小学館の漫画アプリ「マンガワン」編集部によるYouTubeチャンネル「ウラ漫」から、300本以上の動画が非公開となった。
チャンネルの映像制作を担当する株式会社sync creative managementの代表・行澤風人さんは2月27日、自身のXを更新。「ウラ漫」として制作した全動画を非公開にしたと説明し、「配信再開の予定はございません」と報告した。
一連の対応には、同日に小学館「マンガワン」編集部が発表した内容が関係している。編集部はこの日、漫画家の山本章一氏に逮捕歴があると知りながら、別名義で他の漫画の原作者として起用していたことなど発表した。
なお「マンガワン」編集部の発表前から、SNS上ではここ数日にわたり、山本章一氏の逮捕理由になったという性加害やそれらを巡る担当編集の対応などが物議を醸していた。編集部からの発表後があった現在も、連載作家陣から対応や説明が不十分とする声が上がっている。
編集者や漫画家の裏側を届けるドキュメンタリーチャンネル「ウラ漫」
「ウラ漫」こと「ウラ漫 ー漫画の裏側密着ー【小学館マンガワン】」は、小学館「マンガワン」編集部のYouTubeチャンネル。チャンネル自体は2017年から運営されており、当初は漫画のPVなどの動画が中心だった。
2024年から「ウラ漫」として名前もリニューアルし、チャンネルの方針を転換。「マンガワン」編集部に所属する編集者や漫画家に密着するなど、従来は見ることができない裏側を伝えるドキュメンタリーとして好評を博してきた。
動画の制作は、「PRODUCE 101 JAPAN」「ROLAND SHOW」などドキュメンタリー番組の制作を手がけるSync Creative Management社が担当。
「ウラ漫」として1本目の動画を投稿してからちょうど1年後である2025年1月24日には、チャンネル登録者数10万人を達成。現在は15.4万人を有し、漫画編集部のYouTubeチャンネルの中でも高い人気を集めている。
被害者を最優先に考えて非公開に 364本あった動画は44本に減少
しかし今回、前述した一連の事象を受けて全動画が非公開に。直前まで364本あった動画は、44本まで減少。「ウラ漫」以前の動画が残されている状態だ。
行澤風人さんはXへの投稿で、「編集部全体を撮影するドキュメンタリーという映像の性質上、被害に遭われた方の心情を最優先に考え、ウラ漫として制作した全ての動画を先ほど非公開とさせていただきました」と報告。
動画が非公開になる前の「ウラ漫」。動画は364本/画像はウェイバックマシンによるアーカイブより
多くの動画が非公開となった「ウラ漫」。動画の本数は44本に/画像はYouTubeより
そして、配信再開の予定はないと伝えつつ、「該当事件や作品・作者情報について知らずに制作業務を行なっていたとはいえ、本チャンネルの存在が被害に遭われた方を苦しめていたことを、重く受け止めております」と綴り謝罪した。
さらに、視聴者に加え、過去出演した作家陣に対しても「貴重なお時間と覚悟を頂いたにも関わらず、このような形でご迷惑をおかけしてしまい申し訳ございません」と謝罪の言葉を重ねている。
報道を受け性加害疑惑や口止め疑惑が紛糾 編集部の声明へ
動画が非公開の要因となった今回の一件。
ことの発端となったのは、Webメディア「弁護士ドットコム」が2月20日に報じた「教え子に「おしおき」称する性行為、元高校講師の男性に1100万円の賠償命令 札幌地裁」という記事だ(外部リンク)。
SNS上では、この記事を引用する形で、男性が漫画『堕天作戦』の作者・山本章一氏であるという真偽不明の情報が拡散。
与えた性被害の内容や、被害者との民事訴訟における和解協議に「マンガワン」の編集者が参加し、本件を公言しないことなどを含んだ公正証書の作成を提案していたという情報も広まっていた。
そうした中で、「マンガワン」連載作家からもSNS上で疑問の声が上がり、2月27日の「マンガワン」編集部としての声明に至っている。
「マンガワン」編集部名義での発表/画像は公式サイトより
「マンガワン」編集部の発表や対応に、連載する漫画家からも批判
声明発表後、SNS上では「マンガワン」で連載中の漫画家や小学館とやり取りのある作家/関係者などから批判が続出。小学館や編集部の対応や発表内容が不十分とする声や、被害者や読者に対して本件を知らずに自身が作品を発表していたことを謝罪する内容もあった。
なお、「マンガワン」編集部の声明では、山本章一氏が逮捕されていたこと、その事実を知りながら漫画『常人仮面』の原作者に別名義(一路一)で起用していたこと、編集者が被害者との和解協議に参加していたことなどを認め、『常人仮面』の配信/出荷停止を報告している。
ただ、発端となった記事で報道された人物が山本章一氏であるか否かについては、その文面からだけでは判断できない内容となっている。
一般的な「マンガワン」読者や作家のファンからは非常にわかりづらく、“察する”しかないような状況と言えるだろう。
作家側からも今回の発表内容には非難の声が上がっており、中には自身の作品の「マンガワン」での配信停止を検討あるいは申し入れたという作家もいる。小学館と「マンガワン」編集部や小学館に対しては、被害者への配慮を徹底した上で、再度説明が求められる状況となっている。
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