「お前らなんで芸人になりたいの?」
──所属事務所すら懐疑的・壊滅的だったというお笑いシーンでの不遇の時代を経て、今や飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍の場を広げるお笑いコンビ・空気階段。
彼らが2月に開催した単独ライブ「anna」は、オンライン配信チケットの最終的な売上枚数が1万枚を越え、コンビとして初となるDVD化が決定。5月19日に発売された。
水川かたまりさんと鈴木もぐらさん、それぞれのパーソナリティーが色濃く投影された2時間超えの新作コントの数々に加え、最後の長編コントには大きな仕掛けが用意されているなど、「anna」はお笑いライブの枠組みを越えるような作品性の高いライブに仕上がった。
そんな「anna」について、2人が表現したかったこと、表現するために採った手段や考え方を明らかにしながら、2人の色を打ち出し、新たなコントを生み出し続ける空気階段の魅力に迫っていく。
取材・文:鈴木梢 編集:森田将輝 写真:稲垣謙一
鈴木もぐら(以下、もぐら) まず、僕らのライブのつくり方の話になるんですが、単独ライブをやるときはテーマとかの大枠を後から決めるんですよ。
──え、そうなんですか? てっきり先に決めると思っていました。
もぐら 単独ライブの公演日から3ヶ月くらい前に集まって、まずは「なんのネタをやりたいか」をバーっとホワイトボードに書き出すんです。そこからやりたいネタを選ぶ。
今回は最後のコントで表題作でもある「anna」が締めてくれるんじゃないかという話になって。前から「いつかラジオをテーマにやりたいね」と話していたのもあって、今回の形になりました。
水川かたまり(以下、かたまり) 主催にTBSラジオさんが入ってくださっていることは全然関係なかったんです。
「anna」を最後に持ってくると決めた会議の段階で、ある程度今回みたいなテーマになることは決まってました。 ──最後のコントから今回の単独ライブの全容が形づくられていったということですね。今回の単独ライブのネタ制作・構成はかたまりさんが担当されたんですか?
かたまり 単独に関しては僕ら2人と作家さんで考えますね。大枠を考えたりネタを出したりするのは2人である程度やって、細かい組み立ては作家さんを交えて進めます。
普段も2人で話して考えるパターンが一番多いですね。僕が考えて渡したり、もぐらが考えたものをもらったりするパターンもあります。
──空気階段さんの単独ライブ「anna」は、他のお笑いライブと比較して少し特殊な構成だったと思います。ライブ通してのネタづくりと単体のネタづくりで違いはあるんですか?
かたまり 基本的には同じです。お笑いライブなので、「笑えるか」という点が一番重要なポイントだと思っています。今回の単独ライブだと、キャラクターの関係性がどうなっていくとかのつながりは考えますけど、そのためにネタをつくる感じではないです。
もぐら でも、そうなってくると今度、キャラクターによってコントの設定が変わってきたりするんですよ。設定のためにこのキャラを入れたけど、この設定で生きているということは、こういうキャラクターなんだから設定ちょっと変えなきゃなってなったり。
かたまり やはり、第一に考えているのは「笑えるか」なので、何かメッセージを伝えようって考えながらネタやライブをつくっていくってことはないんです。
もぐら そうですね。ただ、本当に漠然となんですけど、「ひとりじゃない」っていうのは、今回のライブで1つのテーマになっていたと思います。
──コントに登場する人物がみんな印象的なキャラクターで、どこかちょっと変わった人が多かったように思います。「ひとりじゃない」というのも、テーマだったというお話がありましたが、そこには何か意図があったんですか?
もぐら でも、ほとんどの人がそういうもんだと思いますよ(笑)。みんなどこかそういう部分がある。
かたまり そうですね。何か意図があって登場させてるというより、コントにマッチするキャラクターを選んでいます。 ──「コインランドリー」のネタの中で、もぐらさん扮する下着泥棒の台詞に「お前が言ってるその不安と怒りとか悲しみとか、そういう汚れっつーのが人間がみんな抱えて生きていくもんなんじゃねぇの? 汚れなの? ほんとにそれって」という言葉が印象的でした。
かたまり あれは、めっちゃウケると思ったんですけど、全然ウケなかったですね(笑)。逆に芯食ったみたいなこと言っちゃって。
もぐら 時間に制限があったらあの部分は削ってました(笑)。
──もしお二人が単独ライブ「anna」のコントに登場するキャラクターの中で、自分に近い人を選ぶなら誰になりますか?
かたまり 僕はコインランドリーの警察官ですかね。きれいに生きたいと常々思っているけど、結局そういうことじゃないなと感じることもある。
もぐら 僕は、同じコントの泥棒のほうですね。「お互いが楽しんで、バレなきゃいいじゃん」みたいな(笑)。やばいことをやったとしても、そいつもやばいことやってるなら、周りにバレなきゃいいじゃんみたいな考え方なので。 ──今後の単独ライブでテーマにしたいものはありますか?
かたまり 今のところはないです。前回の単独ライブ「baby」はもぐらに子供が産まれたことがきっかけだったりしました。次の単独までに何かあれば、それをテーマにするかもしれません。
──今回の公演は配信チケットが1万枚以上売れたということで、新規のお客さんもかなり増えたんじゃないかと思います。新規のファンとコアなファンとで、意識の違いはありますか?
もぐら 楽しんでもらえたら、新規とかコアとかはいっさい関係なしですよ。
かたまり どちらがってことはないですけど、予備知識がないと楽しめないようなことはしないように考えてます。
もぐら ラジオでも年に一度くらいは自己紹介してますからね。聴いてくださる方が増える春の時期とかは登場人物をおさらいしたりして。そうしないとやっぱり聴きづらいと思うので。
──所属事務所すら懐疑的・壊滅的だったというお笑いシーンでの不遇の時代を経て、今や飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍の場を広げるお笑いコンビ・空気階段。
彼らが2月に開催した単独ライブ「anna」は、オンライン配信チケットの最終的な売上枚数が1万枚を越え、コンビとして初となるDVD化が決定。5月19日に発売された。
水川かたまりさんと鈴木もぐらさん、それぞれのパーソナリティーが色濃く投影された2時間超えの新作コントの数々に加え、最後の長編コントには大きな仕掛けが用意されているなど、「anna」はお笑いライブの枠組みを越えるような作品性の高いライブに仕上がった。
そんな「anna」について、2人が表現したかったこと、表現するために採った手段や考え方を明らかにしながら、2人の色を打ち出し、新たなコントを生み出し続ける空気階段の魅力に迫っていく。
取材・文:鈴木梢 編集:森田将輝 写真:稲垣謙一
空気階段の単独ライブのつくり方
──今回の単独ライブ「anna」は、「ラジオ」が重要なテーマの1つになっていたと思います。単独ライブのテーマを「ラジオ」に決めたのは、どういった経緯があったのでしょうか。鈴木もぐら(以下、もぐら) まず、僕らのライブのつくり方の話になるんですが、単独ライブをやるときはテーマとかの大枠を後から決めるんですよ。
──え、そうなんですか? てっきり先に決めると思っていました。
もぐら 単独ライブの公演日から3ヶ月くらい前に集まって、まずは「なんのネタをやりたいか」をバーっとホワイトボードに書き出すんです。そこからやりたいネタを選ぶ。
今回は最後のコントで表題作でもある「anna」が締めてくれるんじゃないかという話になって。前から「いつかラジオをテーマにやりたいね」と話していたのもあって、今回の形になりました。
水川かたまり(以下、かたまり) 主催にTBSラジオさんが入ってくださっていることは全然関係なかったんです。
「anna」を最後に持ってくると決めた会議の段階で、ある程度今回みたいなテーマになることは決まってました。 ──最後のコントから今回の単独ライブの全容が形づくられていったということですね。今回の単独ライブのネタ制作・構成はかたまりさんが担当されたんですか?
かたまり 単独に関しては僕ら2人と作家さんで考えますね。大枠を考えたりネタを出したりするのは2人である程度やって、細かい組み立ては作家さんを交えて進めます。
普段も2人で話して考えるパターンが一番多いですね。僕が考えて渡したり、もぐらが考えたものをもらったりするパターンもあります。
──空気階段さんの単独ライブ「anna」は、他のお笑いライブと比較して少し特殊な構成だったと思います。ライブ通してのネタづくりと単体のネタづくりで違いはあるんですか?
かたまり 基本的には同じです。お笑いライブなので、「笑えるか」という点が一番重要なポイントだと思っています。今回の単独ライブだと、キャラクターの関係性がどうなっていくとかのつながりは考えますけど、そのためにネタをつくる感じではないです。
もぐら でも、そうなってくると今度、キャラクターによってコントの設定が変わってきたりするんですよ。設定のためにこのキャラを入れたけど、この設定で生きているということは、こういうキャラクターなんだから設定ちょっと変えなきゃなってなったり。
「ひとりじゃない」伝えたかったテーマ
──単独ライブ「anna」の一連のコントを通じて、伝えたいメッセージのようなものがあるように感じました。かたまり やはり、第一に考えているのは「笑えるか」なので、何かメッセージを伝えようって考えながらネタやライブをつくっていくってことはないんです。
もぐら そうですね。ただ、本当に漠然となんですけど、「ひとりじゃない」っていうのは、今回のライブで1つのテーマになっていたと思います。
──コントに登場する人物がみんな印象的なキャラクターで、どこかちょっと変わった人が多かったように思います。「ひとりじゃない」というのも、テーマだったというお話がありましたが、そこには何か意図があったんですか?
もぐら でも、ほとんどの人がそういうもんだと思いますよ(笑)。みんなどこかそういう部分がある。
かたまり そうですね。何か意図があって登場させてるというより、コントにマッチするキャラクターを選んでいます。 ──「コインランドリー」のネタの中で、もぐらさん扮する下着泥棒の台詞に「お前が言ってるその不安と怒りとか悲しみとか、そういう汚れっつーのが人間がみんな抱えて生きていくもんなんじゃねぇの? 汚れなの? ほんとにそれって」という言葉が印象的でした。
かたまり あれは、めっちゃウケると思ったんですけど、全然ウケなかったですね(笑)。逆に芯食ったみたいなこと言っちゃって。
もぐら 時間に制限があったらあの部分は削ってました(笑)。
──もしお二人が単独ライブ「anna」のコントに登場するキャラクターの中で、自分に近い人を選ぶなら誰になりますか?
かたまり 僕はコインランドリーの警察官ですかね。きれいに生きたいと常々思っているけど、結局そういうことじゃないなと感じることもある。
もぐら 僕は、同じコントの泥棒のほうですね。「お互いが楽しんで、バレなきゃいいじゃん」みたいな(笑)。やばいことをやったとしても、そいつもやばいことやってるなら、周りにバレなきゃいいじゃんみたいな考え方なので。 ──今後の単独ライブでテーマにしたいものはありますか?
かたまり 今のところはないです。前回の単独ライブ「baby」はもぐらに子供が産まれたことがきっかけだったりしました。次の単独までに何かあれば、それをテーマにするかもしれません。
──今回の公演は配信チケットが1万枚以上売れたということで、新規のお客さんもかなり増えたんじゃないかと思います。新規のファンとコアなファンとで、意識の違いはありますか?
もぐら 楽しんでもらえたら、新規とかコアとかはいっさい関係なしですよ。
かたまり どちらがってことはないですけど、予備知識がないと楽しめないようなことはしないように考えてます。
もぐら ラジオでも年に一度くらいは自己紹介してますからね。聴いてくださる方が増える春の時期とかは登場人物をおさらいしたりして。そうしないとやっぱり聴きづらいと思うので。
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