ディズニーとユニバーサルが生成AI「Midjourney」運営企業を提訴

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浅田カズラ
ディズニーとユニバーサルが生成AI「Midjourney」運営企業を提訴
ディズニーとユニバーサルが生成AI「Midjourney」運営企業を提訴

ウォルト・ディズニー像(Konstantin Yolshin - stock.adobe.com)

ディズニーおよびユニバーサルが、画像生成AI「Midjourney」運営企業に対し、著作権侵害訴訟を行ったことが米国時間6月11日に明らかになった。ウォール・ストリート・ジャーナルやThe Vergeなど、複数の海外メディアが報じている。

原告は、Midjourneyが様々な著作物を無断で模倣/利用し、かつ一切の制御を行っていないことを指摘。

著作物を無断で生成・提供する"バーチャル自販機"」「底なしの盗作」などと厳しい批判を交えつつ、損害賠償や差止命令などを請求している。

Midjourneyは「著作権の"タダ乗り"」――名だたるIPホルダーが原告に並ぶ訴訟へ

今回の訴訟は、ディズニーとユニバーサルに加え、マーベルやルーカスフィルムなども原告として名を連ねている。

訴状では、「Midjourney」が原告の著作物を無断で利用し、それを模倣した画像を生成・配布していることを「著作権の"タダ乗り"」と指摘。「Midjourney」が近く映像出力にも対応することを受け、AIなどにより生成された場合でも、違法な画像や映像は著作権侵害に変わりないと主張している。

また、原告側は「Midjourney」が著作物のコピーや頒布などを防ぐための保護措置を怠っているとも指摘。「Midjourney」ではすでに暴力的表現やヌードに該当する画像などの表示を防ぐ対策を導入していること、そして他のAI画像/動画サービスは著作権保護対策を実施済みであることも触れ、「Midjourney」は必要な対応を行っていないと主張した。

その上で、原告は法的措置以前に、「Midjourney」へ知的財産の不正利用をやめ、簡単な措置を行うよう要請。しかし、対策は実施されなかったため、今回の訴訟に至ったと説明している。

著作物1点につき、約2,100万円を損害賠償請求

原告側は「Midjourney」に対し、原告の著作権作品に関する発生被害や不当利益の賠償や、登録済み著作物1件につき最大15万ドル(日本円にして約2,100万円)の法定損害賠償の支払いを請求。

さらに、原告は「著作権作品の直接または二次的な複製や表示、頒布するといった行為、著作物をもとにした派生的作品の作成、著作物をトレーニングデータに含む、あるいはそれを基に訓練されたモデルの使用・提供などの差し止め」も求めている。

AI側に求められる、著作権侵害を抑止する姿勢

誰でも手軽に画像や映像を生み出せる生成AIは、2025年現在も賛否両論を巻き起こしている。

積極的に創作へ活用する動きも生まれ、生成物のランダム性に注目した創作も登場している一方、著作権侵害に関する問題/懸念は議論が絶えない。様々な影響を加味し、例えばVTuberのファンアートには使用を控えてほしい、といった呼びかけも見られる。

今回の訴訟に限らず、著作権侵害をもたらし得る生成を、AI側で管理/抑止できているかは一つのポイントだろう。

直近では、「ChatGPT」のアップデートにより、"ジブリ風"の画像が生成できることが話題になり、議論を呼んだ。その後「"ジブリ風"のプロンプトには制御がかかった」とのウワサも耳にしたが、筆者が試してみたところ、特に制御はなさそうな挙動が見られた。

今回のディズニーとユニバーサルの訴訟の司法判断が、新たな議論の呼び水ともなりそうだ。

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