TCG『デュエマ』新コンボが物議を醸す 無限にカードシャッフルを強制させる

TCG『デュエマ』新コンボが物議を醸す 無限にカードシャッフルを強制させる
TCG『デュエマ』新コンボが物議を醸す 無限にカードシャッフルを強制させる

物議を醸す《アクア・ギャクテンポインター》のループコンボ/画像は『デュエル・マスターズ』公式サイトより

トレーディングカードゲーム『デュエル・マスターズ』の最新拡張パック「王道篇第3弾『ゴールド・オブ・ハイパーエンジェル』」収録の新カードを使用したループコンボが、コミュニティ内で物議を醸している。

騒動の渦中にいるのは《アクア・ギャクテンポインター》というカード。

詳細は後述するが、このカードを活用し、対戦相手の山札にあるクリーチャーの「このクリーチャーがバトルゾーンに出た時」ではじまる能力を無限に使わせ、相手の山札切れによる強制敗北を狙う、というものだ。

一度ループに入ってしまうと、対戦相手が何もすることができなくなることから、ソリティア(一人で遊ぶゲーム)などと揶揄されがちなループコンボ。

しかし《アクア・ギャクテンポインター》の場合はそうではない。むしろループコンボとしての不完全さが問題視されているのだ。

無限のシャッフルを強制させる“不完全”なループ

一定の手順を繰り返すことで1ターンの間に膨大な行動をとり続けるループコンボ(外部リンク)。《アクア・ギャクテンポインター》のループコンボは至ってシンプル。

まず、自分の山札に《アクア・ギャクテンポインター》以外のクリーチャーがない状態に(例えば、デッキ構築の際に《アクア・ギャクテンポインター》以外のクリーチャー・カードを入れないようにするなど)。

その後、対戦相手の場にクリーチャーがいる時、《アクア・ギャクテンポインター》を出すだけだ。

《アクア・ギャクテンポインター》

カードの種類:クリーチャー
文明:水
レアリティ:R
パワー:5000
コスト:10
マナ:1
種族:リキッド・ピープル
イラストレーター:Shin “JASON” Nagasawa
特殊能力:
■S・トリガー
■ブロッカー
■このクリーチャーが出た時、各プレイヤーのクリーチャーを最大1体ずつ選び、持ち主の山札の下に置く。このようにして自身のクリーチャーが選ばれたプレイヤーは、自身の山札の上から、クリーチャーが出るまで表向きにし、そのクリーチャーを出す。その後、そのプレイヤーは、自身の山札をシャッフルする。
フレーバー:流転こそ逆転の本質。

自分の山札には《アクア・ギャクテンポインター》以外のクリーチャーがないため、当然《アクア・ギャクテンポインター》の能力で出てくるのは《アクア・ギャクテンポインター》となる。

『デュエル・マスターズ』では、自分と対戦相手のカードの効果が同時に発生している場合、そのターンを行っているプレイヤーの効果を優先して行う(外部リンク)。

結果、例えば自分のターンの場合、《アクア・ギャクテンポインター》の能力が優先して無限に発生し、自分も相手も無限に山札をシャッフルさせながら、無限に相手の山札の中にあるクリーチャーを出し入れさせられる

その中に、「このクリーチャーがバトルゾーンに出た時」ではじまる山札の総数を強制的に減らす能力(例えば、「カードを1枚引く」など)があれば、それを無限に誘発できる──ループの果てに、相手の山札のカードをすべてなくすことができるというわけだ。

ループ手順の省略が困難「正常なゲーム進行が破綻する」

問題は、能力で山札をシャッフルする都合上、そもそも自分の山札に《アクア・ギャクテンポインター》以外のクリーチャーがない状態であると証明することが極めて難しい(※1)こと。

そして、対戦相手のデッキに入っているカードの効果を利用する都合上、《アクア・ギャクテンポインター》のループコンボが途中で止まってしまう可能性がある(※2)ことにある。

『デュエル・マスターズ』の競技イベント運営ルール(外部リンク)では、端的にいえば、ループしている(ある一連の処理・行動を繰り返せる状態にある)ことを対戦相手に証明できれば、ループ手順を省略してもよい、と定められている。

しかし、《アクア・ギャクテンポインター》のループコンボの場合はそれが難しい。ループコンボが完遂するか、あるいは止まるまで、自分も相手も無限に山札をシャッフルしながら、クリーチャーを出し入れし続けなければならない

認定ジャッジの一人として知られているカードゲームショップADVANTAGEの店員/YouTuberであるヤマダさんも「パワーレベルで議論する以前に『正常なゲーム進行が破綻する』」とXで批判。

「個人的にはサガ(※3)よりも調整不足だと感じざるを得ない一枚。これがバグと言わずなんなのか」とコメントしている。

(※1)現在の競技イベント運営ルールでは、ゲーム中に山札を見るなど「プレイヤーが見る権利のないカードを見る」行為はペナルティの対象となっている。

(※2)例えば、対戦相手のターン中にループに突入し、優先的に処理される対戦相手のクリーチャーの「このクリーチャーがバトルゾーンに出た時」の能力で、ループに必要な場の《アクア・ギャクテンポインター》が破壊された場合など。


(※3)《絶望神サガ》:2023年2月18日発売の拡張パック「ヒーローズ・ダークサイド・パック 闇のキリフダたち」に収録。《アクア・ギャクテンポインター》と同じく、《絶望神サガ》のみでループコンボができ、当時の対戦環境を席巻。2023年8月11日に殿堂入り(=制限カード)に指定された。

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