スタッフの作品愛がつくりあげた現場の雰囲気
──半年間同じ出演者・スタッフで1つの作品をつくっていく現場というのは、どんな雰囲気だったんでしょう?真野 とにかく、スタッフさんの作品愛がすごかったです。セットのつくり込みはもちろんですが、何より驚いたのはロッカーや引出し! 全く画面に映り込むことのないロッカーの中や、開けることのない引出しの中にも、それぞれのキャラクターにまつわる物が置いてあったんですよ。
そうとは知らず、撮影の合間に自分のデスクの引出しをあけてみたら、明が好きそうなロボットのグッズやゲームの攻略本が入っていて。その時に、本当にこの作品を愛している方たちと一緒につくっているんだと感じたんです。
あと、立っているだけでも汗が吹き出てきて、脱水症状になってしまいそうな夏場の撮影の時でも、「大変だ」とか「暑い」っていう言葉を誰も発さないんです。そんなみんなの愛を出演者は常に感じていたので、現場の雰囲気もすごくよかったですね。大変さは確かにあったんですけど、それをプラスに変えられたんじゃないかな、って思います。
──細部のつくり込みにもこだわっているのは、役者さんが演じやすいようにという配慮があったのかもしれませんね。 真野 それもすごく感じました。明はこういうものが好きなんだろうなって想像しながら演じるんですが、それが小道具として実際に目の前にあるので、「こういうものが好きだと、こんな性格なんじゃないかな」とか「意外と女の子らしい部分もありそうだな」ってさらに想像を進められました。
そういった工夫をしていただけていたから、現場ではずっと演じているキャラクターとして存在できていたように思うんです。二課棟には、たくさん暇つぶしグッズや遊ぶものがあるんですね。
バスケットコートもあって、休憩中にそこで遊んでいる時も、キャラクターたちが任務の合間に遊んでいるみたいで(笑)。すると、キャスト同士の間で「こうしてほしい」っていう気持ちが読み取りあえるようになって、シリーズが後半になるに連れて、アドリブが増えていきました。
──押井監督は、アドリブもたくさん採用されるんですか?
真野 基本的には長回しで撮ることが多いので、逆に私たち出演者がアドリブした者勝ち、みたいな部分はあったかもしれません(笑)。
押井さんの真意はわからないですけど、その長回しの中で、如何にキャラクターとして生きているか、という部分を試されているような印象がありました。なので、格闘ゲームで遊んでるシーンでは「どうしよう、ここでは勝って歓声を上げておくべきか……」とか考えてました(笑)。
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