「誰でも若いうちはちょっとした失敗をするもの」
クワクボリョウタさんは、声名の冒頭で「このような状況に僕が平気でいられるのは、多くの人が作品を愛してくれていることを知ったからです」と、応援している人々に感謝を表明。相手が未成年であることから「これからの発言や対応には注意深くありたい」としながら、「誰でも若いうちはちょっとした失敗をするもの」「今回結果だけ見れば一線を越えていたかもしれませんが、それでも誰かに怪我を負わせたわけではありません」と、寛容な姿勢を示した。「LOST #6」で使用されている織物機具は修復・再生が可能であるという。
作品の修復・再生よりも重要なこととして、「生徒たちが内なる不満や怒りや欲望をさまざまな違った形で表現できるように支えること」と主張。
「少なくとも自分は、修復を通じて、この事件が彼らや彼らのコミュニティ、そして芸術を愛する人々に悪い爪痕を残さないよう、最善を尽くしたいと思います」と結んだ。
修学旅行中の中学生が美術館の作品を破損
事の発端は4月21日。新潟県十日町市にある越後妻有里山現代美術館 MonETに修学旅行で訪れていた、新潟市立黒埼中学校の複数生徒が、同美術館に展示されていた2つの作品を破損。破損したのは、現代美術家・クワクボリョウタさんの「LOST #6」とドイツのカールステン・ニコライさんの「Wellenwanne LFO」。
NHK新潟放送局など複数メディアの報道によれば、「Wellenwanne LFO」は修復され展示が再開されたものの、「LOST #6」はほぼ全壊しており、執筆現在非公開となっている(外部リンク)。
両作品は、4月29日から11月13日(日)まで開催される世界最大級の国際芸術祭・地域芸術祭「大地の芸術祭」の展示作品でもあった。
美術館側は警察に被害届を提出。また、十日町市は新潟市に作品の修理費用などの支払いを求めるとしている。
クワクボリョウタさんの声名全文
作品の破損に関してのコメント
まず、このような状況に僕が平気でいられるのは、多くの人が作品を愛してくれていることを知ったからです。支えてくれている皆さんに感謝しています。
暗い展示室で何が起こったのか、 どうして生徒たちがこんなことをするようになったのか、自分はまだすべてを理解しているわけではありません。 まだ中学生ですから、これからの発言や対応には注意深くありたいと思っています。 考えてみれば、 誰でも若いうちはちょっとした失敗をするもので、 今回結果だけ見れば一線を越えていたかもしれませんが、それでも誰かに怪我を負わせたわけではありません。 確かに作品は完全に破壊されましたが、物は物です。 幸いこの作品に使われている素材は (その多くは現地の方に譲っていただいた織り機です) どれも修理や再生が可能なようです。 しかも、作者はまだ生きていて作品を修復する気力も体力もあります。 だから、物理的な面ではそれほど深刻な状況ではありません。
それよりも重要なのは、生徒たちが内なる不満や怒りや欲望をさまざまな違った形で表現できるように支えることです。これはアーティストの力ではどうにもならない。大人や学校、友だちや地域の人たちの協力が必要です。少なくとも自分は、修復を通じて、この事件が彼らや彼らのコミュニティ、そして芸術を愛する人々に悪い爪痕を残さないよう、最善を尽くしたいと思います。良い夏休みを迎えましょう!
2022年6月9日
クワクボリョウタ
すみません。日本語の方に意味不明な表現があったので直しました。こちらをお納めください pic.twitter.com/fmKBZTtahq
— ryota kuwakubo (@RyotaKuwakubo) June 9, 2022
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