ルーツとジャンルを横断した「良質なポップス」の現在地 前田理希×Sean Oshimaインタビュー

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KAI-YOU編集部_音楽・映像部門
ルーツとジャンルを横断した「良質なポップス」の現在地 前田理希×Sean Oshimaインタビュー
ルーツとジャンルを横断した「良質なポップス」の現在地 前田理希×Sean Oshimaインタビュー

前田理希×Sean Oshima

インディペンデント”であること。それは単に「メジャーレーベルに所属していない」状態を指す言葉ではない。

テクノロジーやプラットフォームの発展により、誰もが──たった一人、誰にも頼らずとも、世界中に作品を届けられるようになった今。そこは、自分のやりたいことをひたすらに、自らの意思で選び取る“主体性”があちらこちらに渦巻く世界だ。

TuneCore Japanの企画「MEDIA NETWORK」と連動し、KAI-YOUではこれからのシーンを担う才能をフィーチャーする連載企画を展開中。

「MEDIA NETWORK」

楽曲をリリースしたあと、どうやってプロモーションすればいいのか?

そんなインディペンデントアーティストの課題を解決すべく、誰でも手軽に、自身の楽曲をメディアに“売り込み”できる場を用意した取り組みだ。

今回スポットライトを当てるのは、ボサノバやラテンなどのルーツミュージックを心地よくアコースティックに紡ぐ前田理希さん。

そして、ソウルやジャズなどを横断する「大人向けのポップス」を掲げ、緻密なアレンジメントで独自の世界観を構築するSean Oshimaさんの2名。

自身のルーツと深く向き合い、時代や流行に流されない「良質なポップス」を実直に追求する両者。彼らの制作背景や現代シーンへのリアルな眼差し、そして互いの楽曲から受けたインスピレーションについて紐解いていく。

音楽ジャンルを横断してつくられる“ポップス”

──まずは自己紹介をお願いします。アーティストとしてのコンセプトや志向している音楽性/ジャンルなどについてうかがえれば幸いです。

前田理希 はじめまして、前田理希と申します。

この先どうかは分からないですが、今は水や潮、海などに関わる事象を好んでいて、それと自分の身の周りに関わる些細な事や当たり前の事をリンクさせて楽曲をつくれたらと思っています。

前田理希

前田理希 ポップスに加えてボサノバやブラジル音楽、ラテン、ロック、ソウル、ジャズなど気持ちの良いルーツミュージック達を織り交ぜながら楽曲を考えています。

以前はバンド形態での活動を中心にしていました。ここ数年自分が何がしたいか分からなくなり、どうしようといった感じだったのですが、最近は少しずつやりたい事が明確になって気がします。

つくった好きな音楽で自分自身が10年後も好きになれる音楽をつくれたら幸せだなと思っています。

Sean Oshima シンガーソングライター/作詞/作曲/編曲家のSean Oshima(ショーンオオシマ)です。日本人の母とオーストラリア人の父を両親にもつ1999年生まれの27歳です。

10代のバンド経験を経て、2021年ごろからソロアーティスト「Sean Oshima」としての活動を開始しました。

Sean Oshima

Sean Oshima ソロアーティストとしては「大人向けのポップス」を主としたコンセプトにし、ソウルやジャズ・ゴスペルなどのジャンルを横断しつつ作品づくりをしております。

音楽制作のきっかけは、中学生の頃に親にプレゼントしてもらったMac Bookに入っていた音楽制作ソフト・GarageBandを触りはじめたことです。

──特に影響を受けたアーティストや楽曲について教えてください。

前田理希 特に影響を受けたのはスタイル・カウンシルです。良い曲はたくさんあると思いますが特に「With Everything To Lose」はボッサっぽい感じもあり気持ち良くて好きです。

スタイル・カウンシル「With Everything To Lose」

前田理希 スタイル・カウンシルの前身バンドであるザ・ジャムは、バリバリのロックンロールをしていたのですが、次のグループでこんなにグルーヴィーでソウル、ボサ、ゴスペルなど様々な音楽を都会的にポップに奏でていて。さらに元々のロックンロールな本質も残っていてカッコいいなと思いました。

ロックンロールやロカビリー、60sポップスが好きだったのですが、スタイル・カウンシルの楽曲が様々なルーツミュージックを聴きやすくしてくれたというか、間口を広げてくれた感じがします。

Sean Oshima 国内で特にリスペクトし、好きなのは星野源さんです。特に好きな楽曲は「Star」で、影響を受けた楽曲は「アイデア」です。

星野源「Star」

Sean Oshima 歌詞から垣間見れる源さんの哲学が純粋に好きなのと、こんなに明るくて子供も覚えやすいメロディなのに、アレンジメントがファンクの源流からモダンジャズ、ヒップホップに至るまで幅広い。

いつも実験的なサウンドであることがかっこいいなと思っています。

新しいアルバムが出るたびに、今現在の源さん自身の内側に深く潜っていく冒険のような感覚になるのが面白いです。流行りに一切乗らずに、自分だけの楽しさをとことん追求している姿勢も心からリスペクトしています。

メジャーシーンの面白さと、“寂しさ”とは?

──あなたはどこを「主戦場」として活動していますか? またはどのような環境で制作を行っていますか?

前田理希 1人で楽曲をリリースしはじめたばかりで分からないのですが、SNSは苦手なので楽曲や現地のライブ活動を増やしていけたら嬉しいと思っています。

加えて、レコードが大好きなので自分の楽曲で気持ちの良い音のレコードをつくる事が目標のひとつです。コミュニティとは違うかもしれませんが音楽好きな方に聴いて頂けるよう頑張っていきたいです。

Sean Oshima 基本的にはSNSです。

──なぜ自身の楽曲を音楽ストア(音楽ストリーミングサービス)に配信しようと思ったのでしょうか?また、チューンコアを選んだ理由はありますか?

前田理希 チューンコアを調べた時に、様々なプロモーションについての内容が記載されていたので少しでも自分の曲を知って頂くきっかけになるのではないかと思い選びました。

加えてフジロックのオーディションもチューンコアと共に行っていたのも、いいなと思いました。

前田理希さん

──音楽シーンのメインストリームである「J-POP」やメジャーシーン、そして音楽シーンを取り巻く情報環境などをどう捉えていますか?

前田理希 近年のシティポップ人気もそうですが今は20~30年前の日本の楽曲がいきなりSNSで流行する時代だなと思います。

そしてそんな曲はポップだったり、お洒落だったり、心地良かったり、当たり前の事ですが気持ちいい楽曲は評価されるなと思います。

そのため私も目先に囚われず、ルーツミュージックを取り入れた自分がやりたい気持ちのいい楽曲を着実につくっていけたらと思います。

聴いてもらう努力をしない訳ではありませんがこのネット時代にせっかくいるので、何かの流れで楽曲が聴いてもらえたり、広まったら嬉しく思います。

Sean Oshima いわゆるメジャーシーンが、一昔前のそれとは全く違うものになってきたなと思っています。みんながヒットソングを聴く時代というより、いろいろな派閥みたいなものがガラパゴス的に乱立している時代にハッキリ変わったなと思い、面白いなと感じています。

新しい才能が発見される可能性も高まった気がしますが、その分競争も激しくなっていて、インディペンデントなミュージシャンには「ミュージシャンとしての才能や訓練」以外のもの(SNS運用など)が強く要求されていることは、少し寂しく感じます。

Sean Oshimaさん

Sean Oshima どこまで実際にそういうことが行われているのかが定かではないですが、「最近のA&Rや新人発掘担当者は曲を聞く前にフォロワーでアーティストをフィルターする」という話を聞いたことがあります。

それはすごく理にかなっているなと思いつつも、「みんなでこいつを売ろう!だって俺はこいつが最高だと思うから!」という、文化そのものごと押し上げるようなストーリーが減っていくことは、少し悲しいです。

自分の音楽とメジャーシーンとの距離感は若干感じています。が、音楽家に関係のないもの(過度なSNS運用)を可能な限り削ぎ落として、純粋に音楽の力だけでどこまで認知されるのか、というところにはロマンを感じています。

将来的には「ただ音楽の力だけでビッグになった」という背中を若い子たちに見せることが夢の一つです。

二人が紡ぐ、ポップスに宿る魅力

──今回「メディアネットワーク」に応募された楽曲について、聴きどころやこだわりのポイント、楽曲を通して届けたいメッセージなどを教えてください。

前田理希 今回応募したのは「貝殻」という楽曲です。1人ではじめて楽曲を出しました。唄、ガットギター、ピアニカ、波の音のような簡易なフレームドラム、貝みたいな音がする小物とすごくシンプルでゆったりした楽曲です。

「貝殻」

前田理希 自分が好きなブラジル音楽を聴く時のような哀愁、誰かの心に触れる曲になればいいなと思いつくりました。

海は好きですが詳しくは知りません。でも海の本を読んだり、実際に海に行ったりして落ち着いたり、悩んだり、清々しい気持ちになったり、海で感じたことを歌いたい書きたいと思い、それが伝わるようなメロディを紡いでいけたらと思っています。

海から見ると自分がちっぽけな事、貝殻を見つめても何も変わらない事、それはそうなのですが、自分が感じた事を大切に伝えたいです。

Sean Oshima 「運命 (愚かな希望)」は何度傷ついたり失ったりしても懲りずに恋に落ちる人間のかわいらしさ(愚かさ)を、人類にとっての「希望」だと解釈したエモーショナルなデュエットナンバーです。


「運命(愚かな希望)feat. 朝海よな」

時間と共に壮大になっていくアレンジメントと、デュエット相手の朝海よなさんの心を掴む歌声に注目して欲しいです。

「運命 (愚かな希望)」が収録されたアルバム『対旋律たちの旅』

──お互いの楽曲を聴いてみて、どのように感じましたか?

前田理希 Sean Oshimaさんの宝箱のようなポップス、すごく気持ち良かったです。

ソウル、R&Bっぽさも勿論ですが様々なバックにあるルーツミュージックを自身の解釈て全く新しいポップスに変えられていて素晴らしかったです。

何より聴いてもらうための工夫が歌、メロディ、リズム、展開に詰まっていて「運命 (愚かな希望)」が収録されてるアルバム『対旋律たちの旅』のアルバム順で聴いた時、たまらない気持ちになりました。

自分はDTMやパソコンを触る事が苦手で実際弾いてみてやったりする事がほとんどです。Sean Oshimaさんの細部まで作り込まれた楽曲を聴くと、私も広い視野で様々な音楽的アプローチできるように考えれたらなと思いました。

Sean Oshima アレンジメントからエンジニアリングまで、ご自身でなされているのかな?すごいな、とまず純粋に思いました。

そして鍵盤ハーモニカを使った楽曲が自分のアルバムにあるので「いいよね、いいよね」と。
コードワークも美しく、バックボーンが個人的に気になります。


音像と録音方法から、おそらく「ベッドルームポップス」ときっとラベリングされるのが予想されますが、研ぎ澄まされた詩とメロディ/高偏差値な楽典的要素がそうさせない。

至極の一曲だと感じました。素晴らしかったです。

インディペンデントアーティストがプロモーションのチャンスをつくる「MEDIA NETWORK」

Apple Music、Spotify、YouTube Musicをはじめとする世界中の音楽ストリーミングプラットフォームへ、誰もが自分の楽曲を配信できるディストリビューションサービス・TuneCore Japan。

自由でインディペンデントな音楽活動を強力にサポートする同サービスから、これからのシーンを担う才能をフィーチャーする新たなプロジェクト「MEDIA NETWORK」が発足した。

楽曲をリリースしたあと、どうやってプロモーションすればいいのか?

そんな多くのインディペンデントアーティストが直面する課題を解決すべく、TuneCore Japanが主要音楽メディアやラジオと連携。誰でも手軽に、自身の楽曲をメディアに“売り込み”できる場を用意。

応募資格に、レーベル所属の有無や年齢、性別、演奏スタイル、個人・グループといった制限は一切ない。あらゆるジャンルのアーティストに門戸が開かれている

対象となるのは、2026年7月1日以降に配信手続きが開始されたリリース楽曲。応募受付は12月13日(金)23時59分までとなっている。

自らの音楽を、より広い世界へ届けるチャンス。ぜひ、あなたの自信の一曲を応募してほしい。

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