと本を読みに行ったりします。
──なるほど。millstonesさんにとって「図書館」はかなり身近なキーワードだったんですね。今作は集大成として、これまでの代表曲が多数収録されていますが、収録曲を選んだ意図はどのようなところにあったのでしょうか?
millstones 今回はデビューアルバムということもあり、1枚で〝millstonesらしさ〟をひと通り押さえられるアルバムにしたかったんです。なので、代表的な曲を網羅しつつ、多様なジャンルが入るように選びました。今までの作品を追ってくれている皆さんから見ても、納得してもらえる選曲になったのではないか、と思っています。
──それもそのまま収録するのではなく、かなりブラッシュアップされていますよね?
millstones やはり既存曲も多く収録される都合上、すでに曲を聴いて知っている方にとってつまらないCDになってしまうのではないか、という懸念はありました。そこで、2013年に改めて1枚の作品として聴く意味のあるアルバムにすることを目標に、古めの曲を中心に、面影を残しつつリアレンジを施したり、ミックスバランスを大きく見直したりしています。オリジナル版の動画と聴き比べて楽しんでもらえたらいいな、と思っています。
──古めの曲というと、5曲目の「計画都市」のオリジナルは2009年に公開されていますよね。そんな4年前の曲から新曲までが1枚のアルバムにまとまるのは、一貫したテーマやコンセプトをもって曲作りをされているからなのでしょうか?
millstones 曲の中身やテーマ、世界観こそ全くのバラバラなのですが、一貫したプロセスで曲作りをしていたので、今回は世界観よりもう一つ上の「図書館」というメタな部分をコンセプトにしたことで、それぞれの曲を上手くリンクさせていくことができたのかなと思います。
millstones まず、曲の世界観を大まかに決めます。それを反映したアレンジをしていって、最後にメロディと歌詞をすり合わせながら世界観を詰める、という流れで進めていきますね。
──制作過程の中で、特に苦戦する部分はありますか?
millstones 作詞の工程で苦労することが多いです。はじめの段階で練り込みが足りないと、最後の詰めの段階で全部しわ寄せが来てしまうんですよね。ひどい時は最後の1フレーズを埋めるのに、1週間以上足踏みしてしまうこともありました……。
──もう一つ、楽曲制作という点では、これまではお一人での制作が中心だったかと思います。今作でU/M/A/Aからメジャーデビューすることになりましたが、millstonesさんの中で何か変化はありますか?
millstones スタジオでプロの音・技術に触れながらミックスやマスタリングを行ったことで、音に対する考え方が大きく変化したと思います。
──変化、といいますと?
millstones 一言で言うと「基準ができた」ということです。今回はブラッシュアップの一環として、一部の楽曲をエンジニアの方にミックスしていただいたのですが、自分がミックスした音とエンジニアの方がミックスした音を聴き比べたとき、その違いに愕然としました。
でも、自分のやり方で良かった部分と悪かった部分が明確になったので、これからより良い音を作ることが出来るのではないか、と思っています。
millstones 2000年ごろに「クロノ・トリガー」のプレイステーション版をプレイして、劇中曲「風の憧憬」を聴いた時、初めて音楽というものに興味を持ちました。そして、この曲の耳コピをしたんです。これが音楽制作のきっかけであり、私にとっての音楽の原体験です。オリジナルで制作を始めたのはその後で、だいたい2004年頃からだったと思います。
──「風の憧憬」は今聴いても素晴らしい名曲だと思います。ゲームはどんなジャンルがお好きなんですか?
millstones 特に決まったジャンルはありませんね。ただ、プレイ中は常に操作をしていたいタイプなので、インタラクティブ性の高いゲームの方が好きです。極端な例だと、「不思議のダンジョン」系のローグライクゲームや、「シヴィライゼーション」シリーズのような、プレイごとに展開が変わるゲームに没頭していた時期もあります。
──楽曲制作では、これまでプレイしたゲームから影響を受けることもありますか?
millstones そうですね。プレイはもちろん、サウンドトラックを聴いたりするのも好きなのですが、特に、スーパーファミコンからプレイステーション2の時代のゲームからは、音だけでなく曲のバックグラウンドやストーリー作りなど制作全般において、多くの影響を受けていると思います。
ゲーム以外にも、小説や映画などから着想を得ることが多くて、特にファンタジーやSF系の作品で、斬新な世界観が描かれているものからはいい刺激をもらっていますね。
──最近触れた作品の中で、特に印象に残っているものはありますか?
millstones 小説では『ログ・ホライズン』シリーズや『つくもがみ貸します』、何度も読み返している本として『四畳半神話大系』や『涼宮ハルヒの憂鬱』シリーズ、『学校を出よう!』シリーズですね。ゲームであれば、楽曲アレンジで参加させていただいた『セブンスドラゴン2020』シリーズや、『ZONE OF THE ENDERS』シリーズ、『大神』、『Devil May Cry』など。映画だと『TIME/タイム』、『エネミー・オブ・アメリカ』などが印象に残っています。
millstones 上下一対の石臼が小麦から小麦粉を作り出すように、自分の中に取り込んだものを噛み砕いて、わかりやすい形で世の中にアウトプットしていきたい、という思いから、石臼の複数形である「millstones」を名乗ることにしました。……というエピソードを、つい最近考えました(笑)。
──なるほど(笑)。ちなみに、そのアウトプットの方法の一つとしてVOCALOIDを使われていると思うのですが、millstonesさんの場合、初音ミク、巡音ルカ、GUMI、IAといった複数のVOCALOIDをお使いですよね。どのように使い分けているのでしょうか。
millstones 基本的には曲調に合わせ、声質で使い分けています。メインはAppendを含むミク、シャープな声が欲しい場合はGUMI、長音が多くのびやかなメロディの曲はIA、英語の歌詞がある場合はルカを使っています。
──VOCALOIDといえば、二次創作文化を加速させた技術だと思います。現にmillstonesさんのVOCALOID楽曲も、PVが作られたり、「歌ってみた」などの派生動画が多く投稿されていますが、このような二次創作の文化についてどう思いますか?
millstones 元々私もゲームミュージックの耳コピから音楽にのめり込んだ人間で、二次創作の文化を一度通っているんですよね。二次創作は、自分の得意分野で「自分ならどう表現するか」を考えるのがとても楽しいんだと思うんです。特に制作者とユーザーの垣根が低いVOCALOIDのようなコンテンツでは、作品を最大限に楽しむための有効な方法の一つだと思います。 ──『セカイカタログ』がリリースされたばかりですが、新曲の構想はありますか?
millstones 構想を練るのだけは得意なので、実際に作れるかどうかは別として、曲の構想もアルバムの構想もたくさんあります(笑)。
──それは楽しみです! ズバリmillstonesさんにとって、楽曲制作を続けるモチベーションはどこにあるのでしょうか。
millstones 制作する過程での試行錯誤の楽しさや、完成した時の達成感だと思います。あとは仕事の息抜きも兼ねたストレス発散、という部分もあるのかもしれません。
──なかなかお忙しいお仕事だとうかがっていますが、どのように制作活動と仕事を両立させているのでしょうか。
millstones よほど大変な時期でなければ週末にはまとまった時間が取れるので、年中忙しいというわけではないんです。気分転換の方法は人それぞれあると思いますが、私の場合はそれが音楽制作だったというだけで、特別に両立させるための努力をしているということはありません。私より忙しい中で制作をされている方もたくさんいると思いますよ。
これからも触れたことのない音楽や、音楽以外の作品にもどんどん触れていって、もっと表現の幅を広げて行きたいと思っています。
※U/M/A/A公式サイトでは、『セカイカタログ』収録イラストのTwitterアイコンのプレゼントキャンペーンも実施中!
http://www.umaa.net/news/p604.html
(c)U/M/A/A Inc. (c)Crypton Future Media, INC. www.piapro.net (c)INTERNET Co., Ltd. (c)1st PLACE株式会社 | IA PROJECT ※VOCALOIDならびにボーカロイドはヤマハ株式会社の登録商標です。
millstones // ミルストーンズ
VOCALOIDクリエイター
新潟県出身。90年代後半のゲームミュージックに影響を受けて高校生より音楽活動をはじめ、動画サイトの発展とVOCALOIDの登場に伴い2008年よりVOCALOID楽曲の制作を開始。ドラムンベースやダブステップといったダンスミュージックベースのサウンドが持ち味ながら、時には民族音楽調の楽曲も手がけるなど幅広い音楽性を持ち合わせ、作品の世界観にあわせて巧みに組み合わせる。
文:たかはしさとみ
2009年にニコニコ動画に投稿された「計画都市」で一躍ブレイク。以降発表したオリジナル曲はどれも「VOCALOID」カテゴリランキング上位にランクインする。また、ニコニコ動画ではコメントによって盛り上がることが多いが、逆に、黙ってマイリスト(お気に入り)登録して聴くことに専念する、というのも楽曲に惚れ込んでいる証。millstonesさんの楽曲のほとんども、コメントの倍以上のマイリスト登録がされており、聴いた人の心を掴んで離さない、知る人ぞ知る人気クリエイターだ。
『セカイカタログ』は、新曲に加え、自身の代表曲を今作のために再構築した意欲作であり、ファン待望の集大成となる1枚。今回のメジャーデビューにあたって、このアルバムに込めた想いや、音楽制作に対する姿勢などを語っていただいた。(取材・構成 高橋里美)
また、『セカイカタログ』収録曲のイラスト化を手がけた5名のイラストレーターさんのコメントも公開中。合わせてどうぞ。
『セカイカタログ』の世界観を視覚化 イラストレーターのコメントも到着
http://kai-you.net/article/1163
1枚で〝millstonesらしさ〟をひと通り押さえられるアルバムにしたかった
──ファン待望のデビューアルバムとなりましたが、まずは『セカイカタログ』のコンセプトについて教えてください。millstones 今回のアルバムのコンセプトは、〝太古の石版から、これから発明されるかもしれない未来の記憶媒体まで、あらゆるものに記録された物語を収蔵する「図書館」〟です。これまで作ってきた様々な世界観の曲を1枚のCDに収めることから、〝物語の集まる場所〟として「図書館」をキーワードにしました。
──その構想はいつごろからあったのでしょうか?
millstones 漠然と「図書館をモチーフにした曲を作ってみたい」という気持ちはあったのですが、1曲で完結させようと思うとどうにも難しくて、ずっと放ったらかしになっていたんです。今回、アルバムという形でリリースさせていただけることになったので、改めてコンセプトとして復活させてみました。
──図書館、お好きなんですか?
millstones 好きですね。思えば小さい頃から図書館との縁に恵まれているらしく、生活圏内にいつも図書館がありました。今の自宅からも歩いて7~8分のところにあるので、休みの日には半日ぐらいだらだらと本を読みに行ったりします。
──なるほど。millstonesさんにとって「図書館」はかなり身近なキーワードだったんですね。今作は集大成として、これまでの代表曲が多数収録されていますが、収録曲を選んだ意図はどのようなところにあったのでしょうか?
millstones 今回はデビューアルバムということもあり、1枚で〝millstonesらしさ〟をひと通り押さえられるアルバムにしたかったんです。なので、代表的な曲を網羅しつつ、多様なジャンルが入るように選びました。今までの作品を追ってくれている皆さんから見ても、納得してもらえる選曲になったのではないか、と思っています。
──それもそのまま収録するのではなく、かなりブラッシュアップされていますよね?
millstones やはり既存曲も多く収録される都合上、すでに曲を聴いて知っている方にとってつまらないCDになってしまうのではないか、という懸念はありました。そこで、2013年に改めて1枚の作品として聴く意味のあるアルバムにすることを目標に、古めの曲を中心に、面影を残しつつリアレンジを施したり、ミックスバランスを大きく見直したりしています。オリジナル版の動画と聴き比べて楽しんでもらえたらいいな、と思っています。
──古めの曲というと、5曲目の「計画都市」のオリジナルは2009年に公開されていますよね。そんな4年前の曲から新曲までが1枚のアルバムにまとまるのは、一貫したテーマやコンセプトをもって曲作りをされているからなのでしょうか?
millstones 曲の中身やテーマ、世界観こそ全くのバラバラなのですが、一貫したプロセスで曲作りをしていたので、今回は世界観よりもう一つ上の「図書館」というメタな部分をコンセプトにしたことで、それぞれの曲を上手くリンクさせていくことができたのかなと思います。
millstones - Sekai Catalog / セカイカタログ [Preview]
音に対する考え方が大きく変化した
──普段、どのようなプロセスで楽曲制作をされているのですか?millstones まず、曲の世界観を大まかに決めます。それを反映したアレンジをしていって、最後にメロディと歌詞をすり合わせながら世界観を詰める、という流れで進めていきますね。
──制作過程の中で、特に苦戦する部分はありますか?
millstones 作詞の工程で苦労することが多いです。はじめの段階で練り込みが足りないと、最後の詰めの段階で全部しわ寄せが来てしまうんですよね。ひどい時は最後の1フレーズを埋めるのに、1週間以上足踏みしてしまうこともありました……。
──もう一つ、楽曲制作という点では、これまではお一人での制作が中心だったかと思います。今作でU/M/A/Aからメジャーデビューすることになりましたが、millstonesさんの中で何か変化はありますか?
millstones スタジオでプロの音・技術に触れながらミックスやマスタリングを行ったことで、音に対する考え方が大きく変化したと思います。
──変化、といいますと?
millstones 一言で言うと「基準ができた」ということです。今回はブラッシュアップの一環として、一部の楽曲をエンジニアの方にミックスしていただいたのですが、自分がミックスした音とエンジニアの方がミックスした音を聴き比べたとき、その違いに愕然としました。
でも、自分のやり方で良かった部分と悪かった部分が明確になったので、これからより良い音を作ることが出来るのではないか、と思っています。
ゲームミュージックの耳コピから音楽にのめり込んだ
──音楽を作り始めたきっかけは何だったのですか?millstones 2000年ごろに「クロノ・トリガー」のプレイステーション版をプレイして、劇中曲「風の憧憬」を聴いた時、初めて音楽というものに興味を持ちました。そして、この曲の耳コピをしたんです。これが音楽制作のきっかけであり、私にとっての音楽の原体験です。オリジナルで制作を始めたのはその後で、だいたい2004年頃からだったと思います。
──「風の憧憬」は今聴いても素晴らしい名曲だと思います。ゲームはどんなジャンルがお好きなんですか?
millstones 特に決まったジャンルはありませんね。ただ、プレイ中は常に操作をしていたいタイプなので、インタラクティブ性の高いゲームの方が好きです。極端な例だと、「不思議のダンジョン」系のローグライクゲームや、「シヴィライゼーション」シリーズのような、プレイごとに展開が変わるゲームに没頭していた時期もあります。
──楽曲制作では、これまでプレイしたゲームから影響を受けることもありますか?
millstones そうですね。プレイはもちろん、サウンドトラックを聴いたりするのも好きなのですが、特に、スーパーファミコンからプレイステーション2の時代のゲームからは、音だけでなく曲のバックグラウンドやストーリー作りなど制作全般において、多くの影響を受けていると思います。
ゲーム以外にも、小説や映画などから着想を得ることが多くて、特にファンタジーやSF系の作品で、斬新な世界観が描かれているものからはいい刺激をもらっていますね。
──最近触れた作品の中で、特に印象に残っているものはありますか?
millstones 小説では『ログ・ホライズン』シリーズや『つくもがみ貸します』、何度も読み返している本として『四畳半神話大系』や『涼宮ハルヒの憂鬱』シリーズ、『学校を出よう!』シリーズですね。ゲームであれば、楽曲アレンジで参加させていただいた『セブンスドラゴン2020』シリーズや、『ZONE OF THE ENDERS』シリーズ、『大神』、『Devil May Cry』など。映画だと『TIME/タイム』、『エネミー・オブ・アメリカ』などが印象に残っています。
噛み砕いて、わかりやすい形でアウトプットしていきたい
──「millstones」という名前の由来を教えていただけますか?millstones 上下一対の石臼が小麦から小麦粉を作り出すように、自分の中に取り込んだものを噛み砕いて、わかりやすい形で世の中にアウトプットしていきたい、という思いから、石臼の複数形である「millstones」を名乗ることにしました。……というエピソードを、つい最近考えました(笑)。
──なるほど(笑)。ちなみに、そのアウトプットの方法の一つとしてVOCALOIDを使われていると思うのですが、millstonesさんの場合、初音ミク、巡音ルカ、GUMI、IAといった複数のVOCALOIDをお使いですよね。どのように使い分けているのでしょうか。
millstones 基本的には曲調に合わせ、声質で使い分けています。メインはAppendを含むミク、シャープな声が欲しい場合はGUMI、長音が多くのびやかなメロディの曲はIA、英語の歌詞がある場合はルカを使っています。
──VOCALOIDといえば、二次創作文化を加速させた技術だと思います。現にmillstonesさんのVOCALOID楽曲も、PVが作られたり、「歌ってみた」などの派生動画が多く投稿されていますが、このような二次創作の文化についてどう思いますか?
millstones 元々私もゲームミュージックの耳コピから音楽にのめり込んだ人間で、二次創作の文化を一度通っているんですよね。二次創作は、自分の得意分野で「自分ならどう表現するか」を考えるのがとても楽しいんだと思うんです。特に制作者とユーザーの垣根が低いVOCALOIDのようなコンテンツでは、作品を最大限に楽しむための有効な方法の一つだと思います。 ──『セカイカタログ』がリリースされたばかりですが、新曲の構想はありますか?
millstones 構想を練るのだけは得意なので、実際に作れるかどうかは別として、曲の構想もアルバムの構想もたくさんあります(笑)。
──それは楽しみです! ズバリmillstonesさんにとって、楽曲制作を続けるモチベーションはどこにあるのでしょうか。
millstones 制作する過程での試行錯誤の楽しさや、完成した時の達成感だと思います。あとは仕事の息抜きも兼ねたストレス発散、という部分もあるのかもしれません。
──なかなかお忙しいお仕事だとうかがっていますが、どのように制作活動と仕事を両立させているのでしょうか。
millstones よほど大変な時期でなければ週末にはまとまった時間が取れるので、年中忙しいというわけではないんです。気分転換の方法は人それぞれあると思いますが、私の場合はそれが音楽制作だったというだけで、特別に両立させるための努力をしているということはありません。私より忙しい中で制作をされている方もたくさんいると思いますよ。
これからも触れたことのない音楽や、音楽以外の作品にもどんどん触れていって、もっと表現の幅を広げて行きたいと思っています。
※U/M/A/A公式サイトでは、『セカイカタログ』収録イラストのTwitterアイコンのプレゼントキャンペーンも実施中!
http://www.umaa.net/news/p604.html
(c)U/M/A/A Inc. (c)Crypton Future Media, INC. www.piapro.net (c)INTERNET Co., Ltd. (c)1st PLACE株式会社 | IA PROJECT ※VOCALOIDならびにボーカロイドはヤマハ株式会社の登録商標です。
millstones // ミルストーンズ
VOCALOIDクリエイター
新潟県出身。90年代後半のゲームミュージックに影響を受けて高校生より音楽活動をはじめ、動画サイトの発展とVOCALOIDの登場に伴い2008年よりVOCALOID楽曲の制作を開始。ドラムンベースやダブステップといったダンスミュージックベースのサウンドが持ち味ながら、時には民族音楽調の楽曲も手がけるなど幅広い音楽性を持ち合わせ、作品の世界観にあわせて巧みに組み合わせる。
文:たかはしさとみ
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