ボカロP第一世代・OSTER projectに聞く 新ジャンル“VOCALOIDミュージカル”とは?

  • 0

マルチな才能が目指すもの

OSTER projectさん

──ボカロPというより、まさにマルチクリエイターですね。そもそも動画制作までを自分でやろうと思ったのはなぜですか?

OSTER 絵師さんにお願いして素敵なイラストを描いてもらっても、動かす人がいないのがもったいないと思ったんです。やっぱりちゃんとしたPVをつくりたいし、映像を見るのが好きで興味もあったので、やってみました。

──最近のニコニコ動画では、音楽とPVは別々のクリエイターがつくることが多いと思うのですが、他の方に動画だけお願いしようとは思われなかったのでしょうか?

OSTER 確かに私は映像専門ではないし、技術もまだまだなところが多いので、お願いできる部分はおまかせしたいっていう思いはあるんですけど、お願いできる知り合いが少ないんですよね(笑)。

それに、自分でつくることで自分の理想をとことん追求できるので、特に「オズ」などの大事な曲になればなるほど、そういうところを大事にしてつくりたい、というポリシーはあります。

──今回の「オズ」は、VOCALOIDではなく人間が演じてもミュージカルとして成立するような作品になったと思うのですが、リアルの人間がでるようなものにもご興味はありますか?

OSTER もちろんあります。「アリス」も「オズ」も、「ミュージカル」と謳いつつも曲のパートしかないので、厳密に言うと「ミュージカル“風”」の状態だとは思っています。いつか、セリフも入れてもっと魅力的な作品を仕上げられたら、と思います。

──OSTERさんはVOCALOIDシーンではもう色々とやり尽くされているんじゃないかとも思うのですが、それでも今なおVOCALOIDを使い続けるのには、どんなお考えがあるのでしょうか?

OSTER 音楽で何かを表現したいと思った時、アーティストさんに歌ってもらうと、そのアーティストさんの曲というイメージがどうしても付いてしまいますよね。

でも、VOCALOIDなら「OSTER projectの曲」として、そういうイメージにとらわれずに聴いてもらえるつくり手の意思を直に聴き手に伝えられるツールとして、やっぱりVOCALOIDには魅力を感じているんです。エグいのも歌わせられますし(笑)。

──そういう振れ幅も、OSTERさんの魅力だと思います(笑)。ちなみに普段、どのようにVOCALOIDの使い分けをされているんですか?

OSTER 私の場合は、VOCALOIDをキャラクターというよりも歌手として見ているんです。どんな歌手にも合う・合わないがあるじゃないですか。その感覚に近いです。「この世界観では、この人が歌ったら味が出るだろう」とか、「そこをあえて外して、あの人に歌わせたらこうなるかもしれない」とか、そんな感じで想像しながら選んでいます。

──マルチクリエイター・OSTER projectとして、今後どのように活動されていくのでしょうか?

OSTER たぶん、今は「浅く広く」の段階にいると思うんですが、これからはそろそろ「深く広く」つくれるようになりたいですね。

意識的に徐々に苦手分野をなくそうとしているんですが、最終的にどんな分野でも「こいつにまかせればいい」と思われるような、そんなクリエイターになりたいと思っています。
【クロスフェード】Attractive Museum

OSTER project // オスタープロジェクト

VOCALOIDプロデューサー / Composer / Arranger

2000年よりネットを中心とした音楽活動を始める。JAZZからROCKまで幅広いジャンルの作曲を得意とし、その型に囚われない作曲スタイルやメッセージ性の高い歌詞により、多くのリスナーを魅了している。また、2013年からはDJとしての活動をスタート。さらなる活動の場を広げている。

関連商品

Attractive Museum DVD+楽譜集付き初回生産完全限定盤(ジャケットイラスト:Yおじ)

OSTER project
発売 : 2014年4月23日
価格 : 3,024円(税込み)
発売元 : Subcul-rise Record

文:たかはしさとみ
1
2
3
この記事どう思う?

この記事どう思う?

関連キーフレーズ

0件のコメント

※非ログインユーザーのコメントは編集部の承認を経て掲載されます。

※コメントの投稿前には利用規約の確認をお願いします。