実写版パトレイバーにかける想い──真野恵里菜インタビュー「これは試練なんだと思ってる」

人気原作シリーズの実写化にまつわるプレッシャー

5月31日(土)からは、第2章の2週間限定上映が開始される

──人気シリーズかつ真野さんが生まれる前から存在していた作品の実写化ということで、原作ファンの期待にどう応えられるかという難しさがあったと思います。

真野 まず最初に思ったのは、パトレイバーシリーズの世代ではない私がどう演じるべきなんだろうかっていう、根本的なことでした。そこで色々考えて、あえて原作に触れずに撮影に臨むことにしたんです。

撮影中はとにかく不安でした。制作発表をした時も、ネットでの反響の中には否定的な言葉もありました。でも、私もアニメやマンガが大好きなので、実写化が発表された時の原作ファンの複雑な思いというのがわかるんです。

今回は自分がその実写化に携わる立場になったので、これは1つの試練でもあるんだなと感じました。

なので、公開後に原作ファンの方から私の演技を「どこか(原作の)野明っぽさを感じる」言ってもらえて、すごくうれしかったんです! 意識してないのに、原作のよさを残しながら、新しいキャラクターを演じることが少しはできたのかな、って思えました。

──アニメ・マンガ好きとのことですが、どんな作品がお好きだったんですか?

真野 幼稚園の頃から、CLAMPさんの『魔法騎士レイアース』が大好きで、DVD BOXも全部揃えましたし、サントラや脚本集、イラスト集も持ってます(笑)!

あと、5つ上の兄がいたので、少女マンガ以上に仮面ライダーウルトラマンのような男の子向けコンテンツを見て育ってきた感じもあります。

そんな経緯もあってか、2年前に『仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦MEGA MAX』に出演させてもらったのは貴重な体験でした。今回の現場でも「仮面ライダーの子だね」って言っていただけて、つながっているなって思います。
「THE NEXT GENERATION パトレイバー」第2章 予告
──今回出演するにあたって、特に意識したことはありますか?

真野 ナチュラルでいようとは思っていました。他の隊員たちはお酒が好きだったり、ヘビースモーカーだったり、ギャンブル好きだったり、キャラクターとしてわかりやすい特徴があるんです。

でも私が演じたヒロインの明は、そこまでなくって。イングラムとゲームが大好きなんですが、意外と普通の子なんだろうな、と感じたんです。その意味では自分に近いなと思うこともあります。なので、等身大の女の子であることを意識していました。

──押井監督も「ある程度はお任せした」と話していましたね。

真野 押井さんは、あまり多くを語る方ではないので、正直最初はちょっと怖そうだなって思ってました(笑)。でも、すごく細かいところまで見てくれる方だって気づいたんです。

待ち時間に私がふとあくびをしてしまった時に見つかって、「怒られるかも…」って思ったんですが、「今のあくびよかったから、次のシーンで撮ってみようか」って言ってくれたり(笑)。みんなのことを見守ってくれてるんだなって思いました。

そんな実感があったから、出演者みんなで「押井さんの笑顔を見たいよね」って話したりして、結束力も高まりました。控室が1つだったので、誰かがセリフを口にし始めると、自然にセリフ合わせが始まったりすることもたくさんあったんですよ。

──そんな皆さんが演じたキャラクターを、押井監督は「物語を持たない3代目」というフレーズで表現していました。真野さんからはどんな人物に見えましたか?

真野 どこにでもいるようでいて、でもそれぞれひとクセある人達だなと思います。そんな人達が特車二課に偶然集まって、バラバラなんだけどお互いに認め合っている感じ。それが妙にリアルだったんです。

例えばオフィスでの会話シーンでは、目を合わせて話すっていうことがあまりありませんでした。でも実際の友達や会社の人達って境遇はバラバラだし、会話も何かをしながら話すことの方がむしろ日常的ですよね。

そんな細部にリアリティが感じられたので、ドラマを撮っているというよりは、特車二課の隊員として生活しているような不思議な感覚がありました。

撮影期間が半年という長さだったこともあるかもしれません。朝早くに起きて二課棟に行って帰る、という暮らしだったので、毎日出勤しているような気分でした(笑)。終わった後はなんだか夢を見ているような気分で、今でも「二課棟はどうなっているのかな」なんて考えたりします。

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