現場と自宅、日本のR&B/ネオソウルの現在地 aimi×SUKISHAインタビュー

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タナカハルカ
現場と自宅、日本のR&B/ネオソウルの現在地 aimi×SUKISHAインタビュー
現場と自宅、日本のR&B/ネオソウルの現在地 aimi×SUKISHAインタビュー

aimi × SUKISHA

“インディペンデント”であること。それは単に「メジャーレーベルに所属していない」状態を指す言葉ではない。

テクノロジーやプラットフォームの発展により、誰もが──たった一人、誰にも頼らずとも──世界中に作品を届けられるようになった今。そこは、自分のやりたいことをひたすらに、自らの意思で選び取る“主体性”があちらこちらに渦巻く世界だ。

TuneCore Japanの企画「MEDIA NETWORK」と連動し、KAI-YOUではこれからのシーンを担う才能をフィーチャーする連載企画を展開中。

「MEDIA NETWORK」

「楽曲をリリースしたあと、どうやってプロモーションすればいいのか?」

そんなインディペンデントアーティストの課題を解決すべく、誰でも手軽に、自身の楽曲をメディアに“売り込み”できる場を用意した取り組みだ。

現代の音楽シーンにおいて、R&Bやネオソウルといったジャンルを独自の解釈でアップデートし続けるインディペンデントアーティストたち。

今回スポットライトを当てるのは、90's〜00年代のR&Bをルーツに現行サウンドへの昇華を目指し、シーンのコミュニティ拡大にも尽力するaimiさん。そして、ネオソウルやR&B、ファンクなどに影響を受けながら、自宅を主戦場にDTMサウンドを生み出し続けるSUKISHAさんの二人。

自身のルーツや制作環境、現代の音楽シーンへの視点、そして互いの楽曲について語ってもらった。

ネオソウルやR&B、ファンク──二人の音楽ルーツとは

──まずは自己紹介をお願いします。アーティストとしてのコンセプトや志向している音楽性/ジャンルなどについてうかがえれば幸いです。

aimi R&Bシンガー・ソングライターのaimiです。サウンド面では90's〜00年代のR&Bをルーツにしながら、現行のR&Bサウンドへ昇華していくことを大切にしています。

アーティスト活動と並行して、キュレーションプロジェクト「R&B Lovers Club」を仲間のライターやダンサーと立ち上げました。ポッドキャストやラジオ、J-R&Bコンピレーションアルバムの監修なども行っています。

日本のR&Bが国内でより注目され、盛り上がっていってほしいという想いからはじめた活動で、地道にではありますが仲間を増やしながら取り組んでいます。

aimiさん

SUKISHA SUKISHAという名前で音楽活動をしています。パソコンを使った、いわゆるDTMで音楽をつくっています。

好きなのはネオソウルやR&B、ファンクなど。元々楽器が入り口になって音楽をはじめた人間なので、なんだかんだで人が演奏している音楽が好きです。

音楽制作のきっかけは自分の存在を証明するものが欲しかったからです。昔からなぜか音楽は出来たので自然に音楽をつくるようになりました!

SUKISHAさん

──特に影響を受けたアーティストや楽曲について教えてください。

aimi 2020年にデビューした頃によく聴いていたのは、Jhené Aiko、Victoria Monét、Kehlani、UMI、H.E.R.、Summer Walker、Ari Lennoxといった、オルタナティブR&BやソウルフルなR&Bのアーティストです。

アルバム単位でよく聴いているのは、Jhené Aikoの『Chilombo』、Victoria Monétの『JAGUAR II』、Muni Longの『Revenge』、Kehlaniの『Kehlani』など。

同じ女性アーティストのR&B作品でも、それぞれの哲学やライフスタイル、人柄、影響を受けている時代の音楽性が色濃く反映されている点に魅力を感じます。サウンドもボーカルも極上で、アルバムとしての完成度の高さに刺激を受けていますね。

R&Bは単曲やEPでも楽しめますが、アルバムを通して聴くことでより深く浸透していくジャンルだと思っていて。自分も長く愛されるアルバムをつくることが今の目標で、どんな作品にしようかここ数年ずっと考え続けています(笑)。

SUKISHA 元々J-POPや邦楽ロックしか聴いてなかった若かりし頃の自分に強烈な影響を与えたのは、世代もありますがやっぱりD'angeloやThe RH Factorだったかなと思います。

ジャズ、ヒップホップ、R&Bの要素を一流の技術でまとめ上げているところをすごくリスペクトしています。

全国に広がっていくR&Bコミュニティ

──あなたはどこを「主戦場」として活動していますか? またはどのような環境で制作を行っていますか?

aimi 最近は他ジャンルのアーティストの方と共演する機会も増えてきましたが、デビュー当時から出演しているのはR&Bパーティーです。

ここ数年は東京だけでなく全国各地でR&Bパーティーが増えていて、ライブハウスやクラブ、DJラウンジ、野外スペースなど、さまざまな場所で歌わせていただいています。

R&Bは大型のフェスやイベントが少ない分、シーンとしてはあまり可視化されていない部分もありますが、各地に熱量の高いコミュニティがあると感じています。

実際に「R&B Lovers Club」の活動を通しても、R&B好きな方が全国に点在していることを実感していますし、ロゴTシャツの発送先も北海道から九州まで幅広いです。

そういった意味でも、現場だけでなくオンライン上でのコミュニティを育てていくことや、海外のコミュニティともリンクしていくことがより重要になってくるのではないかと感じています。

「R&B Lovers Club」のTシャツ

SUKISHA 今年に入ってからは特にですが、ネットを使ってひたすらつくった音楽を配信するのが結局自分には向いてるのかなと感じます。自分は陽キャのつもりだったんですが、ある日に本物の陽キャと話すきっかけがあり、「あ、俺って陰キャだったんだ」と気付きました。

今年は2週に1曲リリースを続けていますが、人と会わず制作を続けることもそれほど苦ではないです。むしろ人と会って社交性を求められるとすごく疲れることを改めて実感したんです。

人のことは好きですしコミュニケーションも好きですが、結局自宅からの音楽配信が自分にとっては主戦場ですね。

──なぜ自身の楽曲を音楽ストア(音楽ストリーミングサービス)に配信しようと思ったのでしょうか?また、TuneCore Japanを選んだ理由はありますか?

aimi コロナ禍で、当時の活動の主軸だった主催イベントがストップしたことがきっかけでした。音楽を続けられないと感じて、それならいっそのこと、自分が本当に好きな音楽をつくって配信してみようと思い、プロデューサーのShingo.Sとタッグを組んで活動をスタートしました。

チューンコアはインディペンデントアーティストのための取り組みを数多く行っていて、今の自分の活動に一番フィットしていると感じています。

今年はチューンコア主催の「INDEPENDENT ARTIST 100」への選出や、沖縄で開催されたMusic Lane Festivalへの出演などの機会もいただき、周囲からの反響もありました。

昨年の下半期は毎月リリースをしていたのですが、楽曲データの納品は地味に大変で……。チューンコアはインターフェイスが直感的で、納品からリリースまでの期間も短いので、制作からリリースまでをすべて自分で行っているアーティストにとって、とても使いやすいサービスだと思います。

SUKISHA 最初はそれしか選択肢がなかったからです。誰も手伝ってくれる人がいなかったので配信しようとすると、当時日本にディストリビューターはチューンコアしかなかったと記憶しています。

あとは権利を自分で100%持てるというのが魅力的でした。今では多くの事務所/レーベルが配信に対応したので「権利を100%持てるから」という理由で他の人に強く勧めようとはそこまで思いませんが、結果的には自分は今のやり方で良かったなと思っています。

「SNSやリアルな現場でリスナーとオーガニックに繋がっていく在り方を大切にしていきたい」

──音楽シーンのメインストリームである「J-POP」やメジャーシーン、そして音楽シーンを取り巻く情報環境などをどう捉えていますか?

aimi メジャー/インディーに関わらず、リスナーがその時に求めている音楽がよりダイレクトに広がっていると感じています。メジャー/インディーの区分も以前ほど意味を持たなくなってきていて、音楽は“マス”ではなく、より“個人”に届くものになっている印象です。

SNS時代になり、リスナーのコメントやシェアが広がりの起点になっているのも大きいと思います。

そうした流れがある一方で、文筆家のつやちゃんがポッドキャスト(「Detox Lounge presented by R&B Lovers Club」)で話していて印象的だったのは、「今はライブでかませる人が強い」という視点でした。

オンラインでコンテンツが飽和しているからこそ、オフラインのリアルな体験に価値を感じる人が増えているのかもしれません。ライブの現場でちゃんと届く人が広がっていくのは健全だと感じますね。

自分自身も大きなプロモーションに頼るというより、SNSやリアルな現場でリスナーとオーガニックに繋がっていく在り方を大切にしていきたいです。

SUKISHA 大前提として今の時代、ちゃんとメジャーシーンのど真ん中で良い音楽がつくられていて素晴らしいなと思います。

周りにもメジャーを経て予算やメディアとの繋がりを最大限に活かして努力して大きくなっていく知り合いがいて、素直にうらやましいし、すごいなと思います。

ただやっぱりちょっとどうなんだろうな〜と思うのは、メジャーでやれる人って「わかりやすい数字をわかりやすい場所で出した人「中の人に気に入られた人」のどちらかしかなくて、それって音楽の問題じゃないような……となってしまったりはします。大きな会社には大きな会社の論理があると思うので、間違ってるとまでは思わない個人の感想レベルの話です!

──今回「メディアネットワーク」に応募された楽曲について、聴きどころやこだわりのポイント、楽曲を通して届けたいメッセージなどを教えてください。

aimi 今回応募した「Make A Hit」は、Muni Longの「Hrs & Hrs」やKehlaniの「Folded」など、近年オーセンティックなスロージャムが注目されている流れの中で、そういった楽曲をつくってみたいという想いから生まれた曲です。

私とあなたとならヒットだって作れる”という、恋の始まりの高揚感を描いています。

「Make A Hit」

aimi 全英詞なのですが、Blackstreetの「Good Lovin'」とFloetryの「Say Yes」を歌詞の中に織り交ぜています。サウンド面では、90’sのクワイエット・ストームR&Bにインスパイアされた、サンプリングライクな質感に仕上げました。

日本ではスロージャムで大合唱する文化はまだ一般的ではないですが、いつか一節でもオーディエンスと一緒に歌える瞬間をつくれたら嬉しいです!

SUKISHA 「Twilight Distance」は最近のネオソウルのふわふわした感じと、これでもかと弾き倒したベースがポイントです。あとはプライベートで色々あった時期のリアルな哀愁が漂う歌詞に説得力があっていいなと思います。

粘土の人形になっても涙は出る。いかにも人間らしい曲になってるなあと感じます!

「Twilight Distance」

──お互いの楽曲を聴いてみて、どのように感じましたか?

aimi SUKISHAさんは、ご自身でプロデュースもソングライティングもエンジニアリングもされている印象で、マルチな才能には感服です。

どこにも所属せずに自力で音楽で稼げるということを証明してきた方ですよね。そういった発信に勇気づけられたインディペンデントアーティストも多いと思います。

「Twilight Distance」は、歌うようなベースが渋くて、グルーヴが気持ちいいですね。音楽と恋愛を重ねて描いた楽曲ということですが、<ああもう無理だって/一体何度思って/やっぱり好きだなんて/あと何回思うの>というリリックは刺さりすぎて辛いです(笑)。

以前からハイペースに作品を発表されている印象で、ストイックにつくり続けられる方だと思っていたのですが、その一節にはどこか共鳴するものを感じて、勝手ながら親近感が湧きました。

SUKISHA 歌が魅力的だなと思いました!

自分は元々J-POP育ちでどうしてもそういう歌い方になってしまうので、海外R&Bに影響を受けた歌い方をする人たちみんなすごいなーどういう発声してるんだろうと畏敬の念を感じています。

歌以外の音楽性はやや差はあれど近しいものがあると思うんですが、聴こえ方が違ってくるのはやっぱり歌や声質が大きいと思います。

そこに注力して聴いてみるとまた聴こえ方が変わってきて楽しいかもしれません!

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