8月17日(木)幕張メッセにて開催された「BAZOOKA!!! 第12回 高校生RAP選手権 in 幕張」にて、16名の高校生ラッパーたちがフリースタイルMCバトルでしのぎを削り合った。
2012年から続き、開催される度に出場者のスキルが上がっていくこの大会は、いまやB-BOY&GIRLたちの甲子園的位置付けとなっている。この大会で活躍し、プロデビューを果たしたMCたちは少なくない。
詳細は後日公開予定のレポートと、9月4日(月)に放送される番組をチェックしてほしいが、現在の日本のヒップホップシーンがどのようにユースたちの間で発展し、受け入られているかを実感できるまたとない機会にもなっている。
そんな要注目の大会を見事に勝ち抜き、「高校日本一」の称号を得たCore-Boyさんの胸中はどのような人物なのか?
新世代のMCたちの中でも一際インテリジェンスな佇まいと言葉選びによって、強いオーラを放っていた彼に、大会終了直後に話を聞いた。
取材/文:米村智水、山下智也 写真:山下智也
Core-Boy 前回の準優勝については、準優勝といえども、手応えがありました。優勝者よりも目立てるような準優勝者になれたかなと。でも今回は、参加者するMCたちのキャラがすごく濃くて、優勝する以外に目立てなくて価値がないと思っていたので、優勝できてよかったです。
──今回のCore-Boyさんの試合を見ていると、全体的に落ち着いていて、他のMCに比べてクレバーな面が際立っていました。大会に込める意気込みというのも、けっこうフラットな状態だった?
Core-Boy そうですね。何か、今回の優勝は獲るべくして獲れたというような気はしていて──スキルをはじめとしたステータス面でみれば、一回戦で当たったHardyくんや、決勝で当たったG-HOPEくんのほうが僕は上手いと思っています。
でも、「こいつもしかしたらやるんじゃないか?」みたいに観てる人を期待させる風格みたいなものが、いろんな仕事をしていく中で身についてきたような気がしていて。その点を信じれば勝てるという自信はありましたね。
──オーラ勝ちですね。実際、ステージングなども含めて、高校生離れしている印象を受けました。今回、初出場のMCが11人と例年になく多かった印象がありますが、気になってるMCや戦いたかったMCはいらっしゃいますか? Core-Boy 沖縄のJBくんですね。前のオーディションのときに知り合ったんですが、ラップがめちゃくちゃタイトで、すごくかっこいい。
本人にも戦いたいって話してたんですが、惜しくも彼は一回戦で敗れてしまって。でもJBくんたちが「優勝しろよ!」ってそのあと応援してくれてて。だから優勝できてよかったです。
──Core-Boyさんにとって、「高校生RAP選手権の優勝」がもたらす意味とは何だと考えていますか?
Core-Boy 僕は他の人たちと少し違っていて──勝つことにこだわるというよりも、試合に負けても勝負に勝てば良いというスタンスでバトルをやっています。大会の中でバストバウトを何度も叩きだすことができれば、泥仕合で勝ってる人たちよりも名前が売れる。
MCバトルはこうやって盛り上がっているので、それを利用しない手はないと思っています。今回の優勝はプロモーションという面でも、ブランディングという面でも今後の活動に大きな意味合いを持っていると思います。
Core-Boy この優勝をきっかけに、これまで僕のことを知らなかった、新規の「ユーザー」が増えると思うんです。その人たちが注目してくれている間に、今回のバトルでも突っ込まれていましたけど、今年中にまだ出していない音源をリリースしたり。
それに絡めて、いままで誰もやらなかったような、海外のアーティストも着手していないようなプロジェクトを、著名人たちを巻き込んで大々的に行おうと計画しています。そのプロジェクトの内容も来年の中頃には発表できるようにしたい。そこで今回の優勝が活きてくると思っていますね。 ──いま大きなプロジェクトが控えているという話もありましたが、「高校日本一」という称号を獲って次に目指されている目標みたいなものはありますか?
Core-Boy 「高校日本一」という称号は、さっき言った通りプロモーションの手段でしかないと思っていて。一つの肩書きとして持つのはふさわしくないと思っています。
でも、なんで僕がラップをやっているかというと、それがマイノリティのためのカウンターカルチャーであり、同時に音楽であり、万国共通のものだからです。だから世界にアプローチするときに一番有効な手段なんじゃないかと思ってるんです。
本当に僕は、最終的には、世界平和とか──そういう馬鹿でかいスケールのものに挑んでいきたいと思っています。それにたどり着くまでに、着実に目の前のことをクリアしていきたいなと。
Core-Boy そうですね、めちゃくちゃ追い風になっています。でも、新しいヒップホップの「ユーザー」たちが増えていく中で、ずっとヒップホップが好きだった古参ファンやその取り巻きの人たちの中には、そういったブームを非難するような人たちもいる。僕はそんな状態をもったいないとも思っています。
せっかくこれまでヒップホップを聴かなかったユーザーたちがバンバン入ってきて、ヒップホップというポータルが広がったのに。だから、いま最前線に立っているレジェンド級のプレイヤーたちが、新しいユーザーを教育していくような動きを行えれば、さらに面白くなると思いますね。
──Core-Boyさんは「ユーザー」という言葉をヒップホップファンに対して使っているのが印象的ですよね。まるでWebのサービスとして捉えているような。
Core-Boy そうですね(笑)。ヒップホップの四大要素──ラップ、ダンス、DJ、グラフィティってよく言われるじゃないですか。でも僕はこれからの時代はそれに+αが必要だと思っていて。そこに必要だと僕が考えているのが、SNSをはじめとするオンラインのネットワークなんです。そこでプロモーションを行ったり、ブランディングしたり。
僕は全体的に世間や文化を一つのネットワークとして見ているというか。そこではいろんなユーザーが、誰も間違っていないけど、ときに非難し合って、争うことによって利益が生まれたりもする。そんな風に捉えているかもしれません。
──ここまで聞いておいて、改めて質問なんですけど、優勝は嬉しいですか?
Core-Boy 嬉しいです!(笑) もちろん嬉しいですよ! さすがにそこまでは人間性を失っていないです(笑)。 ──いや、めちゃくちゃクレバーな方だなと思って……。Core-Boyさんはヒップホップだけじゃなく、最近話題になってるVALUやYouTuberについてであったり、ポリティカルな発言も行ったり、いろんなモノに興味を持っていますよね。さらに「WREP」でラジオ番組の仕事をしたり──かなり忙しいと思うんです。そんな中、今大会に向けて何か準備したことはありますか?
Core-Boy もう、なんもしてないですね……。今大会のために、というより、今大会の優勝が、これから先の目標に向けて準備すべきものだったという感じなんです。もっと先に、僕が実現したい終着点があって。大会での優勝はあくまで通過点なんです。まだ全然道の途中というか──先は本当に長いと思っています。
2012年から続き、開催される度に出場者のスキルが上がっていくこの大会は、いまやB-BOY&GIRLたちの甲子園的位置付けとなっている。この大会で活躍し、プロデビューを果たしたMCたちは少なくない。
詳細は後日公開予定のレポートと、9月4日(月)に放送される番組をチェックしてほしいが、現在の日本のヒップホップシーンがどのようにユースたちの間で発展し、受け入られているかを実感できるまたとない機会にもなっている。
そんな要注目の大会を見事に勝ち抜き、「高校日本一」の称号を得たCore-Boyさんの胸中はどのような人物なのか?
新世代のMCたちの中でも一際インテリジェンスな佇まいと言葉選びによって、強いオーラを放っていた彼に、大会終了直後に話を聞いた。
取材/文:米村智水、山下智也 写真:山下智也
Core-Boyが放つ、観てる人を期待させる風格
──改めまして、「高校生RAP選手権」優勝おめでとうございます。いまの気持ちを率直に聞かせてほしいです。前回は準優勝で、雪辱を晴らすという気持ちがあったと思うのですが、いかがでしょうか?Core-Boy 前回の準優勝については、準優勝といえども、手応えがありました。優勝者よりも目立てるような準優勝者になれたかなと。でも今回は、参加者するMCたちのキャラがすごく濃くて、優勝する以外に目立てなくて価値がないと思っていたので、優勝できてよかったです。
──今回のCore-Boyさんの試合を見ていると、全体的に落ち着いていて、他のMCに比べてクレバーな面が際立っていました。大会に込める意気込みというのも、けっこうフラットな状態だった?
Core-Boy そうですね。何か、今回の優勝は獲るべくして獲れたというような気はしていて──スキルをはじめとしたステータス面でみれば、一回戦で当たったHardyくんや、決勝で当たったG-HOPEくんのほうが僕は上手いと思っています。
でも、「こいつもしかしたらやるんじゃないか?」みたいに観てる人を期待させる風格みたいなものが、いろんな仕事をしていく中で身についてきたような気がしていて。その点を信じれば勝てるという自信はありましたね。
──オーラ勝ちですね。実際、ステージングなども含めて、高校生離れしている印象を受けました。今回、初出場のMCが11人と例年になく多かった印象がありますが、気になってるMCや戦いたかったMCはいらっしゃいますか? Core-Boy 沖縄のJBくんですね。前のオーディションのときに知り合ったんですが、ラップがめちゃくちゃタイトで、すごくかっこいい。
本人にも戦いたいって話してたんですが、惜しくも彼は一回戦で敗れてしまって。でもJBくんたちが「優勝しろよ!」ってそのあと応援してくれてて。だから優勝できてよかったです。
──Core-Boyさんにとって、「高校生RAP選手権の優勝」がもたらす意味とは何だと考えていますか?
Core-Boy 僕は他の人たちと少し違っていて──勝つことにこだわるというよりも、試合に負けても勝負に勝てば良いというスタンスでバトルをやっています。大会の中でバストバウトを何度も叩きだすことができれば、泥仕合で勝ってる人たちよりも名前が売れる。
MCバトルはこうやって盛り上がっているので、それを利用しない手はないと思っています。今回の優勝はプロモーションという面でも、ブランディングという面でも今後の活動に大きな意味合いを持っていると思います。
「高校日本一」という称号は、プロモーションの手段でしかない
──プロモーションやブランディングを若いラッパーたちが真剣に気にしているというのは、現代の特徴ですよね。Core-Boyさんは実際、この優勝を活かして、どういう活動をされていくのでしょうか?Core-Boy この優勝をきっかけに、これまで僕のことを知らなかった、新規の「ユーザー」が増えると思うんです。その人たちが注目してくれている間に、今回のバトルでも突っ込まれていましたけど、今年中にまだ出していない音源をリリースしたり。
それに絡めて、いままで誰もやらなかったような、海外のアーティストも着手していないようなプロジェクトを、著名人たちを巻き込んで大々的に行おうと計画しています。そのプロジェクトの内容も来年の中頃には発表できるようにしたい。そこで今回の優勝が活きてくると思っていますね。 ──いま大きなプロジェクトが控えているという話もありましたが、「高校日本一」という称号を獲って次に目指されている目標みたいなものはありますか?
Core-Boy 「高校日本一」という称号は、さっき言った通りプロモーションの手段でしかないと思っていて。一つの肩書きとして持つのはふさわしくないと思っています。
でも、なんで僕がラップをやっているかというと、それがマイノリティのためのカウンターカルチャーであり、同時に音楽であり、万国共通のものだからです。だから世界にアプローチするときに一番有効な手段なんじゃないかと思ってるんです。
本当に僕は、最終的には、世界平和とか──そういう馬鹿でかいスケールのものに挑んでいきたいと思っています。それにたどり着くまでに、着実に目の前のことをクリアしていきたいなと。
ヒップホップの四大要素に足されるべきもの
──そういう夢を追いかけるにあたって、いまのフリースタイルブームは追い風になっている?Core-Boy そうですね、めちゃくちゃ追い風になっています。でも、新しいヒップホップの「ユーザー」たちが増えていく中で、ずっとヒップホップが好きだった古参ファンやその取り巻きの人たちの中には、そういったブームを非難するような人たちもいる。僕はそんな状態をもったいないとも思っています。
せっかくこれまでヒップホップを聴かなかったユーザーたちがバンバン入ってきて、ヒップホップというポータルが広がったのに。だから、いま最前線に立っているレジェンド級のプレイヤーたちが、新しいユーザーを教育していくような動きを行えれば、さらに面白くなると思いますね。
──Core-Boyさんは「ユーザー」という言葉をヒップホップファンに対して使っているのが印象的ですよね。まるでWebのサービスとして捉えているような。
Core-Boy そうですね(笑)。ヒップホップの四大要素──ラップ、ダンス、DJ、グラフィティってよく言われるじゃないですか。でも僕はこれからの時代はそれに+αが必要だと思っていて。そこに必要だと僕が考えているのが、SNSをはじめとするオンラインのネットワークなんです。そこでプロモーションを行ったり、ブランディングしたり。
僕は全体的に世間や文化を一つのネットワークとして見ているというか。そこではいろんなユーザーが、誰も間違っていないけど、ときに非難し合って、争うことによって利益が生まれたりもする。そんな風に捉えているかもしれません。
──ここまで聞いておいて、改めて質問なんですけど、優勝は嬉しいですか?
Core-Boy 嬉しいです!(笑) もちろん嬉しいですよ! さすがにそこまでは人間性を失っていないです(笑)。 ──いや、めちゃくちゃクレバーな方だなと思って……。Core-Boyさんはヒップホップだけじゃなく、最近話題になってるVALUやYouTuberについてであったり、ポリティカルな発言も行ったり、いろんなモノに興味を持っていますよね。さらに「WREP」でラジオ番組の仕事をしたり──かなり忙しいと思うんです。そんな中、今大会に向けて何か準備したことはありますか?
Core-Boy もう、なんもしてないですね……。今大会のために、というより、今大会の優勝が、これから先の目標に向けて準備すべきものだったという感じなんです。もっと先に、僕が実現したい終着点があって。大会での優勝はあくまで通過点なんです。まだ全然道の途中というか──先は本当に長いと思っています。
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