“インディペンデント”であること。それは単に「メジャーレーベルに所属していない」状態を指す言葉ではない。
テクノロジーやプラットフォームの発展により、誰もが──たった一人、誰にも頼らずとも──世界中に作品を届けられるようになった今。そこは、自分のやりたいことをひたすらに、自らの意思で選び取る“主体性”があちらこちらに渦巻く世界が広がっている。
今回、国内最大の音楽配信流通サービス・TuneCore Japanの企画「MEDIA NETWORK」と連動して、これからのシーンを担う才能をフィーチャーする連載が始動する。
「MEDIA NETWORK」
記念すべき第1回でスポットライトを当てるのは、東京のアンダーグラウンド・アイドルシーン(いわゆる地下アイドル)で注目を集めるアイドルグループ・キュニコのプロデューサー・佐々木喫茶さんと、同じくAFTERSのプロデューサー・ヨロコビさん。
アイドルへの楽曲提供を続け、10年以上のキャリアを持ちながら「あくまで最終判断が自分である音楽」を求めて新グループ・キュニコを立ち上げた佐々木喫茶さん。一方、「未完成で矛盾した感情の肯定」を掲げ、ライブハウスという“現場”でその瞬間の熱を刻み続けるAFTERSのヨロコビさん。
インタビューでは、それぞれのルーツや、応募楽曲であるキュニコ「テレビジョン」、AFTERS「FUTURE MASI MASSIVE」について深掘り。さらに互いの楽曲を試聴し、プロデューサー視点でリスペクトや「武器」について語り合ってもらった。
二人の言葉から、地下アイドルシーンで起きている熱狂の正体をここで探る。
目次
多様な音楽ジャンルが渦巻く、地下アイドルシーン
──まずは自己紹介をお願いします。アイドルのコンセプトや志向している音楽性・ジャンルについても教えてください。
佐々木喫茶 自分は10年以上アイドルに楽曲提供をさせていただいているのですが、「もっとストレートに自分のやりたい音楽、聴きたい音楽、あくまで最終判断が自分である音楽を歌ってパフォーマンスするグループをつくりたい!」と思い、キュニコを始動しました。
キュニコ/1月26日にデビューしたばかりの5人組アイドル
佐々木喫茶 音楽ジャンルはいわゆる「テクノポップ」です。一般的には「ピコピコしている音楽」という印象があるかもしれませんが、僕はこれを「キュートでクレイジーな音楽」だと思っています。
ヨロコビ AFTERSは「CAKES, ALE, AFTERS」をコンセプトに掲げ、ロック、オルタナティブ、ラップなど多様なジャンルの音楽性と、食べ物をモチーフにしたユニークな歌詞、J-POP的なメロディや言葉の強度を融合させて表現するアイドルグループです。
AFTERS/2023年6月デビューの6人組アイドル
ヨロコビ 「正しさ」や「理想像」を押し付けるのではなく、未完成で矛盾した感情そのものを肯定すること。その瞬間にしか鳴らせない温度を、ライブと楽曲を通して刻み続けることを活動の軸にしています。
──影響を受けたアーティスト/楽曲について教えてください。
佐々木喫茶 僕は80年代に幼少期を過ごしたんですけど、その時にテレビから流れてきたヒットソングは未だにキョーレツに印象に残っています。今つくってる音楽も、別に80年代リバイバルを意識しているのではなく、自然と出てくる感覚です。
中でもとんねるず(石橋貴明さんと木梨憲武さんによる日本のお笑いコンビ・ボーカルデュオ)がすごい好きで、本職じゃない人が歌う歌にすごく魅力を感じるんです。歌唱力とかじゃないパワー……なんて言うんですかね、存在感というか。本人が歌ってないとちょっと違うと思える曲が大好きです!
ヨロコビ 特定のアーティストに強く依拠するというよりも、アイドルの持つ表現姿勢そのものや、1990〜2000年代のオルタナティブ/ハードコアといった“感情を剥き出しにする音楽”から大きな影響を受けています。
完成度や整合性よりも、衝動やその瞬間に鳴らす必然性を優先すること。歌唱力の巧拙ではなく、“現場”で立ち上がる熱量や空気が伝わるかどうかをライブパフォーマンスでは重視してきました。そうした価値観が、AFTERSの表現の根幹にあります。
「今の時代って何かに依存しないで生きていくのってすごい難しい」
──普段どこをグループの「主戦場」として活動していますか?
ヨロコビ 主戦場は渋谷・新宿を中心としたライブハウスです。いわゆる“楽曲派”と呼ばれるアイドルシーンを軸に活動してきました。
アイドルでありながらライブ表現にすべてを賭けているグループや、楽曲派という枠組みとは異なりつつも、同じ事務所の先輩にあたるSITUASION(シチュアシオン)などと、日々切磋琢磨しています。最終的に信頼関係が生まれるのは、同じ空間で音を浴び、体験を共有した記憶だと考えています。
佐々木喫茶 自分自身は今、全然ライブ活動をしていないのですが、キュニコもデビューしましたし、今後いろんな現場に行ってみたいですね。
今回ご紹介いただいたAFTERSさんも、実は存じ上げなかったんですが……聴いてみたらめちゃくちゃカッコイイ!と思いました。こうやって知らないアーティストさんに出会えるのはすごく楽しみですね。
個人的には曲の共作ってすごく苦手で避けてきたところもあるんですが、新しい挑戦もしたいなーとは常々思っております。
──今回「MEDIA NETWORK」に応募された楽曲「テレビジョン」「FUTURE MASI MASSIVE」について、それぞれ聴きどころやこだわりのポイント、楽曲を通して届けたいメッセージなどを教えてください。
佐々木喫茶 今の時代って何かに依存しないで生きていくのってすごい難しいと思うんですよ。依存って割と悪い意味で捉えられることが多くて、「依存を断ち切ろう!」ってなりがちなんですが、これだけ情報が溢れてたらそんなの無理ですし。
佐々木喫茶 なので、自分の依存との向き合い方と言うか、「私、依存してるよー」って、肯定も否定もしない感じが今っぽいのかなと。
って説明するとメッセージソングみたいですけど、基本的に自分の曲は「こう感じて欲しい!」とかは無くて。気がついたら口ずさんでるような、頭のすみっこにいるような曲であってほしいと思ってます!
あと、Cメロの<謝ってほしく〜>からのコード進行は、自分史上でも相当気に入ってます。
ヨロコビ 今回応募した楽曲「FUTURE MASI MASSIVE」は、AFTERS初のツアー「MASI MASSIVE TOUR」の幕開けを飾る一曲です。
構成自体はこれリリースしてきた楽曲よりシンプルですが、その分、歌詞の情報量と熱量は“MASIMASI”。
ヨロコビ <もやしBOY>や<FUTURE丼>といった軽やかな言葉の裏に、停滞や焦燥、それでも前に進もうとする衝動を詰め込みました。笑えて、叫べて、身体ごと未来に踏み出せる——ライブで完成する楽曲だと考えています。
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