ボカロP・柊マグネタイトさんによる楽曲「雑魚」のMVが、3月10日にプレミア公開された。
本楽曲は、2月9日に公開され、同日非公開となった楽曲「ざぁこ」のリメイク作品。「ざぁこ」については当時、「不適切な表現が含まれている」といった指摘が寄せられ、同日に公開停止となっていた。
修正版となる「雑魚」のMVは、オリジナル版に引き続きCAST(旧・channel)さんが制作している。
「雑魚」の歌唱は、問題となった歌愛ユキから亞北ネル(※)に変更。コーラスも音街ウナから重音テトへと変更された。映像も、15歳に成長した歌愛ユキから亞北ネルに差し替えるなど、全編に渡って描き変えられている。
※亞北ネル:初音ミクを元にした2次創作キャラクター。匿名掲示板・2ちゃんねる(現5ちゃんねる)の書き込みが発祥とされている。
柊マグネタイト「ざぁこ」MV非公開とリメイクまでの経緯
オリジナルの「ざぁこ」は、柊マグネタイトさんが2月9日に発表したVOCALOID楽曲。歌唱は、(当時)小学生の声を元に開発されたVOCALOIDの歌愛ユキだった。
「VOCALOID™4 ボカロ小学生 歌愛ユキ」/画像はAHS公式サイトより
歌愛ユキは、ボカロ小学生と銘打ち、2009年12月4日に株式会社ASHからリリースされたVOCALOID。あどけない声質ながら、若干ハスキーな声になっているのが特徴だ。
オリジナルの「ざぁこ」MVの公開後、柊マグネタイトさんは歌詞とMVの描写に「不適切な表現が含まれているとのご指摘を受け、様々なご意見を頂戴しました」とXに投稿。
「皆さまからのご意見、そして私たち自身の反省点を踏まえ議論を重ねた結果、現在公開中の『ざぁこ』MVを非公開とし、『ざぁこリメイク版』として再アップロードすることを決定いたしました」と報告している(外部リンク)。
一体「ざぁこ」MVの何が、“不適切な表現”だとされたのだろうか。
歌愛ユキの起用は「ガイドライン違反」「児童ポルノに該当」と批判の声
「ざぁこ」は、歌愛ユキが聴く者を一方的に貶めるという曲。直接的な性的表現はないが、ある種、扇情的/挑発的な歌詞だと解釈(※)することもできる。
(※)前提として、近年こうした扇情的/挑発的な言動をとる未成年の女性を「メスガキ」などと称し、それを題材にしたアダルト作品が流行。そうした作品で定型的に使われているフレーズが「ざぁこ」の歌詞には含まれていた。
さらに、歌愛ユキの英語版のキャラクター仕様ガイドラインには、「公序良俗に反する利用(日本国の適用法におけるわいせつ、性的、冒涜的な定義を含む)」を禁止すると記載されている。
これらの理由から、海外リスナーを中心に「小学生の声をもとに開発された歌愛ユキに、扇情的/挑発的な言動をとらせるのは、児童ポルノにあたるのではないか」「ガイドライン違反なのではないか」といった、歌愛ユキによる歌唱の妥当性を問う指摘があがっていた。
こういった指摘を踏まえてか、リメイク版「雑魚」では、歌愛ユキを使用せず亞北ネルを起用。歌詞は変更せず、歌唱するVOCALOIDを変更するという対応が取られている。

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