シーンの喧騒とは距離感を保ちつつ誠意をもって自分の思う制作をただただ楽しむ
──音楽シーンのメインストリームである「J-POP」やメジャーシーン、そして音楽シーンを取り巻く情報環境などをどう捉えていますか?
nanase 情報が広く開かれているという意味で、非常にフラットな環境だと感じています。あまりインディー/メジャーの区別が無い様に感じるというのが正しいかもしれません。
しかし、つくり手側からすると区別や壁は確実にあると思っています。例えば広告予算とか。だからこそメジャーシーンを狙うことを頭に入れて活動していきたいと思っています。
ひるがえって、情報的に広く開かれているからこそ、誰であってもメジャーシーンを狙えるというのがこの時代の面白さかなと思い、同時にそこが難しさでもあるとは感じています。
誰でも音楽をつくることができてメジャーシーンを目指せる時代。あらゆる音楽が溢れていているからこそ「聴かせる理由=独自のトーン&マナー」が必要なのかなと考えています。
yi テレビとネットの勢力図が拮抗し、メインストリームとサブストリームが境界線をなくして溶け合ってきています。そのため、メインストリームの音楽にも、双方のテイストが混ざり合った作品が増えてきました。
インディペンデントであっても、スタンスやきっかけ次第でメジャーのように売り出せたり、新規層に届きやすくなっているのは、とても面白くて良い時代だなと思います。
一方で自然な結果として、メディア/アーティスト/リスナーそれぞれで、モノが溢れていろんな調整がうまくいかなくなるケースが増えてきている印象があります。
自分自身がジャンルレスな制作方針だからこそ、性質的に特に注意が必要なシーンに対するリスペクトが放棄されているような場面をメインストリームで見ると気にはなります。
リスナーに関しても多様な審美基準や価値観が顕在化してきていて、時に厳しすぎるような意見も目にすることがあります。
ただ結局は心にくるかどうかはシチュエーションや楽しむ側の感じ取ろうとする姿勢が決めるものなので、シーンの喧騒とは適度な距離感を保ちつつ誠意をもって自分の思う制作をただただ楽しむ、というところに落ち着いています。
それぞれが持つ音楽のテーマ
──今回「MEDIA NETWORK」に応募された楽曲「幸福論」「Walker by the shore」について、それぞれ聴きどころやこだわりのポイント、楽曲を通して届けたいメッセージなどを教えてください。
nanase 「大人になりたくね〜〜!!汚いもんな!!大人って!!」という気持ちで楽曲を作っています。
「幸福論」が収録された四季に栞『次の季節に触れたら』
nanase 僕は割と自分の中の汚いものをどうにか美しく整形して……という音楽の作り方をするんですけど、その感情に対して共感してほしいとは全く思っていなくて。
聴いてくれた人が各々好きな部分を見つけて、好きに飛ばしながら聴いて貰えたらと思います。その上で少しでも共感できるような歌詞だったり、好きな音楽/世界観になってたらとても嬉しいです。
音色選びや音の配置には特にこだわっていて、つくりたい情景や感情が伝わる様な音選びや配置になっている……と信じています。メロディも覚えやすさや口ずさみやすさはかなり気にしています。結局歌モノの音楽はメロディが一番の主役ですからね。
yi 「Walker by the shore(邦題:波打ち際を歩く者)」という楽曲は、曲名の通り使っている音や曲の舞台が海のイメージと調和するものです。特に砂浜だったりどこか自然の中を歩いたりする時にシンプルにゆったり聴ける楽曲にはなっているのかなと思います。
yi「Walker by the shore」
yi この楽曲には「境界線」というテーマがあります。生前/死後、過去/未来、現実/夢、この世界線/他の世界線 など、人が各々内に持っている色んな境界線にフィットする事と、人がその間で時間を歩む感覚を表現しようと制作した側面があります。
色んな境界線で揺れ動いたり、その繰り返しの中で一種の諦念みたいなものを抱いている時の、人間の内省の生々しい温度感をリスナーの方々が感じてくれる事があれば嬉しいです。
その時には、私自身もこの曲がちゃんとリアルな立ち位置にあるという事を感じられる気がしています。
──本記事で共に紹介されるアーティストの応募楽曲を聴いて、どのように感じましたか? 自分と共鳴する部分や、逆に自分にはない武器だと感じた点など、クリエイター同士の視点から見た印象を教えてください。
nanase もちろん良い意味で、音楽をつくる上での発想が自分とは全く異なるのだろうなというのが第一印象です。僕はどうしてもバンドアンサンブルありきで考えてしまう節があるので。FX的に背景に音を入れたりして、情景を強烈に想起させるような手法は目から鱗でした。
音選びも含めてですが、聴いている間ずっと頭の中に景色があるんですよ。その上で、ブレイクでしっかり現実に引き戻されるという面白さもある。儚い歌詞と音像/アレンジの整合性がしっかり取れていて凄いと思います。
あと英詞なのも良いですよね。この曲は英詞じゃないとダメな気がする。僕は英語が苦手なので、日本語以外の言語で音楽を作れるのが素直に羨ましいです(笑)。
yi とても作り込みの美しい作品だと感じました。感情的な歌詞に見えつつも表現の妙や言葉の選び方に奥行きがあったり、演奏もそれを裏付けるような展開の多様さがあって、その重なりをもって曲が伝わってくる感じが魅力的でした。
内省を取り出して形にする過程に共通点を感じつつも、四季に栞さんは表現力を担保しながら爽快で真っ直ぐなワードも使って制作されていて、それでいて全然軽く聴こえない凄さがあり学びになりました。すでにいくつか他の楽曲も楽しんで聴きました。
インディペンデントの制作者同士って、何かきっかけが無ければどうしても作品を知れる機会というものが少なくなってしまうものだと思います。今回このような場を頂いて素敵な楽曲とアーティストを知ることができ嬉しく思っています。
インディペンデントアーティストがプロモーションのチャンスをつくる「MEDIA NETWORK」
TuneCore Japanの新たなプロジェクト「MEDIA NETWORK」。
「楽曲をリリースしたあと、どうやってプロモーションすればいいのか?」
そんな多くのインディペンデントアーティストが直面する課題を解決すべく、TuneCore Japanが主要音楽メディアやラジオと連携。誰でも手軽に、自身の楽曲をメディアに“売り込み”できる場を用意した。
応募資格に、レーベル所属の有無や年齢、性別、演奏スタイル、個人・グループといった制限は一切ない。あらゆるジャンルのアーティストに門戸が開かれている。
対象となるのは、2025年7月23日以降に配信手続きが開始されたリリース楽曲。応募受付は4月30日(金)23時59分までとなっている。
自らの音楽を、より広い世界へ届けるチャンス。ぜひ、あなたの自信ある一曲を応募してほしい。
TuneCore Japan「Media Network」をチェックするSpotifyで「幸福論」「Walker by the shore」を聴く
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