イーロン・マスクさんが、自身の設立したAI企業・xAIの映像生成機能「Grok Imagine」を使用し、叙事詩『オデュッセイア』を原作とする長編映画を制作すると表明した。
イーロン・マスクさんは7月22日、Xへの投稿で「2026年が終わるまでに、Grok Imagineは、歴史的に正確で、ホメロスの芸術に忠実な『オデュッセイア』の長編映画を制作する」とコメント。
Grok Imagineで生成された、オデュッセウスを描いた約3分間の映像を引用するかたちで、年内の完成を予告した。現時点で監督や脚本、制作体制、公開方法などの詳細は明らかになっていない。
xAIの映像生成AI「Grok Imagine」
Grok Imagineは、テキストや静止画から映像と音声を生成できるxAIの生成AIモデル。6月には動きや物理表現、音声生成などを改善した「Grok Imagine Video 1.5」も公開されている。
現在、生成される映像の長さは、1回につき最大15秒。長編映画の制作には、短いクリップを連結しながら、登場人物の外見や演技、物語の一貫性を維持する工程が必要になるとみられる。
イーロン・マスクさんが予告した作品が、どのような制作手法やスタッフによって完成するのかは不明だ。
ノーラン版『オデュッセイア』への批判を続けるイーロン・マスク
今回の発言の背景には、クリストファー・ノーラン監督による映画『オデュッセイア』を巡る論争がある。
クリストファー・ノーラン監督版は、映画史上はじめて全編をIMAXフィルムカメラで撮影した超大作。オデュッセウス役をマット・デイモンさんがつとめ、トム・ホランドさん、アン・ハサウェイさん、ゼンデイヤさん、ロバート・パティンソンさん、ルピタ・ニョンゴさん、エリオット・ペイジさんらが出演している。
クリストファー・ノーラン監督版映画『オデュッセイア』/画像は公式Xより
海外では7月17日に公開され、初週末の世界興行収入は2億6,406万ドル(日本円で427億円 ※Box Office Mojo調べ ※1ドル162円換算 7月20日現在)を記録。世界興行ランキングで首位に立ち、クリストファー・ノーラン監督作品として過去最大の世界オープニングを記録する好調なスタートを切った。
イーロン・マスクさんは公開以前から、キャスティングを取り上げ、クリストファー・ノーラン監督が「誠実さを失った」などと批判してきた。
これに対し、『ドクター・ストレンジ』などで知られる映画監督のスコット・デリクソンさんは、イーロン・マスクさんについて「映画について何もわかっていない」「彼の芸術についての意見には価値がない」とX上で反発。その数時間後、マスクさんはGrok Imagineによる映画制作を表明した。
生成AIで相次ぐ『オデュッセイア』映画
クリストファー・ノーラン監督版の公開を前後して、生成AIを利用した『オデュッセイア』の映画企画はほかにも登場している。
イラン出身のアーティスト/映像作家であるアッシュ・クーシャさんは、生成AIを用いた上映時間135分の長編映画『Odysseus: The Fall』を制作。
アッシュ・クーシャさんは同作について、クリストファー・ノーラン監督の映画と競合するものではないと説明。「クリストファー・ノーラン版は物理的な映画製作の究極であり、私たちが目指しているのはAI映画製作の究極です」と語った。
神話や怪物、海戦、変身といった生成AI向きの題材を多数含む『オデュッセイア』。古代から語り継がれてきた叙事詩は、実写映画と生成AIが挑むベンチマークになりつつあるようだ。
クリストファー・ノーラン監督版『オデュッセイア』は、日本では9月11日(金)に劇場公開される。
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