「貯め」がないまま始まった『サンシャイン!!』
松本塩梅 そして、7月から新シリーズの『サンシャイン!!』が始まったわけですが。僕は初期イメージを見た時に、アイマスでいう『シンデレラガールズ』の方向で、最初はスマホゲームになるのかなといった邪推がありました。みなさんはどんな第一印象を持ちましたか?後藤王様 僕は「ちょっと早いな」という気もしました。『ラブライブ!』は雑誌の企画からファンを増やして外堀を埋めてから展開したのに、『サンシャイン!!』は発表があった時にはアニメも楽曲もどちらも追いかけながら見ていくことになるんだろうなと。
KITUNE μ’sはCDリリースが先行して、1stライブがあり、アニメ化が決まって実際に走り出すまでに3年くらいはあって。アニメも1期のあとに1年挟んでの2期ですからね。自分としてはアイドルアニメって「このキャラクターを推す」というのが決まってからこそなので、(ここまで展開が早いと)そこでのもやもやが残ってしまいますね……。
さてぃ たしかにリリースまでの「貯め」がない感じがありましたね。『サンシャイン!!』の話になった時、ここにいる全員が天を仰いだのがすべてなのかな(笑)。
松本塩梅 「貯め」の話を聞いてふと思ったのが、本編はもちろん、『スクフェス』も合わせたサイドストーリーが意外と大事だったのかな、と。たくさんの物語を薄く積み重ねていくことで、例えば、にこが「にこはアイドルが大好きなの!」と言うことへの納得感がちゃんとあるんです。「にこなら、たしかにこう言うかも」と素直に思える。 さてぃ μ’sとAqoursをこうして並べて見ると、衣装の違いはあるけれど、やっぱりμ’sは特別だなと感じますね。
後藤王様 このμ’sをアーティスト写真だと考えると、Aqoursは修学旅行なんですよね。記念撮影っぽさがある。みんなポーズも思い思いじゃないですか。そういう意味では未来に希望が持てる感じがあるかな。
KITUNE μ’sは廃校の危機を乗り越えた、その次があった。だからこそ、Aqoursの「終わり」が気になる。自分も7年くらいVJをやっていて同じことを思いましたが、「私たちは何を目指していこう」っていう葛藤は、私生活でも起こりうることですから。
さてぃ μ’sへの憧れだけが今の彼女たちの活動の動機になってしまっていますよね……。
KITUNE μ’sとはいつかどこかでクロスオーバーすると思うのですけど、大人になった彼女たちを見たいかと言われると悩むところ。 後藤王様 結局、世代交代というのは難しい問題。『アイカツ!』は星宮いちごちゃんを必要としたけれど、AqoursはAqoursで1本立ちしてほしいな。
KITUNE そうですね。どこかで折れてμ’sに寄りかかってしまうのは、よくあるアニメの展開ですよね。
さてぃ アニメ2期の終盤で雪穂と亜里沙がμ’sとは違うアイドルになると宣言していたのとは全く別のベクトルで、Aqoursはμ’sになろうとしている。どこかでAqoursらしい違う地点にたどり着いてくれるのが理想だなと。
松本塩梅 「μ’sになりたいと言いながらμ’sになれない」という瞬間が、彼女たちが心折れるタイミングなのかもしれません。そこで成長があるのかなと……。
後藤王様 うーん、『サンシャイン!!』はまだ多くを語れることがないんですよね。ただ、沼津(『サンシャイン!!』の舞台)にオープンしたゲーマーズでは「我らが街に!」という歓迎ムードで大盛況だった。『サンシャイン!!』で新しい産業が生まれていくのは、『ガールズ&パンツァー』の成功例もあって応援したいところですね。【Aqours】
— ラブライブ!公式 (@LoveLive_staff) 2016年5月29日
津島善子役 小林愛香さんのヌーマーズ リトールデーモン店、看板お披露目セレモニー & 一日店長記念お渡し会、終了いたしました!
みなさん、ご来店ありがとうございました!#lovelive pic.twitter.com/mgGz7REvM2
KITUNE そうそう。見る側としては、聖地の沼津へ行くと別の目線でも楽しめるようになってオススメですよ。『サンシャイン!!』はめちゃくちゃ舞台に忠実なんです! 僕は今年の2月に行ってきたんですが、アニメを見ると現地を思い出して楽しいんですよね。
現地のバス停にも「聖地はここです」と案内が貼ってあったり、内浦の観光案内所にはポスター、フィギュア、聖地マップもあったり。それに、港町なので海鮮物や干物も豊富で、あわしまマリンパークや水族館もあるし。そして何より海が綺麗なので、ぜひ遊びに行ってみてください。
『ラブライブ!』という人生の伴走者
僕は『ラブライブ!』以前から何十年といろんなアニメを見ていますけど、「やりたいから、好きだから」というパワーが前面に出るようになってくるうちに、僕の中で「好きなアニメ」の枠を超えてしまった。『ラブライブ!』はもはや別物ですね。『サンシャイン!!』もそういうのに似ていて、横にいつつも応援したいなと。
さてぃ たしかに整理するのは難しいですね。僕はこれまで漫画やアニメに触れて好きになったものはあっても、アニメをきっかけに初めてライブに行ったのはμ’sだったんです。
自分が励まされて、頑張ろうと思えたほどの熱量を持って、終わりに向かって走っていく時期があって、僕ももう「好きなアニメ」どころの存在ではない。自分の人生の中に『ラブライブ!』はあったんだなという感じになってしまって。これから続く『サンシャイン!!』も、一緒に走っていくようになるんだと思います。
KITUNE すでにアニクラのお客さんでも、『ラブライブ!』を見たことなくても『サンシャイン!!』の曲が好きで気に入っている人たち、いわゆる『サンシャイン!!世代』が出てきています。自分たちよりもっともっと下の、それこそ小学生世代の反応も見てみたいですね。身のまわりの物事がわかりはじめて、でも『ラブライブ!』は知らない子たち。
後藤王様 『ラブライブ!』がNHKで放送したのは大きいですね。『サンシャイン!!』も同じようにやれば裾野がさらに広がる。先輩の背中にならって紅白も目指して欲しい!
松本塩梅 μ’sとAqoursの背中を見てアイドルや女優になる、そんなリアルな世代が出てきてくれると、まるでサッカー元フランス代表のジダンが『キャプテン翼』に影響を受けたように、伝説の作品に近づいていくかもしれませんね。
松本塩梅 それこそ、かつて『ぼららら』を「アニソンインデックス!!」でプレイした頃から通じるものですね! 各々が『ラブライブ!』への「好きだから」を胸に、『サンシャイン!!』も応援していけるようになるといいですね。
後藤王様 それに「貯め」がないのも、見方によっては『サンシャイン!!』には古参も新参もいない状況とも言えますからね。1stライブのチケットは奪い合いかもしれないなぁ。
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松本塩梅
ライター
フリーライター。エンタメ分野をメインに執筆。KAI-YOUでは鈴木このみ、livetune+のインタビューをはじめ、TENGAイベント、ニコニコ超会議、コミックマーケットなどの取材記事も。
後藤王様
DJ
若いの皆さんが子供の頃からDJ開始。
秋葉原MOGRAのAnisonIndex、都市型野外イベントRe:animationを軸に様々なイベントにDJで参加、
TVアニメ『彼女がフラグをおられたら』公式イベントや幕張メッセでの「GRANRODEO 10th ANNIVERSARY LIVE 2015 ROCK☆SHOW」等に出演。
「Anime Japan」関連イベント「AJ Night」ではラブライバー初期勢として執念の集大成”ラブライブ!μ’s MIX by Re:animation”を披露。
ブースで死んでも良いかもと天に召されそうになる。
昨年7月より始めたダイエットで13キロの減量に成功し、現在で6キロ戻す意志の弱さ。
「Re:animation 7」ではsnow halationをかけながら100本のULTRAオレンジ叩き折り無茶が加速しているラブライブ!大好きオジサン
KITUNE
VJ
秋葉原MOGRAで毎月第3土曜日に開催されている『アニソンインデックス』のレギュラーVJ。
アニソン+ボウリング+コスプレイベント『こす☆ボウル』のオーガナイザー。
ガールズダンス&ヴォーカルユニット『Prizmmy☆』、TVアニメ『トリニティーセブン』とのコラボ、『リスアニ!ナイトVol.05』などで活動しているアニソンDJ集団『アニラボ』の一員として様々な場で活動中。
ノイタミナ10周年記念イベント『ノイタミナイト』
2015年 AnimeJapan 2015『ノイタミナイト powered by dアニメストア』
『ビジュアルアーツ20周年大感謝祭』でのクラブイベント『OTSU』
スペースシャワー主催イベント『SPACE SHOWER SOCIUS』
『sprite LIVE 2015 -Beyond the sky-』
『AJ Night - AnimeJapan 2016』
にVJで関わるなどアニソンイベント、アニソンイベント以外でも活動している。
こす☆ボウルWEBサイト:http://www.cosbowl.com/(外部リンク)
アニラボWEBサイト:http://anilab.info/(外部リンク)
KITUNEプロフィール:http://anilab.info/production/kitune/(外部リンク)
さてぃ
出版社勤務、営業
1988年生まれ。高校時代に「記者とか編集者が向いてる」と職業適性テストで出た影響をモロに受け、マスコミの仕事がしたい!などと調子に乗った就活の結果、出版社に入社。マンガやアニメが好きなのに、主にビジネス書を営業して回る。現在4年目。
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