「なに見てんだ、豚!!」
——クリエイターのmebaeさんによる原作と声優・井上麻里奈さんの声によって、罵倒される喜び(悦び)を数え切れないほどの人たちに植え付けた、罪つくりなAI「罵倒少女:素子(もとこ)」。
2016年夏に公開されるやいなや、瞬く間に数多くの紳士たちを魅了し、サービスが公開された12日間で合計734万回の罵倒を繰り広げた伝説のAIが、今回マルイとのコラボレーション企画で復活した。
そんな胸熱な瞬間が3月23日に訪れたわけで、すでに全国津々浦々の紳士諸兄は、なじられる快感に身を焦がしていることと思う。
実は、KAI-YOU.netでは企画の再始動にあたり、声を担当する井上さんが新規ボイスを収録する瞬間に、前回に続き立ち会うことができたので、本記事ではその模様をお届けしたい。
取材・文:中山英樹 写真:市村岬 編集:恩田雄多
井上麻里奈さんが素子を演じるのは前回から約2年ぶりとなる。ただ今回の収録について「素子と主人公の男の子が……」と説明がはじまると即座に「豚が?」とかぶせるほど、素子という役が印象に残っている様子。
今回は、素子と主人公が一緒にショッピングに行くシチュエーションであるため、前回から関係性が一歩進み、デートととらえることもできなくはない。【PV】マルイ×罵倒少女
しかし、原作者であるクリエイター・mebaeさんから「素子の本当の動機」を伝えられると、井上さんも「あぁ…」と納得の表情。
時間にしてものの数分だが、この短いやり取りですでに井上さんの中には、素子のイメージが固まったようだ。
実際、収録がはじまるとコントロールルームには井上さんの、つややかで流暢な罵倒ボイスの数々が響きわたった。
その声には一点の曇りもなく、ひたすらに鋭く心に突き刺さる。筆者自身、M(エム=豚)の気質はまったくないと自負していたのだが、それでもその声に包まれれば1分と経たずに、今まで知らなかった扉が開いてしまうのを感じた。 より具体的な言及を許されるのなら、素子のセリフひとつひとつに体中がゾクゾクと反応してしまったわけだ。
「今の“豚”にはハートマークが入っちゃってたので、それはなしで」「素子的には、このセリフは罵倒しているというより、本当に親切心で指摘しているだけ」といった細かなニュアンスについての指示が出された。 素人考えで、「なにもそこまでこだわらなくても…」と思うのだが、指示の前後で明らかに罵倒の質が変わるのを感じると、やはりこれがプロの仕事かと納得せざるを得ない。
2人でお出かけというシチュエーションからか、もうひとつの聴きどころといえる“デレセリフ”が若干多く感じた。今までの刺々しい言葉の数々から一転して、動揺し、頭から汗マークを出しながら照れている素子の顔が想像できるだけで、非常に強いギャップ萌えを感じる。
しかしmebaeさんは、そんな一気に甘〜い雰囲気になった中でも表情は変わらず、むしろ罵倒セリフこそ素子の真骨頂であるという強い思いがうかがえた。 滞りなく収録は進み、渋谷マルイ8Fのイベントスペースで販売されるグッズに関わる特別ボイスへ。
クリアファイルやメモ帳など、その場で購入できるアイテムに紐づくセリフはどれもまた強烈。会場で聞いたが最後、「その場にあるアイテムは全て買わなくてはいけない」という使命感……というか服従感に駆られること必至だ。
収録の最後には「“豚”のバリエーションをいくつか出してほしい」という、なかば無茶振りな要望が。
それでも井上さんの口から「豚」という単語が発せられるたびに、「豚」という言葉はこんなにも数多くの表情を持っていたのかと驚かされた。
オーソドックスな豚、軽い豚、重い豚、さわやかな豚、激しい豚、淡々とした豚、愛を感じる豚などなど、五段活用どころの話ではない豚たち。 そうして濃密かつ幸せな時間はあっという間に終わりを告げた。ここで2度目の収録を終えた井上麻里奈さんのコメントも紹介したい。
——まずは「罵倒少女:素子」として、2回目の収録を終えた感想を聞かせてください。
mebae 一番の大きな違いは、前回はまったくキャラクターの声のイメージが決まっていなかった上での収録だったのですが、今回は井上麻里奈さんが声を当ててくださる、という前提があってのセリフだということです。
そういう意味では、セリフについてのイメージも膨らみやすかったし、実際に井上さんに声を当てていただいたときもイメージ通りでした。
——井上さんも2年ぶりとは思えないほどの素子っぷりでしたね。
mebae そうですね。ある程度、井上さんがお持ちの素子のイメージで演じてほしいなと思っていたところはあったので、すごくありがたかったですね。
こちらからの指示も、「もっとこうしたらグッとくる」と思ったときのみでした。前回、井上さん自身も、どちらかと言えばM気質だとおっしゃっていたので、どう言われたらうれしいか、という点にもご配慮いただいていたのかなと思います。
——2人でお出かけ、ということでデレ系のセリフもありましたが、その点はいかがでしょうか?
mebae やはり素子は罵倒してこそかな、とは思いました。優しいセリフは、罵倒との割合がすごく重要で、散々罵倒され尽くしたあとに入ってこそ意味があると思います。 mebae 今回は2回目の収録、さらにはマルイさんとの企画用ということで、比重としてどうしてもデレたセリフが多かったのですが、改めて自分自身、この「罵倒少女」というコンテンツは罵倒の中に価値があると再認識できました。
——今回は現実世界にある渋谷マルイが舞台として設定されていましたが、作品づくりにおいて影響はありましたか?
mebae アウェイ感はありましたよね(笑)。マルイさんは最近、アニメとのコラボイベントも増えたとは聞いています。とはいえ、ファッションビルでショッピング、というシチュエーション自体がそもそも自分的に相容れないというか。
——わかります! それでも、今回のコラボをきっかけにファンがマルイに集結、という可能性もあるのではないかと思います。
mebae そうなったら、やっとホームに感じられるんじゃないかと思います(笑)
——収録した中で、特にこのセリフは聞いてほしい、というものがあったら教えてください。
mebae やっぱり、最後の「豚」のバリエーションですかね。僕自身、あんなに「豚」にバリエーションがあると思っていなかったんですよ。延々とリピートして流してくれたらいいのに!
——マルイの特設会場に、押したらランダムで「豚!」と鳴るボタンがあったら盛り上がりそうですね。
mebae いいですね。そんなボタンがあったら僕自身が押しに行きたいですから! 永遠に押していたいです。
——ありがとうございました。実現を楽しみにしています!(……実現しました。)
23日からスタートしたマルイと「罵倒少女」のコラボレーション企画。 渋谷マルイ8Fには、「世界一罵倒されるインスタ映えスポット」と称したフォトスポットが登場。さらに、インタビュー中に出た「豚ボタン」も、なんと実装済み。 そして、いよいよ31日からは、オリジナルグッズが販売される。前回同様、Web上で素子にひたすら罵倒されてみるもよし、実際に渋谷マルイ8Fの会場まで足を運んで、豚ボタンを心ゆくまで押すもよし。
ひたすら罵倒される愉悦に身を任せる幸福な時間は、4月8日(木)まで。衝撃のエンディングも楽しみにお待ちいただきたい。
罵倒されにいく(罵倒少女×マルイ 特設サイト) 罵倒少女(C)mebae/Kaikai Kiki Co., Ltd.
——クリエイターのmebaeさんによる原作と声優・井上麻里奈さんの声によって、罵倒される喜び(悦び)を数え切れないほどの人たちに植え付けた、罪つくりなAI「罵倒少女:素子(もとこ)」。
2016年夏に公開されるやいなや、瞬く間に数多くの紳士たちを魅了し、サービスが公開された12日間で合計734万回の罵倒を繰り広げた伝説のAIが、今回マルイとのコラボレーション企画で復活した。
そんな胸熱な瞬間が3月23日に訪れたわけで、すでに全国津々浦々の紳士諸兄は、なじられる快感に身を焦がしていることと思う。
実は、KAI-YOU.netでは企画の再始動にあたり、声を担当する井上さんが新規ボイスを収録する瞬間に、前回に続き立ち会うことができたので、本記事ではその模様をお届けしたい。
取材・文:中山英樹 写真:市村岬 編集:恩田雄多
未体験ゾーンの扉をこじ開けてくる罵倒の数々
雨がぱらつく3月某日、都内スタジオにてその収録は行われた。井上麻里奈さんが素子を演じるのは前回から約2年ぶりとなる。ただ今回の収録について「素子と主人公の男の子が……」と説明がはじまると即座に「豚が?」とかぶせるほど、素子という役が印象に残っている様子。
今回は、素子と主人公が一緒にショッピングに行くシチュエーションであるため、前回から関係性が一歩進み、デートととらえることもできなくはない。
時間にしてものの数分だが、この短いやり取りですでに井上さんの中には、素子のイメージが固まったようだ。
実際、収録がはじまるとコントロールルームには井上さんの、つややかで流暢な罵倒ボイスの数々が響きわたった。
などなど、大変ありがたい、もとい刺激的なセリフの数々が毎秒のように飛び出す。「豚の分際で、泣いたり笑ったりしてんじゃねえよ!」
「ほら、何してんだグズ! 置いていくぞ!」
「ブヒブヒうるせえな。お前に味がわかるとは驚きだよ」
「お願いするときはキスしろ。地面にな」
その声には一点の曇りもなく、ひたすらに鋭く心に突き刺さる。筆者自身、M(エム=豚)の気質はまったくないと自負していたのだが、それでもその声に包まれれば1分と経たずに、今まで知らなかった扉が開いてしまうのを感じた。 より具体的な言及を許されるのなら、素子のセリフひとつひとつに体中がゾクゾクと反応してしまったわけだ。
五段活用どころではない「豚」バリエーション
一方で、mebaeさんをはじめとした原作サイドのこだわりも非常に強い。「今の“豚”にはハートマークが入っちゃってたので、それはなしで」「素子的には、このセリフは罵倒しているというより、本当に親切心で指摘しているだけ」といった細かなニュアンスについての指示が出された。 素人考えで、「なにもそこまでこだわらなくても…」と思うのだが、指示の前後で明らかに罵倒の質が変わるのを感じると、やはりこれがプロの仕事かと納得せざるを得ない。
2人でお出かけというシチュエーションからか、もうひとつの聴きどころといえる“デレセリフ”が若干多く感じた。今までの刺々しい言葉の数々から一転して、動揺し、頭から汗マークを出しながら照れている素子の顔が想像できるだけで、非常に強いギャップ萌えを感じる。
しかしmebaeさんは、そんな一気に甘〜い雰囲気になった中でも表情は変わらず、むしろ罵倒セリフこそ素子の真骨頂であるという強い思いがうかがえた。 滞りなく収録は進み、渋谷マルイ8Fのイベントスペースで販売されるグッズに関わる特別ボイスへ。
クリアファイルやメモ帳など、その場で購入できるアイテムに紐づくセリフはどれもまた強烈。会場で聞いたが最後、「その場にあるアイテムは全て買わなくてはいけない」という使命感……というか服従感に駆られること必至だ。
収録の最後には「“豚”のバリエーションをいくつか出してほしい」という、なかば無茶振りな要望が。
それでも井上さんの口から「豚」という単語が発せられるたびに、「豚」という言葉はこんなにも数多くの表情を持っていたのかと驚かされた。
オーソドックスな豚、軽い豚、重い豚、さわやかな豚、激しい豚、淡々とした豚、愛を感じる豚などなど、五段活用どころの話ではない豚たち。 そうして濃密かつ幸せな時間はあっという間に終わりを告げた。ここで2度目の収録を終えた井上麻里奈さんのコメントも紹介したい。
お久しぶりの素子さん、まさかマルイさんとのコラボで復活するとは予想外すぎて驚きました。
初稿台本を拝見して、本当にこれをマルイのお客様のお耳にお届けして大丈夫かと大層不安になりましたが、修正を頂き安堵いたしました。
全国の豚さんは是非、素子とのデートを味わいにいらしてください!井上麻里奈さんコメント
「やっぱり素子は罵倒してこそ!」
収録後、mebaeさんに新企画および本収録にあたってお話をお聞きすることができた。——まずは「罵倒少女:素子」として、2回目の収録を終えた感想を聞かせてください。
mebae 一番の大きな違いは、前回はまったくキャラクターの声のイメージが決まっていなかった上での収録だったのですが、今回は井上麻里奈さんが声を当ててくださる、という前提があってのセリフだということです。
そういう意味では、セリフについてのイメージも膨らみやすかったし、実際に井上さんに声を当てていただいたときもイメージ通りでした。
——井上さんも2年ぶりとは思えないほどの素子っぷりでしたね。
mebae そうですね。ある程度、井上さんがお持ちの素子のイメージで演じてほしいなと思っていたところはあったので、すごくありがたかったですね。
こちらからの指示も、「もっとこうしたらグッとくる」と思ったときのみでした。前回、井上さん自身も、どちらかと言えばM気質だとおっしゃっていたので、どう言われたらうれしいか、という点にもご配慮いただいていたのかなと思います。
——2人でお出かけ、ということでデレ系のセリフもありましたが、その点はいかがでしょうか?
mebae やはり素子は罵倒してこそかな、とは思いました。優しいセリフは、罵倒との割合がすごく重要で、散々罵倒され尽くしたあとに入ってこそ意味があると思います。 mebae 今回は2回目の収録、さらにはマルイさんとの企画用ということで、比重としてどうしてもデレたセリフが多かったのですが、改めて自分自身、この「罵倒少女」というコンテンツは罵倒の中に価値があると再認識できました。
——今回は現実世界にある渋谷マルイが舞台として設定されていましたが、作品づくりにおいて影響はありましたか?
mebae アウェイ感はありましたよね(笑)。マルイさんは最近、アニメとのコラボイベントも増えたとは聞いています。とはいえ、ファッションビルでショッピング、というシチュエーション自体がそもそも自分的に相容れないというか。
——わかります! それでも、今回のコラボをきっかけにファンがマルイに集結、という可能性もあるのではないかと思います。
mebae そうなったら、やっとホームに感じられるんじゃないかと思います(笑)
——収録した中で、特にこのセリフは聞いてほしい、というものがあったら教えてください。
mebae やっぱり、最後の「豚」のバリエーションですかね。僕自身、あんなに「豚」にバリエーションがあると思っていなかったんですよ。延々とリピートして流してくれたらいいのに!
——マルイの特設会場に、押したらランダムで「豚!」と鳴るボタンがあったら盛り上がりそうですね。
mebae いいですね。そんなボタンがあったら僕自身が押しに行きたいですから! 永遠に押していたいです。
——ありがとうございました。実現を楽しみにしています!(……実現しました。)
23日からスタートしたマルイと「罵倒少女」のコラボレーション企画。 渋谷マルイ8Fには、「世界一罵倒されるインスタ映えスポット」と称したフォトスポットが登場。さらに、インタビュー中に出た「豚ボタン」も、なんと実装済み。 そして、いよいよ31日からは、オリジナルグッズが販売される。前回同様、Web上で素子にひたすら罵倒されてみるもよし、実際に渋谷マルイ8Fの会場まで足を運んで、豚ボタンを心ゆくまで押すもよし。
ひたすら罵倒される愉悦に身を任せる幸福な時間は、4月8日(木)まで。衝撃のエンディングも楽しみにお待ちいただきたい。
罵倒されにいく(罵倒少女×マルイ 特設サイト) 罵倒少女(C)mebae/Kaikai Kiki Co., Ltd.
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イベント情報
罵倒少女×マルイ AIに罵倒される春休み
- 日程
- 2018年3月23日(金)〜4月8日(日)
- 場所
- 特設サイトおよび渋谷マルイ8Fイベントスペース
- 原作/イラスト
- mebae
- 声
- 井上麻里奈
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