快斗、ハートフルな泥棒・怪盗キッドを襲名
『まじっく快斗』の主人公・黒羽快斗はある日、天才マジシャンと謳われた今は亡き父親・黒羽盗一が、世界的に名を轟かせた大泥棒・怪盗キッドであることを知ります。
その後、父の付き人だった寺井黄之助に、盗一が事故死に見せかけて殺害されたと聞き、仇を探すために怪盗キッドを名乗ることを決意(つまり初代であった父の跡を継いだ二代目なのです)。
ハートフルな泥棒として名を馳せていくなかで、父の仇である犯罪組織と対決していく……というのが、『まじっく快斗』のあらすじです。
なお、『名探偵コナン』の前日譚的なエピソードもある上に、江戸川コナンこと工藤新一が活躍するエピソードもあるため、同作を違った角度から楽しめる漫画でもあります。
『まじっく快斗』と『名探偵コナン』の切っても切れない繋がり
快斗/怪盗キッドの義賊的な活躍と、ヒロイン・中森青子とのロマンスが物語の中心。数々の犯行予告を実現していく快斗の活躍をコミカルに描く作風が特徴です。
盗一の仇である組織が本格的に登場してからは多少シリアスさの度合いが増しますが、根底にはユーモアがあり、笑いながら読むことができる内容になっています。
人を一瞬にして遠く離れた別の場所へ移動させるなど、何でもありな快斗のマジックをはじめ、非現実的な魔法・魔術の類、幽霊らしき存在も描写するポップな展開も持ち味です。
比較的現実的な作風の『名探偵コナン』に比べると、エンタメ性が強く打ち出されています。
見た目も言動も派手で奇術師のような快斗と、地に足をつけた推理で地道に犯人を追い詰める江戸川コナン。主人公のキャラクター性に合わせた作風の違いとも言えるでしょう。
『まじっく快斗』と『名探偵コナン』は、世界観を同一にするクロスオーバー作品でありながら、コインの表と裏のような関係性が印象的。
他方で快斗と工藤新一の容姿が似ている。快斗と青子、新一と蘭が幼馴染の間柄。快斗も新一も正体を隠しつつ犯罪組織を追っている。青子と蘭の父が警察関係者である……など、共通点も多くあります。
前述のように怪盗キッドは、『名探偵コナン』の原作及びアニメを語るためにも外せない存在です。
『100万ドルの五稜星』で明かされた衝撃の事実でさらに結びつきが強くなった両作は、切っても切れない兄弟作品とでも言うべき繋がりがあります。
ドジでクールな快斗、怪盗キッドがカッコいい!
また、登場キャラクターたちが魅力的なのも『名探偵コナン』と共通しています。
快斗と相思相愛の青子が持つ古き良きヒロイン性と、応援したくなる魅力は、時代は超えて不変です。怪盗キッドの逮捕に心血を注ぐ父を全力で応援しながら、たまに怪盗キッドを応援してしまう姿がたまりません。
青子の父・中森銀三は、盗一扮する初代から怪盗キッドを追っかける執念の刑事。怪盗キッドに翻弄されても騙されても絶対に諦めない。
快斗が怪盗キッドであることを知る同級生の小泉紅子は、なんと魔術を操る本物の魔女。誰もを虜にする彼女は、自分に関心の無い快斗に憤りながらも、純粋に彼を振り向かせたい乙女な顔も持ち合わせる、青子とはまた違った魅力的なヒロインです。
紅子と同じく快斗の正体を知る数少ない人物で、快斗を追う高校生探偵の白馬探も忘れてはいけません。白馬と快斗は良きライバルとして互いに認め合う間柄。敵だけれど、本質的には敵じゃない。憎めないキャラクターです。
そしてやっぱり快斗がカッコいい!
「怪盗はあざやかに獲物を盗み出す創造的な芸術家だが…探偵はその跡をみつけてなんくせつける……ただの批評家にすぎねーんだぜ?」
これはTVアニメ『名探偵コナン』に登場した際の名言ですが、キザなセリフがハマってしまうキャラクター性に心を奪われます。
『名探偵コナン』でのクールで華麗な姿とは少々異なり、『まじっく快斗』ではドジな一面も見せてくれる本作の快斗。魚とスケートが苦手という意外すぎる弱点もあります。しかしその分、親しみもわきやすい本当に魅力的なキャラクターです。
ピンチも常にカッコよく乗り切る……とはいかないものの、最後の最後には決めて魅せる。そんな彼に、青子ともども読者も惚れちゃうこと間違いなしです。
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テーマは「漫画を通して社会を知る」。 国内外の情勢、突発的なバズ、アニメ化・ドラマ化、周年記念……。 年間で数百タイトルの漫画を読む筆者が、時事とリンクする作品を新作・旧作問わず取り上げ、"いま読むべき漫画"や"いま改めて読むと面白い漫画"を紹介します。
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